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第27話 続々現れるライバルたち

 『ジェルレム』討伐後、奥の扉が開き、中に進むよう指示が出た。

 タオルがかけてあったので、ざっと身体を拭く。


 そのまま案内に従って渡り廊下を進み、隣の『屋内トレーニングセンターEAST』へと辿り着いた。


 どうやら1stステージ合格者だけが東館に移れるようだ。

 東館の一階ホールには4、50名程の合格者がいた。俺の後にも何人か試験を合格した者がやってくる。

 突破率は三、四割ってところだろうか。次に進めるのは最終的には200人前後と予想する。



 美波や萌仁香、ムッツの顔を見つける。奴らも無事合格出来たようだ。

 美波の元に向かい、声をかける。


「よう。無事合格出来たみたいだな」

「うん。『ジェネウォーター』ぶっかけたら膨らんで瞬殺だった」

「よく『ジェネウォーター』を使おうと思ったな。俺は敵の弱点が分からなくて四苦八苦したぞ」

「炎が効かなそうな顔してたから水かけてみたら正解だった」

「顔で分かるのかよ」


 パッシブスキルの中には『直感』とか『第六感』とか『弱点感知』みたいな勘を補強するスキルはあるが、どれも高額だし美波は習得していなかったはず。

 敵の弱点を見抜く野生の勘でも持っているのか。



 俺たちのやり取りを見て、相も変わらず萌仁香が絡んできた。


「なんだ。あんた達も受かっていたのか。てっきり1stステージで落ちたと思ったじぇ」

「似たような台詞さっき聞いたばかりだぞ」

「まああんな簡単な試練を乗り越えられないようではとてもプロ探索士になんてなれないじぇ」

「なんでそんな上から目線なんだよ。言っとくけどお前も同じC級だからな」


 腕を組み、下から豊かな乳房を持ち上げて自信満々にニヤける萌仁香。

 実力は未知数だが、調子に乗り過ぎだろ。

 試験に落っこちた時の事を考えてないのか?



 そんなやかましい萌仁香以上にやかましい少女がやって来た。

 ホットパンツから伸びる健康的な生足が目に映える。

 明るい髪色のショートカットで、毛先は外側にはねている猫っ毛だ。

 その髪型と大きな釣り目から活動的な猫っぽい印象を受ける。



「にゃははー。これは豪華な顔ぶれだにゃ。前最年少C級探索士昇格記録保持者の今浪萌仁香と現最年少C級探索士昇格記録保持者の美波ちゃんが一堂に会するとは、その筋の人間からすれば垂涎ものの2ショットだにゃ。おまけに今や探索士ビジネス界隈では知らぬ者のいないスキルガチャ屋只野一人までいるとは、マスコミが泣いて喜ぶ絵面だにゃ」


 まーた変な喋り方の女が現れたな。

 語尾に「にゃ」を付ける女は実在したのか。

 二次元だけかと思ったぜ。


「えーと、どちらさんかな?」

「あっとこれまた失礼! あたしは猫田美夜ねこたみや。ジャーナリスト志望のC級探索士だにゃ」

「ジャーナリスト志望なのにプロ探索士試験を受けるのか?」

「プロ探索士の資格がなければ行けない場所は沢山あるんだにゃ。コジオスコ麓のスレドボダンジョン、アマゾン川のティペレーダンジョン、ワルシャワのカジミェジョフスキダンジョン……」

「途中から何言ってるか分からんが、プロになると色々なダンジョンに潜れるんだな」

「そういう事にゃ。その他にもプロになれば沢山うま味があるにゃ。TV、雑誌、ラジオ、ビューチューブといったあらゆるメディアから取材が来るにゃ。名前が売れると有名探索士と共同での迷宮探索や有益な情報交換が行え、スキルカードや素材のトレードも出来るようになるにゃ。これだけメリットがあるから皆B級昇格を目指すんだにゃ」


 俺が思ってた以上にB級探索士昇格は得られるものも多いらしい。

 この猫田という女はジャーナリスト志望らしいが、プロ資格取得はその夢の足がかりって事か。


「ジャーナリスト志望って事は事情通だったりするのか?」

「試験自体は私も初参加なので詳しい事は分からないにゃ。ただ、参加者の中にいる有望株の事なら教えられるにゃ」

「へえ。例えばどいつだ?」

「まずあの山伏みたいな格好の男、『山梨の怪僧』土門雄浩は合格が固いと言われてるにゃ。Cランカーながらソロでの中規模ダンジョン攻略を成し遂げた実力者にゃ。噂によれば土魔法と体術の使い手だそうにゃ」

「中規模ダンジョンソロ攻略は凄いな。俺と美波も『南新橋ダンジョン』は地下30階くらいまでしか進んだ事ないし」

「なんでも地下48階の山梨にある『都留中央ダンジョン』を一人で踏破したそうだにゃ。中々の難関だにゃ」


 世界にダンジョンが出来て既に30年が経過しているため、世の中の大半のダンジョンは最下層にいる迷宮主(ボス)も含めて攻略済みである。

 迷宮主(ボス)が落とした希少なドロップアイテムで一財産築いたなんて夢物語は黎明期だけの話だ。

 それでもダンジョン最下層到達、通称『踏破』を達成するのは探索士にとって大きな名誉である。

 


 『山梨の怪僧』土門雄浩か。名前だけでも覚えておこう。

 微妙な二つ名なのが気になるが。



「次はあのメガネをクイクイしている若い兄ちゃんだにゃ。『秋田の希望』畠山栄作。細面で縁無しメガネ、傍らにはトルストイの文庫本と秀才キャラっぽいが、戦闘スタイルはゴリゴリの脳筋タイプにゃ。噂によるとそのパワーは家宝だった【SSR】スキルカード『筋力上昇(特大)』を習得した結果らしいにゃ」

「なっ!? 『筋力上昇(特大)』だと? そんなパッシブ持ってるC級がいたのか」

「たしかに【SSR】フィジカル向上系スキルカードは値段以上に希少価値が高くて低ランカーは手に入らないからにゃ。なんでも親戚に有名探索士がいたらしく譲ってもらえたらしいにゃ。本人の実力も高く、全62層からなる『男鹿なまはげダンジョン』を仲間4人と踏破したらしいにゃ」


 やるな『秋田の希望』畠山栄作。

 文庫本をずっと逆さに持ってるあたりなんかバカっぽい気がするけど。


 

 どうやらプロを目指す猛者たちがこの会場に大勢集っているらしい。

 面白くなって来たぜ――。

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