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第54話 メイに誕生日プレゼントとして【SR】英霊カードを送る。

 この日は珍しくメイと二人でダンジョンを探索していた。

 他のメンバーに声をかけようと思ったが「きょ、今日は少人数で……、只野さんと私の二人だけで挑戦しましょう!」と言われたので、二人だけで探索をする事になった。


 メイの住む東京と、俺の住むX県の中間にある『毛呂山ダンジョン』に挑む事にした。

 中規模程度なので二人でも無理しなければ問題ないはずだ。


 メイはダンジョン産の素材で作ったピンクのハーフローブを着ていた。

 長い黒髪と黒目がちな大きな瞳とマッチして、ダンジョン外で着ても違和感がないほど可愛い。

 メイの清楚なお嬢様感が引き立てられている。


「メイ、そのハーフローブ可愛いな」

「ありがとうございます! このローブは素材をコツコツ集めて作ったので思い入れが深いんですよね」

「その気持ち分かるよ。俺も初めてボディーアーマーを作った時は嬉しかったなぁ」

「苦労した分愛着が湧きますよね!」

「そうなんだよ。美波なんてずっとあの【にゃんにゃん♥パーカー】を着てるし。ちゃんと洗濯してるのかあいつ」


 そこでメイは怪訝そうな表情に変わる。 


「あの……美波さんと只野さんってどういう関係なんですか? とても仲良しですし、いつも一緒にいますよね?」

「え? どういう関係って……俺の経営するガチャ屋の店長とバイトだよ。探索士仲間でもあるからよく一緒に探索するけどね。別に仲は良いわけではないよ」

「そのぉ、……お二人って付き合ってたりしませんか? 恋人同士……ではないですよね?」

「ええ!? そんなわけないだろ。一回りも年齢が離れてるし恋人とかって関係じゃないよ。一体どうしたんだ? 急に変な事聞いたりして」

「良かった……。それを聞けて安心しました」


 そう言うとメイはにこにことご機嫌な表情へと変わった。

 意外と表情がコロコロ変わるんだな。

 新たな一面を見つけた気がする。


「今日はどうして二人だけで探索をしようと思ったんだ?」

「そ、そ、それはえーっと……そう! 修行です! いつも皆さんに助けられる事が多かったので今日は私も魔物を積極的に倒したいと思ってます!」

「ほーう。それは良い心掛けだな。そう言えばメイって普段はどんな武器を使ってたっけ?」

「私はこの【メープルウッド・ワンド】を使用してます」


 そう言ってメイが見せてくれたのはオーケストラの指揮者が振るう指揮棒タクトのように、細くて小さい杖だった。


「ワンドは魔法攻撃特化で物理攻撃は出来ないよな」

「はい。魔力はかなり増大されますし、回復魔法のブースターの役割も果たすんですけど、単純な武器としては使用できません」

「これまでの探索はどうしてたんだ?」

「基本的には後衛でヒーラーの役割を担当してました。今日みたいに、ふ、二人で潜行するのは初めてです」


 なるほど。

 今までは大人数でパーティーを組んで探索してたのか。

 ソロ専だった俺とは大違いだ。


「今日は人数も少ないからメイにも攻撃を担当してもらいたいな。なにせ強力な【SR】水魔法を持ってる事だし。頼めるか?」

「は、はい。只野さんのお役に立てる様に頑張ります!」




 

 メイに取っては経験の少ないコンビでの迷宮挑戦となった。

 俺はガンナーでメイは魔術師タイプなので、二人共後衛だ。敵が接近する前に仕留めるという戦法を取ることとなった。


 前衛がいないのは少し不安である。

 10層くらいなら余裕だったが、15層、20層くらいから徐々にキツくなってきた。

 後方からの攻撃なので威力、命中、精度が下がる。

 前衛で足止めしてもらえたら、もっと余裕を持った攻撃、戦略が行えるはずだ。

 

 23層まで潜って、メイの疲れも溜まってきたので帰還する事にした。


「結構狩れたな。ここら辺で帰還することにしようぜ」

「はい。ちょっと疲れましたね。でもこんなに魔物を倒したの私初めてです!」

「それは良かった。でもやっぱり前衛がいないと大変だよな」

「本当ですね。特に私は攻撃魔法に特化したパッシブをあまり所持してないので、強い魔法はリキャストタイムが長かったり、範囲が狭かったりするんで大変でした」


 白魔術師型のメイはやはりスキルも回復魔法に特化しているのだろう。


「今日一緒に戦って感じたのだが、やはりメイも魔物を足止めする何らかのスキルは持っておいた方がいいかもな」

「足止めですか? 例えばどんなスキルでしょうか」

「光魔法で目眩ましとか、闇魔法で目潰しとかかなぁ? 時間を稼げればそれだけ余裕を持った戦略をたてられるし」


 そこで我ながら名案が思い浮かんだ。 


「そう言えばメイはもうすぐ誕生日だったな。俺のスキルカードの中から良さそうなのを見つけてプレゼントするよ」

「そ、そんな! 只野さんから何かを頂くだなんて恐れ多いです! スキルカードなんて高価なもの頂けません!」

「大袈裟だなぁ。前にも話したが俺が自分で引いたガチャは『販売不可』の刻印が押されて売ることが出来ないんだよ。なので自分で使用するか美波にやるくらいしか使いみちが無かったんだ。処分にも困ってるし有効活用してくれるとありがたいよ」

「そ、そういう事情でしたら、ありがたく頂戴したいと思います!」


 オーバーな物言いだが、受け取ってくれるらしい。



 『毛呂山ダンジョン』から帰還し、メイを駅まで送り届けた。

 早速自宅で、余ったスキルカードの確認を行った。


 これまでGPガチャポイントガチャで結構な枚数を引いていた。

 一番の当たりは【SSR】召喚獣のカーバルくんだ。


 GPガチャは客が回したガチャの結果に寄って、ポイントが蓄積される。

 【N】は0.1ポイント。【R】は1ポイント。【SR】は5ポイント。【SSR】は30ポイント。

 俺は1ポイントで1回ガチャを引ける。


 

 手持ちのスキルカードがパッとしないのでGPガチャを引いてみる事にした。

 60回ほどガチャを引いた時、眩い黄金の【SR】カードが排出された。

 その【SR】カードを確認すると見慣れない文字が踊っていた。


「【SR】英霊『鎧武者アツモリ』」


 英霊とはなんだ? 鎧武者? なんだか侍みたいな名前だな。

 俺は早速このカードを調べてみる事にした。


 ネットで調べてみると、どうやら英霊というのは召喚獣のように呼び出して、共に戦ってもらえるパートナーになるらしい。

 このスキルカードならメイの弱点を埋めてくれるかもしれない。



 これは良い誕生日プレゼントになりそうだ――。

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