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第81話 幹部四連戦決着。撹王の待つ円卓の間へ

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 死神ハーデスは穴の空いた虚空の瞳で、ジョブズを見据えた。

 声帯も存在しない骨だけの体で、ケタケタと嗤う。


「……これは私も召喚獣を呼ばないと不味いですね。カモン! 『メタトロン』!」


 純白の翼に、メタリックな光沢を放つ鎧を身に纏った天使が現れた。

 手には金色の鉾状の杖を握っている。



 メタトロンの登場と共に、ハーデスが漆黒の剣を振るい襲いかかる。

 その一撃をメタトロンはいかめしい杖で防いだ。


 ぎりぎりと鍔迫り合う両者。

 ハーデスが剣から片手を離し、メタトロンの頭部に闇を纏った掌で攻撃をする。

 メタトロンも左手に神々しい光を纏い、ハーデスの頭部目掛けて攻撃を繰り出す。

 

 両名はお互いにアイアンクローの要領で頭部を掴み合い、メタトロンは光の閃光を発し、ハーデスは闇の砲撃を放った。

 ゼロ距離からの頭部への攻撃を受け、両者は負傷し一旦後方へと距離を取る。




「フヒヒヒヒ。やはり闇と光は相容れないものね」

「光と闇は対になる、お互いに弱点を突きあう関係になりますからね。こうなれば本体を倒した方が早そうですな」

「ほざきな! 撹王かくおうから頂いたこの力があれば貴様なんぞに負けるわけがないんだ!」


 メリッサは右手を高くかざすと、上空にいくつもの黒い渦巻きが現れた。


「【UR】の闇魔法最終奥義だ!! くたばりな。『ジ・エンド・オブ・カタストロフィー』!!」



 上空の渦巻きからズズズと漆黒の闇を纏った隕石が現れた。

 隕石が次から次へとジョブズ目掛けて飛来した。

 その威力は凄まじくメタトロンの必死の光の魔法障壁も為す術がなかった。

 やがて障壁は破壊されメタトロンに隕石が直撃する。


 主をかばうように両手を広げて、『ジ・エンド・オブ・カタストロフィー』を浴び続けるメタトロン。

 やがてその役割を終え、キラキラと光を残して天に召されていった。


 残されたジョブズの元に闇隕石が降り注ぎ続ける。

 周囲にもうもうと土煙を上がり、煙が晴れると地形が採掘現場の様に凸凹に変形していた。




「フヒヒヒヒ!! 雑魚め! なにが『超人』よ。真の強者と戦ったことのないカスが調子に乗ってんじゃないわよ! あんたも所詮その他大勢のS級探索士どもと同じって事ね。フヒヒヒヒ!!」

「その言葉そっくりお返しするよ。お嬢さん」

「んなっ!?」


 メリッサの背後に回っていたジョブズは短刀で彼女の心臓を貫いていた。

 事態を把握出来ないまま、疑問符を浮かべた苦悶の表情で崩れ落ちるメリッサ。


「君の自慢の闇魔法奥義とやらも、光の速さで移動出来る私には些か遅すぎたね。メタトロンには可愛そうな事をしたが、君を油断させるために払うべき犠牲だった」


 激しく喀血し大きく目を見開いたまま、メリッサは絶叫した。


「『レイジ・リベリオン』万歳ーーーー!! 地獄でもずっとお慕いしています撹王!! フヒ、フヒヒヒヒヒヒヒ!」







 一方、風祭と勘解由小路の戦いは肉弾戦が続いていた。

 亜空間から様々な武器を取り出して戦う風祭と、日本刀一本で戦い続ける勘解由小路。


「あんたすげえ達人だな。こんな場所で会わなければ教えの一つも乞いたいところだったがよ」

「お互いの立場が許しますまい」

「それもそうだな。んじゃ悪いけどそっちの土俵で戦うのもこれまでだ。ここいらで決着ケリを付けさせてもらうぜ」

「ほう。今までは私に合わせていたと?」

「そういうこった。本来俺の戦闘スタイルはなんでもあり(バーリトゥード)。俺が本気を出したら、あんた多分ついてこれないぜ?」

「ほう。受けて立とう。全力で来い!」



 風祭は上空に手を掲げ「来やがれ! 『バハムート』!」と叫んだ。

 そこに現れたのは黒暗色の肌を持ち、大きな赤い翼を広げた幻竜バハムートだった。


 対する勘解由小路も右手で片合掌をすると「来られよ。『阿修羅王あしゅらおう』」とつぶやいた。

 六本の腕に屈強な肉体、前後左右に複数の顔を持った人型の赤い化身が現れた。



「ゆけバハムート! 『オメガ・フレア』だっ!」

「阿修羅王よ、『六道修羅絶掌』を放て」


 召喚主の指示により、両召喚獣は大技を放つ。

 上空に舞い上がったバハムートは地上目掛け『オメガ・フレア』を放つ。

 迎え撃つ阿修羅王は『六道修羅絶掌』で、六本の腕から無数の掌底撃を繰り出す。

 

