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第31話 結果発表。 暫定パーティー結成

 2ndステージ終了後、係員の指示に従い2階のレスリング場みたいな場所で待たされる。


 待機している人間の数は思ったより少ない。

 どうやら全ての魔物を討伐出来なかった者は失格となり、その場で帰されたようだ。

 

 待機者の中には美波や萌仁香、ムッツがいた。

 俺の後に2ndステージに挑んでいた猫田美夜、『山梨の怪僧』土門雄浩、『秋田の希望』畠山栄作らも姿を表した。

 やはり実力者たちにとって2ndステージくらいの試練はなんなく乗り越えるものらしい。




 数時間後、2ndステージ全員のチャレンジが終了した。

 189人いた挑戦者は78人にまで絞られていた。


 脱落者100人以上か。結構厳しいな。

 カバかペンギンで大半がやられ、なんとか突破出来ても最後のカメレオンが見つけられずにタイムアップを迎えた者が多いと予想する。


 

 78人全員がレスリング場に集まると、例の厳しそうな妙齢の女性が現れた。

 どうやら彼女はプロ探索士試験の試験官代表らしい。

 代表はフロア前列に置かれたマイクの前で重苦しい口を開いた。

 

「皆様、正面に注目して下さい。只今より電光掲示板に合格者の番号を表示させます。自分の番号があった者は合格となりますのでこの場に残ってください。番号が無かった者は不合格となりますのでその場でお帰りください」 



 来た! 

 運命の結果発表だ。


 合格者は50人だけ。

 残ったのは78人だから28人が落ちる。


 今回はタイムアタックだ。残り時間が多かった者から選ばれる。

 俺は残り時間1分ほどしか残せなかった。


 正直かなり厳しいかもしれない。

 果たして他の受験者はどの程度のタイムでクリアする事が出来たのか。



「それでは番号を表示します」



 次々と電光掲示板に番号が表示されていく。

 

 001

 015

 034

 043

 069

 077 

 09…

 0……



 俺の番号が見つからない。

 美波は合格だった。

 

 順に目で追っていく。

 頼む。あってくれ!

 

 104

 107

 125

 146

 161

 187

 19…

 1……



「やった! あったぞ! 187番。嫌な番号なんて言ってすまんかった!」


 俺は飛び上がってガッツポーズをする。

 周囲は俺のように喜びを露わにする者、激しく落胆する者など悲喜こもごもだ。


 やがてざわめきが収まり、不合格者が皆姿を消した頃、試験官代表は説明を始めた。



「おめでとうございます。現在残っている50名が最終3rdステージへと進出する権利を持った者たちです。最終3rdステージはこれまで幾度も死者が出るなど極めて危険な試験となっており、皆様には挑戦するか否か熟考した上で、参加の是非を決めてもらいます」

 

 参加者の中から不安を口にする言葉が聞こえた。

 確かに。いきなり死ぬかもなんて言われたら不安になる。



「3rdステージ『ボスバトル』は5人のパーティーで大型の魔物を討伐してもらいます。組分けは2ndステージの成績を考慮してこちらで決定させて頂きます。迷宮主(ボス)を想定した強敵となりますので、くれぐれも命を大切に挑戦して下さい。当日は万が一の事態に備えてA級探索士を救命要員として待機させておきます。もちろん魔物の討伐には手を貸しません。彼らが手を貸した瞬間にそのパーティーは失格とさせて頂きます」



 『ボスバトル』か。なんだか今まで一番大変そうだぞ。

 C級探索士5人で討伐出来るものなのか?


