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第75話 舞台は3年後。神の如き力【GR】

今回から、作中では3年後の世界が舞台となっております。

終章となってますので、完結まで今しばらくお付き合い下さいませ。

「【GRゴッドレア】って知ってるか?」

「はあ? なんの話だよ」

「スキルのレアリティの話だよ。【N】【R】【SR】【SSR】【URアルティメットレア】の5段階のレアしかないと思っていたんだが、噂に寄ればその上に【GR】ってのが存在するらしいぜ」

「そんな都市伝説聞いた事もないな。【UR】でさえ凡人じゃ一生お目にかかれないチートだろ。S級探索士は皆持ってるって聞いたけど」

「ああ。だから【GR】なんてものが存在したら一体どんなスキルなんだろうな」

「そりゃきっと――文字通り神の如き能力なんだろうよ」







 『レイジ・リベリオン』の誕生から3年。

 彼らの思想に共鳴した者たちが街でスキル犯罪を繰り返し、世界中の治安が悪化していた。

 さながら世紀末都市のような或いは暗黒郷ディストピアのような、荒廃した都市郡も現れ始めた。

 

 URスキル『亜空間移動』によって彼らは神出鬼没に現れては、敵対勢力を潰していった。

 『レイジ・リベリオン』を演説で激しく批判した米国の大統領は、公衆の面前で暗殺された。

 またG7の会合の場では厳重なセキュリティーを掻い潜り、各国首脳陣の前に幹部が現れ『我々に関与すると米国大統領と同じ末路を辿る事になる』と脅迫して去っていった。


 それ以来、各国政府の軍事関係者、捜査機関は及び腰になってしまっていた。

 現状、『レイジ・リベリオン』の捜査は探索士協会のみが行っている状態になっていた。







 地下数百メートルに掘られたシェルター。

 ここに『レイジ・リベリオン』のアジトがあった。


 幹部は7人まで増え、円卓にて会議が行われていた。

 そこには3年前と変わらずアンネとミレイの姿もあった。


 黒衣の外套に身を包んだ撹王かくおうは重々しい口調で皆に声をかける。


「幹部諸君。お集まり頂きご苦労。早速本題に入ろう。現在世界に残された現役S級探索士は35人。皆の協力もあってここまで数を減らす事に成功した。感謝を述べたい」


 幹部たちは撹王から称賛の言葉を頂き、思わず表情が綻んだ。

 皆、心酔仕切っていた目で撹王を見つめている。


 撹王直属である彼ら幹部には、高レアのスキルカードが提供されていた。

 彼ら幹部はS級探索士を暗殺し続け、現役のS級探索士はその数を10分の1にまで減らしていた。



「現在私の『スキルガチャダス』でガチャを引いた回数は通算9000万回を越えた。1000万回の記念アップデートで回数制限が撤廃されたおかげで、ガチャを回すスピードも上がった。このまま行けばもうじき1億回に到達する。URスキル『予言』に寄れば1億回に達すると【GRゴッドレア】レアリティが開放されるそうだ。こうなれば我々が世界を統べたも同然だ。私の悲願が叶う日も近い」


 そこで幹部の一人であるミレイが口を挟んだ。


「いつも聞くけどよ、その悲願ってなんなんだ? それと【GRゴッドレア】ってのがどんな能力か気になるぜ。本当に世界を統べる力なんてあんのかよ」 


 その不躾な言葉に、ゴスロリ少女アンネがミレイを窘める。


「もーう。ミレイちゃん、撹王を困らせちゃダメだよ♪ プライベートな事はあまり聞いちゃダメ♪ 幹部の中に裏切り者がいたらどうするの」

「構わんアンネ。私は皆を信頼している。能力を明かす事により私を暗殺しようと思ってもそれが不可能である事が分かって貰えるのなら答えても良い。余計な邪心は捨てて貰いたいものだ」


 そう行って撹王は新たな幹部5人の顔を睥睨した。

 幹部たちはごくりと生唾を飲む者、無関心を装う者、ヘラヘラと笑う者と反応は様々だ。


「それでは解散とする。各自、暗殺対象であるS級探索士の調査を頼む」


 それぞれが円卓の席から姿を消していく。






 幹部の中の一人である新人の少年キッドが、転移先である廃墟にて溜め息をついた。


「こりゃまいったね。【GRゴッドレア】とかスケールが大きすぎて話にならないよ。苦労して幹部にまでなったのに一体どうやれば撹王を仕留められるんだろうね。常にアンネとミレイが傍にいて殺るチャンスが無いしさ」

 

 この少年キッドは探索士協会が送り込んだスパイだった。

 公な記録などは何一つ残っていない身元不明の孤児で、協会によって育成された暗部の少年だった。



 キッドは早速『レイジ・リベリオン』に見つからないように移動し、協会の人間に今日の出来事を報告した。

 今や弱体化してしまった探索士協会であったが、キッドの働きによって『レイジ・リベリオン』の実態把握に迫っていた。


 日本探索士協会会長丹下は、キッドの報告を聞き天を見上げた。


「このままでは世界中のS級探索士が全滅してしまう。なにより撹王だけでも厄介なのに6人の幹部にどう対抗すればいいのだ」


 丹下はこの事実を世界中の探索士協会に通知した。

 キッドの情報を元に世界中の探索士が日本に集まり『レイジ・リベリオン』撲滅に向けて動き出していた。





 そして世界最強と呼ばれるS級探索士5人が撹王暗殺のために来日した。


 ダンジョン踏破数世界一の『迷宮王』トビー・クラプトン。

 所有スキルは千を超える『技能達人スキルマスター』レイラ・アンダルシア。

 迷宮主ボス撃破数世界最多『超人』デレク・ジョブズ。

 世界最難関ダンジョンをソロで攻略した『孤高』風祭大吾。

 リーダーは探索士ランキング10年連続1位の『伝説』アダム・ロスチャイルド。


 現状、彼らが人類最強の5人と呼んでも相違ない。

 彼らが敗れればその瞬間に世界は『レイジ・リベリオン』に屈する事になる。


 リーダーロスチャイルドは丹下会長に「この男に協力ヲ取り付けて欲しイ」と一枚の写真を渡した。


 その写真に映っていたのは、スキルガチャ屋只野一人だった――。

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