第48話 『マジックガン』と『エナジーガン』
ステファニーと共に『所川ダンジョン』にて新調した銃の試し撃ちを行う事になった。
ダンジョンに潜行してすぐ、二足歩行の犬型の魔物コボルトと出くわした。
早速エナジーガン『デッドブル』で狙いを定め、エネルギー弾を射出した。
第一層に現れる雑魚だけあって胴体に受けた一撃で絶命した。
「銃のメーターを見てくだサーイ。少し減ってるのが分かりマスか?」
「あ、本当だ。これはもしかして俺の気力やスタミナですか?」
「イエース。銃を握ると持ち主の残りのエナジーを読み取るのデス」
「このゲージがなくなるとエナジーガンは撃てなくなるんですね」
「その通りデース。エナジーを多く込めると威力はアップしますが、ゲージは直ぐに無くなりマース。試しにエナジーを思い切り溜めて銃を撃ってくだサーイ」
俺は『デッドブル』に思い切りエネルギーを装填し始めた。
溜め攻撃と同じで、結構時間がかかる。
銃に体力を吸収されてる感覚がある。
例えるなら献血で血を吸われているような感じだろうか。
限界までエネルギーを込めると、壁を目掛けて弾丸を発射した。
ソフトボールくらいの大きさのエネルギー弾が銃口から発射され、壁に着弾すると衝撃が拡散した。
壁には直径1メートルほどの大きなひび割れが走っていた。
凄まじい威力だ!
これなら大型の魔物を仕留めるメインウェポンになり得る。
ところが、今の一発を射出してから全身にドッと疲れが押し寄せてきた。
全力疾走をした後のように呼吸が荒い。
身体にも上手く力が入らない。
見ると『デッドブル』のエナジーゲージは空になっていた。
「お分かりデスカー? エナジーをすべて込めると強力なショットを撃てますが、代わりに肉体のエナジーを沢山持っていかれてしまいます。一匹を倒せても他の魔物に襲われたら大変なので、体力のペース配分に気を付けてくだサーイ」
「た、確かにそうですね。こんなヘトヘトになるなんて知りませんでした」
続いて『アースメーカー』の試射に臨んだ。
4層に降りるとホブゴブリンがいたので、敵を挑発してこちらに攻撃させるよう仕向けた。
怒りながらドスドスと歩み寄ってきたので接敵する瞬間、俺は地面に向かって『アースメーカー』を発射した。
すると畳一畳分くらいの土壁が現れてホブゴブリンの棍棒攻撃を防いだ。
突然地面から現れた土壁に、驚くホブ。
俺は更に垂直に立った土壁に向かい『アースメーカー』に魔力を込め弾丸を放つ。
すると銃口から発せられた糸を引くような弾丸は、土壁に触れると突き抜けるようにホブゴブリンに迫った。
土壁から伸びた鋭いトゲが、ホブゴブリンの心臓を貫いた。
「驚いたデスか? マジックガンは魔法の様に、弾丸が射出されてもある程度の時間は操作する事が出来るのデス。言うなれば銃が魔法の杖の代わりになるのデース」
「なるほど。使い方次第ではマジックガンの方が色々な事が出来るのか」
「ハーイ。例えばこんな事も出来マース」
ステファニーは腰のガンホルダーから自分の水色のマジックガンを取り出した。
目の前の空間目掛けて、突如銃を放った。
どうやら氷魔法らしく、膝くらいの高さに一枚の氷のブロックを作った。
それから何回か、宙に向かって銃を撃ち続けると、あっという間に氷の階段が出来上がった。
ステファニーはひょいと飛び乗ると、3メートルほどの高さの階段の最上段にまで上がった。
「このようにマジックガンはとても便利なので探索で非常に助かりマース。魔力ゲージが空にならない様に気を付けてくだサーイ」
エナジーガンと一緒でマジックガンにもメーターが付いていた。
このゲージが空になるとマナ切れを起こすらしい。
その後、低層にて実戦を交えながら銃のレクチャーを受けた。
ホルスターの位置、銃の抜き方などの基礎から、敵に急襲された場合や、多勢に囲まれた時の対処方法なども教わった。
基本的に銃は利き腕で一つずつ扱うべきだが、時間的猶予がない場合は左手で『マジックガン』を持ち防御を固めて、右手の『エナジーガン』で攻撃を行う事もあるとの事。
ガンナーに二丁拳銃使いが多いのは2種類の銃を扱うかららしい。
一通り講習が終わって、ステファニーへの報酬の話になった。
すると、彼女は興味津々といった顔で俺の瞳をのぞき込む。
たわわな胸の谷間が目の前に飛び込んできて狼狽える。
「報酬は只野サーンのガチャを引かせて欲しいデス。誰でもガチャが引けるだなんてとても興味深いスキルデース」
「そ、それくらいならお安い御用ですよ。ここはダンジョン内なので『スキルガチャダス』も発動出来ますし」
俺が『スキルガチャダス』を発動させると『初号機』と『【R】10』の2台のガチャ筐体が現れた。
「ワーオ! これがガチャデスカ。赤い『【R】10』と書かれた台はなんデスカ?」
「それは1日10回限定で、レアリティ【R】以上が確定で排出されるガチャです」
「【R】が必ず出るなんてスゴイですネー!」
「良かったらこの『【R】10』を引いてみませんか?」
「よろしいんデスか? 1日10回しか引けないんデショ?」
「大丈夫です。今日は休業日なので誰もガチャを引きませんし、そもそも俺は『【R】10』は引けません」
自分でガチャを引く場合『初号機』のGPガチャしか引けなかった。
GPガチャもアップデートで使いやすくリニューアルして欲しいところだ。
ステファニーは目を輝かせて『【R】10』ガチャにお金を挿入し、右のダイヤルを回した。
すると【SR】パッシブスキル:『クリティカル率アップ(中)』が排出された。
「おおっ! 【SR】が出ましたね。しかも中々のレアカードですよ」
「イエース!! 『クリティカル率アップ(中)』はずっと欲しかったデース! アメリカだとこれは2万ドル以上しマース。まさか100ドルでゲット出来るなんて夢見たいデース。只野サンありがとうネー」
ステファニーはそう言うと俺に抱きついてほっぺにキスをした。
二の腕に、弾力がありつつも柔らかい双丘が押し付けられる。
突然のラッキースケベに戸惑いを隠せない。心臓がバクバクと波打つ。
一方ステファニーはと言うと何事も無かったかの様にスキルカードを持って喜び飛び跳ねている。
さすがアメリカン。ハグ&キスなど彼女にとってはただの喜びの表現に過ぎないらしい。
その後、今後は土日や平日の空き時間などに指導してもらう約束をした。
正しい射撃姿勢を身に付け、銃身を安定させるトレーニングを行い、その後射撃場で訓練を積んだり、ダンジョンで実戦を行っていく予定との事。
彼女をZ駅前で送っていき別れの挨拶を交わした。
「ステファニーさん。今日は1日付き合ってもらってありがとうございました」
「オー。水臭いデスネー。私の事はステフと呼んでくだサーイ。敬語も不要デース。師弟関係を結びましたが、私たちはあくまで対等な関係デース」
「そうか。分かったよステフ。改めてよろしくな」
「イエース! こちらこそよろしくネー!」
新たな師匠ステフは実に明るくチャーミングな女性だった。
少々感情表現豊かだが、悪い人ではなさそうだ。
ガンナーとしてもっと力を蓄えていけるよう精進しよう――。
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