 しかしA級探索士が見守ってくれてるのは有り難い。

 会場にいる参加者から安堵の溜息が漏れる。

 

 A級探索士は誰もが名前を知っているような、一騎当千の超人揃いだ。

 丸腰で象を一瞬で仕留められるような化物だらけだそうだ。

 有名な探索士ならサインを貰いたいところだ。


 とは言え、手を借りたら失格になってしまうので自分たちでなんとか魔物を仕留めなければならない。

 となると組分けがなにより大事になる。



「只今より1時間、参加の有無を考える時間を与えたいと思います。3rdステージ参加希望者はこの場に残ってください。辞退される方はお帰りください」



 そう言い残して試験官代表は去っていった。

 

 代表の言葉に腕組みをして悩む者もいた。

 俺はもちろん参加するつもりだ。 


 あと3rdステージさえクリアすれば二次試験は合格だ。

 ここまで来て辞退するなんて選択肢はない。


 どうやら皆、同じ気持ちだったらしい。

 一人も去らずに50人全員が3rdステージ挑戦を決めた。






 試験官代表が戻ってくると、早速組分けが行われた。

 成績上位者と成績下位者をバランスを考慮し、5人ずつ振り分けたとの事。


 俺の番号が呼ばれる。


「034番、125番、187番、369番、413番の5名はこちらに集まってください」


 この5名が運命のパートナーだ。

 出来れば強そうな奴らがいて欲しい。


 呼び出された者の顔ぶれに見知った顔を複数見つける。

 

 長身で派手なファッションの謎のオネエ、ムッツ。

 猫っ毛猫口で、気まぐれな猫を擬人化したような猫田美夜。

 修験者のような白装束を着た実力者『山梨の怪僧』土門雄浩もいた。


 あと、一人は見慣れない黒髪ロングの少女だった。

 高校生から大学生くらいだろうか。

 坂道系アイドルが着てるような清楚なワンピースを着ている。

 顔立ちは文句なしで可愛いが、目をキョロキョロさせて、どことなく挙動不審だ。




 5人集まるとムッツが場を仕切りだした。


「皆集まったようね。合格する時も不合格の時も私たち5人は一緒。言わば一蓮托生ってやつね。簡単に自己紹介しておきましょう。私はムッツ。本名は聞かないで頂戴。特技は近接戦闘よ。よろしくね」


 続いて猫田が「はいはーい」と挙手をして自己紹介を始める


「私は猫田美夜だにゃ。都内のM大学に通うジャーナリスト志望の学生だにゃ。皆の事はリサーチ済みだけど私の事は知らないだろうから自己紹介するにゃ。戦闘スタイルは雷魔法特化のパッシブマシマシの魔術師タイプだにゃ。一応【SR】の『ハイサンダー』を使用出来るにゃ。鈎爪攻撃を活かした前衛でも活躍出来ると思うにゃ。それも踏まえて戦術を決めて欲しいにゃ」


 やかましい猫田の次に『山梨の怪僧』土門雄浩が、喉仏の突き出た太い首から低い声を発する。


「我は土門雄浩。土魔法と体術の心得あり。前衛、後衛共に務められる故、皆を守る盾となり、敵を穿つ鉾とならん」


 それだけかよ。

 まあこいつは一番の実力者という噂だから、言葉は少なくとも頼もしい。

 俺もざっと自己紹介を行う。


「只野一人だ。拳銃、猟銃を使用した『魔弾』攻撃を得意としている。魔法も一通り使えるが、パッシブは一つに特化していない。フィジカル4点セットは【R】のみ。前衛はちょっと自信がないがやれといわれたら善処しよう。よろしく頼む」


 最後に残された黒髪ロングのゆるふわガールに視線が注がれる。

 少女はアワアワと口を震わせ、意を決し自己紹介を始めた。


「わ、わわ私は黒崎メイと申します! た、戦うのはすごく苦手です。い、一応攻撃魔法は一通り使用出来ます。あ、あと治癒魔法はすべて【SR】が使用出来ます! よ、よろしくお願いします!!」


 テンパリ過ぎだろ。

 でも説明を聞く感じだとかなり有能そうだ。


 治癒魔法はすべて【SR】が使えるのはC級探索士としてはかなり稀だ。

 スキルカードはかなり高価なはず。

 黒崎メイといったか。彼女は良いところのお嬢さんなのかも知れない。




 猫田とムッツの提案により、宿舎にて明日の『ボスバトル』作戦会議が行われる事になった。

 相手は迷宮主(ボス)レベルの強敵だ。


 しっかりシミュレートしておかなくてはな――。

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