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第82話 撹王VSロスチャイルド。直接対決勃発

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 最後のゲートのセキュリティを解除し、長かったトンネルエリアが終わった。



 巨大な円盤型の門が轟音を上げながら開いていくと、小さな住宅街を思わせるいくつもの建造物が建っていた。

 高所得者の避難用に作られた地下施設のため、豪奢な屋敷なども作られている。


 その地下施設の中央に一際大きな建物があった。

 どことなく宮殿を想起させる。

 キッドがその建物を指差し「あそこに円卓の間があるよ。撹王かくおうはそこにいる」と告げた。



 ロスチャイルドが皆に告げる。


「罠が設置されているかも知れなイ。用心に用心を重ね、分身で一度下見に行ってくル」 


 ロスチャイルドは『完全分身』を発動し、もう一人の自分を生み出した。

 細かい命令が出せない『多重影分身』と違い、完全なる実態として操作する事が出来る能力だ。

 この能力は言わば保険であり本体と分身どちらかがやられても、一体が生き残っていればやり直しが効く便利なものだった。




 ロスチャイルドが宮殿の中に入っていった。

 本体を皆の元に残し、分身体である本人の自我を持った片割れが向かう。

 無論姿形も能力もすべてロスチャイルドのままだ。


 宮殿内は洋風の綺羅びやかな内装が目立ち、調度品も高級感のあるものばかりだった。

 玄関を入って奥に進むと中央に螺旋めいた階段が設けられていた。

 幅広の階段を登り、上階にある円卓の間を探す。


 やがて木目調の大きな扉の前に辿り着く。

 探知スキルに寄ればこの部屋の中から3つの熱源を確認出来る。


(どうせこれは分身体ダ。やられても構わなイ。本体ほどの力は引き出せないため行動に制限はあるが、出来るだけ相手の情報を集めなければナ)



 分身体が意を決して扉を開け放った時だった。

 意識が宮殿前で待機するロスチャイルド本体に戻った。


「何ィ!? 一体何が起こったのダ!? ……まさか分身体が殺されたのカ?」


 ロスチャイルドが突然息を荒げ始めたので、皆に動揺が走る。

 風祭がロスチャイルドの肩を揺する。


「旦那! 一体何があったんだ!? 敵からの攻撃を受けて分身が殺され、意識が本体に戻ったって事なのか?」

「そうらしイ。問題は分身体が殺された瞬間が()()()()()()()って事ダ。意識を共有していたから殺される瞬間が分からないはずが無イ」

「そんな一瞬で殺られたって事か。敵の正体は確認出来たのか?」

「それが円卓の間までは辿り着いたが、扉を開く前に殺されてしまったようダ」

「分身体とはいえ、ロスチャイルドの旦那を簡単に殺せるだなんて、撹王の仕業としか考えられねえな」



 風祭の言葉に撹王本人が返答した。


「正解だ。ロスチャイルドの分身体を殺したのは私だ」

「!?」

 

 突如現れた、黒衣のローブ姿の男に皆驚きを隠せない。

 黒衣の男はフードを目深に被っており、その顔は判別出来なかった。

 その両隣にはゴスロリに身を包んだアンネと、金髪にポニーテールのミレイの姿があった。




「いきなりボスのお出ましって事ね。ご丁寧に幹部二人まで一緒じゃない」


 レイラのこめかみから一筋の汗が滴り落ちる。

 撹王はレイラを無視してキッドに向かい()()()()()をかける。


「キッドよ。道案内ご苦労だったな。これで特に厄介だったS級の頂点5人をまとめて始末出来る」


 撹王の言葉にロスチャイルドたちは目を見張った。

 キッドは何事もなかったかのように、口笛を吹きながら撹王と幹部二人の元へ向かう。


「裏切り者メ! 貴様、初めから我々を陥れるつもりだったのカ! 探索士協会の人間じゃなかったのカ!」


 キッドが悪びれもせずニタリと笑って答える。


「裏切り者だなんて失礼だな。二重スパイってやつさ。探索士協会には育ててもらった恩は感じてるよ。けどね、今や落ち目の探索士協会と、天下を取りそうな『レイジ・リベリオン』だったら、当然後者を選ぶよね」


 キッドの言葉に撹王が続く。


「探索士協会を潰すため、内通者がどうしても欲しいところだった。そこに貴様らの方からキッドを送り込んできたものだから大助かりよ。獅子身中の虫によって食い荒らされたのは貴様らの方だったな」




 予想外の事態に風祭とレイラは焦りを浮かべた。

 一方ロスチャイルドは冷静に、自分のやるべきことを見極めていた。


「貴様が目の前に姿を現した時点で、私の勝ちダ! 『時間停止』発動!!」


 その瞬間、世界は停止し、ロスチャイルド以外の全ての存在の動きが止まった。

 目の前には撹王、アンネ、ミレイ、キッドの四人が静止したままだった。


 ロスチャイルドは万全を期す為、召喚獣を呼び出した。


「出ヨ! 『オーディン』!!」


 そこに現れたのは黒馬スレイプニルに乗り、魔槍グングニルを持った甲冑姿の老人だった。

 オーディンの一撃によって、撹王もろとも幹部四人をまとめて葬り去るつもりだ。


 風祭とレイラを安全な場所に移動させ、オーディンに号令を下す。

 オーディンは魔槍に力を蓄えると、八本足のスレイプニルを発進させた。

 爆発的な速度を保ったまま、オーディンは槍の一撃を撹王に向かって放つ。

 



 ――その瞬間だった。

 ロスチャイルドの目に飛び込んできたのは、絶命したオーディンの姿だった。


 瞬きの瞬間に、オーディンはやられていた。

 否、自分は戦闘中に瞬きなどしない。

 では、一体なぜだ?


 何が起こっているのか分からない。 

 まるで時間が吹き飛ばされたかのようだ。


 分身体がやられた時も、絶命の瞬間が確認出来ず、コマ送りの様に時間が進んでいた。

 その時、ロスチャイルドの脳内に電流が走った。

 起こった事実を客観的に受け止め推測した結果、とある結論に至ってしまった。



「時間が進んでいタ? ……ああ、そうカ。そういう事だったのカ」



 ロスチャイルドは全ての真相を知ってしまった。

 目の前の光景は自身の推論が的中している事を意味していた。

 なぜならば停止したはずの時間の中で、もう一人自由に行動出来る者がいたからだ。


 撹王は口角を釣り上げ嗤った。


「ようやく気付いたか、ロスチャイルド。『時間停止』は貴様だけの能力じゃないのだ」

「どうやら貴様も【GRゴッドレア】を引いたらしいナ。……まあ良イ。動かない相手を甚振るのも趣味が悪いと考えていタ。1対1で貴様に負ける私じゃなイ。かかってこい、悪の首領ヨ!」


 ロスチャイルドの挑発にも、涼しい顔で聞き流す撹王。

 薄く笑顔を作ったまま、ロスチャイルドを眺めている。

 ――突如、その姿が視界から消えた。


「ぐっ!?」


 撹王が消えた瞬間に、左脇腹に激痛が走った。

 見ると、拳大の穴が空いていた。


「ロスチャイルドよ、貴様は大きな勘違いをしているぞ。私の能力は『時間停止』ではない。その上位互換の『時間操作』だ。もはや貴様に勝ち目はない」

「な、んだと……時間、操作だと!?」



 ロスチャイルドは脇腹の傷を治癒魔法で塞ぎながら、全身から血の気が引いていくのを感じた――。

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