 赤黒く燃え盛る火球が、地上へと舞い落ちる。

 迎え撃つ阿修羅王は掌底のラッシュ攻撃を放ち掌からエネルギー弾が飛翔、火球を少しずつ削っていった。


 やがて火球は芯が砕かれ、粉々に破壊される。

 阿修羅王と勘解由小路の周囲には、大気圏で燃え尽きた衛星のように、破片が降り注ぐ。


 バハムートは火球が駄目なら肉弾戦だと言わんばかりに、滑空し阿修羅王に襲いかかる。

 阿修羅王はその衝撃を六本の腕で抱きかかえる。

 そのまま両者もつれ合って、翻筋斗もんどり打つ。




 召喚獣同士の凄絶な戦いを見守っていると、勘解由小路は殺気を感じ風祭の方角を振り返る。


 そこで目にしたのは亜空間から大量に現れた銃火器だった。

 拳銃、小銃、猟銃、機関銃、狙撃銃、散弾銃、擲弾銃、大砲が宙に浮かんで銃口をこちらに向けている。


「ご苦労だったなバハムート。準備完了だ」

「竜の王に時間稼ぎをさせるとはな。してやられたと言うところか」

「戦局は幅広く観察しないとな。あばよオッサン。銃は剣よりも強しだ。『『オール・ガン・フィナーレ』!」


 風祭の号令で、宙に浮いていた数十丁の銃が火を吹いた。

 勘解由小路は刀で必死に銃弾の軌道を逸らしていたが、その圧倒的な火力と連射速度に押され、少しずつ着弾していった。

 ただの銃弾なら勘解由小路もダメージを感じないが、この銃弾は特殊な強化が施された魔弾だった。

 

 その衝撃で巨大な操り人形(マリオネット)の様に体を小刻みに震わせ始めた。

 銃弾の雨あられを受け、ボロ雑巾の様にズタボロになっていく。

 やがて銃声が止むと勘解由小路は全身に穴が空いた細切れの様な死体と化していた。






 

 風祭が勝利を報告しに、ロスチャイルド達の元に向かうと、なにやら不穏な雰囲気になっていた。

 駆け寄ると、なぜかジョブズが顔面蒼白になり、息も絶え絶えといった状態だった。

 必死にレイラがジョブズに治癒魔法をかけているが効果を示さない。


 風祭はわけも分からず、皆に詰問する。


「これは一体どういう事だ? ジョブズはあの陰気な女を倒したんじゃなかったのかよ!」


 その質問にロスチャイルドが答える。


「恐らくこれは死者の呪いダ。ジョブズは『全状態異常無効』を持っている筈だから呪いが効くなどとは考えられないガ」


 レイラの必死の治療も虚しくジョブズは末期にカッと瞠目をし、そのまま絶命した。

 レイラは悲しげな表情を振り払い、自身の知っている情報から予想を立てた。 


「恐らくこれはユニークスキルの類よ。術者が死亡した場合、相手を道連れにする事が出来る能力だと予想するわ。治療法が存在しない攻撃なんて初めて見たもの」

「そんなスキルが存在するのか……。治療も予防も出来ないんじゃ対処のしようがない。この先二人の幹部と戦わなきゃいけないってのに大丈夫か」

「この世に二つと存在しないのがユニークスキルよ。恐らくメリッサという女だけの能力ね。さすがに幹部二人がそんなスキルを持っているとは考えにくいわ」


 そこでロスチャイルドが重々しい口を開いた。


「恐れていた事が的中してしまっタ。犠牲になったジョブズとクラプトンに冥福を捧げよう。あとはこの私が片をつけル。円卓の間に辿り着いたら『時間停止』を発動して撹王を殺ス」




 残る敵戦力は撹王とアンネ、ミレイの3人。

 対する探索士陣営はロスチャイルド、風祭、レイラとキッドの4人。


 長きに渡り暴威を振るった『レイジ・リベリオン』を打倒する最大の好機が訪れていた――。

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