第3話 一回一万円!? 俺のスキルは有料だった
本日は一挙5話投稿します!!
第3話目です!
『スキルガチャダス』を発動させると目の前に、1、5メートルくらいの大きさの筐体が現れた。
「これがカードを引ける筐体か? 懐かしいな。見た目は子供の頃にハマっていたカードダスにやっぱり似ているな」
一回20円で1枚、100円で5枚のカードが出てくるカードダスという筐体があった。
ガ○ダムやド○ゴンボールのカードをよく引いてコレクションしたものだ。
今はデータカードダスっていうゲームをやる事がメインでカードはおまけみたいな筐体しかない。
「これってまさかスキルカードが出てくるのか? それならすごいけど。物は試しだな。早速やってみよう」
ガチャの真ん中に金額を投入出来る箇所があった。
説明をよく見る。
「なになに、えーと「一回一万円を入れて下さい」……一万円!? 高けえ! 中々キツイぞ一万は。今日の稼ぎが一瞬でパァになっちまう」
とは言え『スキルガチャダス』というスキルを確認するには実際に利用してみる他ない。
俺は泣く泣く財布から虎の子の諭吉を一枚出して挿入した。
「入金を確認しました。右のダイヤルを回してください」
「よっしゃ! 頼むぞ! レアなの出てくれ!!」
手を合わせてから『スキルガチャダス』のダイヤルを回すと、スキルカードが出てきた。
【N】 パッシブスキル:『敏捷上昇(微小)』
「【N】ってレアリティがノーマルだよな。パッシブスキルは自動的に発動されるスキルの事か。敏捷上昇か。よく分からんがスキルカードを発動してみるか」
スキルカードを使用すると、下半身に不思議な力がみなぎるのを感じる。下半身といっても勿論股間ではない。太ももやふくらはぎに軽く力を入れてみて横に飛んでみる。
軽い反復横飛びのつもりが普段の倍くらいの距離を飛ぶ事が出来た。
「すげえ! ウサギにでもなった気分だ! 敏捷性が上がったって事か?」
俺は一度ガチャの筐体を仕舞うように念じると『スキルガチャダス』はドロンと煙を出して、空間から消えた。
もう一度出現するよう念じると、簡単に目の前に現れた。
「いつでもどこでも呼び出せるらしいな。こいつは便利だ。一度ATMに寄って5万円ほど引き出してみるか。もっとこの『スキルガチャダス』を試してみたい」
俺は『豊島町ダンジョン』から出ると愛車のベスパに乗って一度自宅に向かった。
まさか猟銃を持って銀行やコンビニに行くわけにはいかないからな。
その後自宅で『スキルガチャダス』を5万円分試してみたところ、5つのスキルを獲得出来た。
【N】 アクティブスキル:『二連撃』
【N】 風魔法:『プチウインド』
【N】 アクティブスキル:『肉のカーテン』
【R】 パッシブスキル:『筋力上昇(小)』
【N】 治癒魔法:『プチポイズンケア』
「【R】が一つ出たな。レアって意味かな? 『筋力上昇』って汎用性が高いから結構高値で取引される人気のスキルなんだよな。あとはアクティブスキルを二つゲット出来たのは嬉しい! おまけに風魔法も使えるようになるとは。探索士たるもの魔法とスキルで敵を攻撃出来なくちゃな。あと地味に毒解除は貴重だよな。毒消しポーションは一本1万はするし」
俺はこれらのスキルカードをすべて使用しスキルを習得してみた。
アパートの裏に行き、こっそりスキルが使用できるか試してみる。
見つかったら通報されてしまうので、人がいないか確認し、バレないように試してみた。
「『プチウインド!』」
俺が魔法名を叫ぶと、手のひらから突風が吹いた。
5メートルほど先の木がブワッ!と揺れた。
「おお。これならゴブリン程度なら吹き飛ばす事が出来るぞ! すっ転んでいるうちに奴らの頭をぶっ叩いてやれば簡単に倒せるかもしれない!」
続いて『二連撃』と『肉のカーテン』を試してみる。
『二連撃』は右ストレートが2連続で繰り出されるだけだった。これはハズレっぽいな。
『肉のカーテン』は両腕でガードの姿勢を取ると、透明なバリアが発生した。恐らく防御系のスキルだろう。敵の攻撃をどの程度防げるのか、実験してみたいところだ。
「『筋力上昇(小)』ってもう発動してるんだよな?」
一番期待していたレアリティ【R】のパッシブスキルだ。
試しにゴミ捨て場に置いてあった鉄パイプをひねってみる。
両端を持って力を入れるとグニャリと曲がった。
「うおっ! すげえ。まさにスーパーマンじゃないか。このパワーがあればもっと下の階層に潜れるかもしれないな」
『筋力上昇』は使い勝手がいいため、中級以上の探索士は皆所持しているスキルだ。
俺もようやくEランクからDランクへ挑戦出来るかもしれない。
ダンジョン探索士は資格さえ取れば誰でもなれるFランクからスタートし、探索士協会が定めた、ゴブリン討伐300体以上或いはコボルト討伐150体以上でEランクへと上がれる。
問題はDランクから難易度が一気に上昇する事だ。
Dランクはホブゴブリン30体以上討伐か、オーク10体以上討伐の実績が必要だ。
Dランクは通称「DEADランク」と呼ばれ、俺みたいな中途半端な実力の者が上を目指しては命を落とす、死亡率の高い階級だ。
猟銃などを駆使すればオークなども倒せなくもないが、一発で仕留められなかった場合、反撃を受けて絶命するケースが多い。
ヒグマやイノシシを狩る時の猟師のようなものだ。仕留められなかったら自分が殺される。
俺はそんな危険を犯せないのでEランクに甘んじてきた。
だがこれからは『スキルガチャダス』を使用してスキルと魔法を得れば、もっと上を目指せるかもしれない。
ここにきて俺の人生に初めて良い風が吹いてきた気がする――。
もし少しでもご興味頂けましたらブックマークと『☆5』評価で応援をお願い致します!
下にスクロールしていくと、ポイント評価を付ける部分がございます。
執筆の励みになりますので、レビュー等も何卒よろしくお願い致します!