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第6話 徐々に広まる俺の『スキルガチャダス』の噂

本日は一挙3話投稿!!


まず1話目の投降です!

 俺の住む田舎町の近隣ではもっとも大きい『南新橋ダンジョン』。

 全35層からなる中規模のダンジョンだ。


 平日なのに人も多く、駐車場には車が数十台停まっている。

 自転車やバイクも沢山停まっていて、まるで郊外のスーパーマーケットのようだ。



 焼き鳥やクレープを売る出店や、コーヒーやパンを売る車内販売のフォルクスワーゲンに人が集まっている。

 ポーションやスキルカードを路上で販売する探索士もいた。

 



 その隣で俺は段ボールで自作した立て札に「一回一万円でスキルガチャ引けます」と書いて、地面に置いた。

 立て札の横に『スキルガチャダス』を出現させる。


 何人かが突然現れたガチャの筐体に驚きの表情を浮かべる。

 良い傾向だ。


 次は人を集めなければ。

 無論今まで商売などやった事がない。恥ずかしさを噛み殺して、呼び込みの声を上げる。



「はーい。寄ってらっしゃい。見てらっしゃい。世にも珍しいスキルガチャだよー。一回一万円で誰でもスキルカードをゲット出来るよー。魔法もスキルも使えないで悩んでいるそこのあなた! スキルガチャなら運次第であなたも今日から魔法使いだ! さー、寄ってらっしゃい。見てらっしゃい」



 俺の呼び込みに物珍しさを感じた探索士たちが集まってくる。

 スキンヘッドの男が俺に質問してくる。


「スキルガチャってなんだ? どういう仕組になっているんだ?」

「いい質問ですね~。スキルガチャってのは一回一万円で誰でも回せるこのガチャの事です。必ずスキルカードを一枚ゲット出来ますよ」

「何っ!? それってあの超プレミアスキルの『ガチャ』が誰でも利用出来るって事か!」

「そのとおり! 内容はランダムで必ず一枚スキルカードをもらえますよ」

「ほ、本当かよ……」


 気が付くと俺の周りには4、5人の男たちが集まっていた。

 会話の内容から各自、俺の能力の真偽を確かめたくて仕方ないようだ。

 ちなみに店名はスキルガチャ屋にした。



 その時、長髪の男が挙手をして俺の前に近付いてきた。


「お、おい。その話本当か? 俺魔法もスキルも持ってないから試しに一度引いてみてもいいか?」

「ありがとうございます。それでは一万円を差込口に入れてください」

「ああ。これでいいのか?」



「入金を確認しました。右のダイヤルを回してください」



 長髪の男は右のダイヤルを回した。

 ダイヤルを回しきり、カードを掴むと一気に引き抜いた。




【N】炎魔法:『プチフレイム』




「おーーーー!! 『プチフレイム』のスキルカードが出たぞ!」

「おめでとうございます。当たりと言って良いでしょう」

「これ使っていいのか?」

「もちろんです。使用するのも売却するのもお客様の自由です」

「やったーーー! これで俺も魔法使いだぜ!」


 長髪の男は早速『プチフレイム』を習得し、手のひらの上に小さな火の球を浮かび上がらせた。

 その光景を見てギャラリーが息を呑む音が聞こえた。

 

 スキンヘッドの男が財布を掴んで俺の元に迫った。


「おいマジかよ! 本物じゃないか! 俺にもそのガチャ引かせてくれないか!」

「ありがとうございます。それでは一万円を差込口に入れてください」

「よ、よし」


 スキンヘッドの男が引いたスキルカードは【N】パッシブスキル:『闇魔法耐性(微小)』だった。


「こ、これってカードを使えば俺もこのスキルを習得出来るのか?」

「はい。もちろんです。使用するのも売却するのもお客様の自由です」

「うーん。どうしよう。売ってしまおうかな。多分7千円くらいにはなるしな」



 スキンヘッドの男が突っ立って悩んでいると、彼を押しのけて小太りの男が筐体の前に立った。


「おい。俺にも引かせてくれ! 回数制限はあるのか?」

「いえ。お一人様何回でもチャレンジして頂けます」

「そ、それなら二回引かせてくれ」

「ありがとうございます」



 小太りの男の慌ただしい反応を見て、周囲に集まり始めた男たちが焦りだす。



「俺も引こうかな」

「万札無え!! ちょっと金下ろしてくるわ」

「スキルが一万円で得られるってやばくね?」

「こんなん奇跡じゃねえか」

「俺もパチンコで勝った金突っ込んでくるわ」

「何この人だかり?」

「やべえ! マジでスキルカード貰えるのかよ?」

「運試しに俺も一回引いてみようかな」

「なになに? 何の騒ぎなの?」



 俺の周りには噂が噂を呼んで20人近い人だかりが出来ていた。

 徐々に軽いパニック状態になっていく。 



「お、押さないでください。一列に並んで! ガチャは無くなりませんので!」



 万札を手に掲げた鼻息荒い男たちが、押し合いへし合い殺到してくる。

 予想以上の反応に思い切り戸惑ってしまう。 


 ガチャを引いた者たちが悲喜こもごもの感想を述べる。



「うわ! 『沈黙耐性(微小)』ってイラネ」

「三枚引いたがノーマルしか出ねえじゃねえか!」

「おお! 『敏捷上昇(小)』キター!!! これ売っぱらえば3、40万にはなるんじゃねえ?」

「羨ましいわー。俺なんか五回引いてゴミしか出ねえ。多分売っても1、2万だわ」

「『プチスリープケア』か。『ジェネスリープケア』使えるから下位互換のスキルは不要だな……」

「魔法出ねえじゃん! ステータス微増のパッシブスキルしか出ねえわ」

「アクティブスキル出た! 『乱れ突き』って槍っぽいけど剣でも使えるのか?」

「競艇で勝った8万ぶっ込んだら【R】出たぜ! ヒャッホー!」



 予想外の大騒ぎになってしまった!


 無許可で出店している焼き鳥屋やクレープ屋が俺に冷たい視線を送っている。

 荒稼ぎをする俺に、反感を抱いていそうだ。

 これは一度ダンジョン管理協会に行って商売の手続きをしないと叱られそうだな。

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