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第22話 プロ試験会場へ。 巨乳ボクっ娘萌仁香現る

 ここ最近客が少ない。

 いつも通り『南新橋ダンジョン』にて営業を行っているのだが、客の数が目に見えて減っていた。

 全盛期は営業前から50人くらい並んでいたのに、今は数えるほど。 


 一体なぜだろう。 

 隣りの美波に何気なく疑問を投げかける。


「おかしいな。ツブヤイターでもちゃんと営業告知してきたんだけど」

「そういえばエゴサしたらうちの店に変な噂が流れてたぞ」  

「な、なんだって!?」

「なんでもスキルガチャ屋は闇営業だの、ガチャ引くと警察に捕まるだの書いてあったぞ」

「くっそ~。誰だ? そんなめちゃくちゃなデマ流した奴。こっちはちゃんと許可取ってるんだぞ」


 荒稼ぎしたことを誰かに妬まれたのだろうか。

 それともガチャが爆死した者が恨んででっち上げたのか。


 昼休憩を挟み、店舗に戻ると『疾風のアリサ』がいた。

 こちらの冴えない表情を見て、状況を察したらしい。



「売上が芳しくないのね」

「ああ。なんだか最近悪評が流れてるらしいんだ」

「落ち込むことないわ。いずれお客さんも集まるわよ」

「だといいんだがな。一体どこのどいつの仕業なんだか……」

「貴方の能力を求める人は必ずやってくるわ。ところでお二人はこの夏の『B級探索士昇格試験』には挑戦するつもり?」

「B級昇格?」

「そう。7月から行われる『B級探索士昇格試験』、通称プロ試験よ。そろそろ募集締め切りの時期じゃないかしら」

「プロ試験か……」


 ここは目先を変えて、商売よりも探索士としての仕事に磨きをかけるのもいいかもしれない。

 俺は美波と共にプロ試験参加を決めた――。







 7月になり、『B級探索士昇格試験』、通称プロ試験の一次試験が開始された。

 営業の合間を縫ってトレーニングと勉強を続けてきた。

 合格率10%以下の厳しい試練だが、夢の一歩の為必ず乗り越えてみせよう。

 

 一次試験の地方大会が行われるX県の県民会館に訪れた。記述式テストと体力テストの二つが行われるという。


 市民会館前には年齢層もまばらな男女が集まっていた。

 全員がC級探索士である。

 皆どことなく海千山千な雰囲気が漂っている。



 美波は白いブラウスに赤いリボン、チェックのスカートと、学校の夏服でやってきた。

 学生服なんてコイツだけだ。一際目立つ。


「お前バイト代たんまりやってるんだから服くらい買えよ」

「服買いに行く時に着て行く服がない」

「哲学的な言い訳するな」


 

 バイト代も両親の残した借金に充てられているのだろう。

 アリサから紹介してもらった弁護士に、借金を一本化してもらったら6000万くらいあるとの事。


 本来子は親の借金を返す義務はない。

 遺産相続したのか、保証人になっていたのか、まさか子供名義の借金になっていたなんて事はないよな。

 


 B級に上がればもしかしたら、もっと楽に稼げる方法が見つかるかもしれない。

 こいつはルックスは良いので美少女高校生探索士として紙面に取り上げられるかも。


 仏頂面で雑誌に映る美波を想像する。

 ……これは人気出ないな。



 そんなしょうもない想像を巡らせていると、後ろから大声がした。

 慌てて振り返ると、そこには半袖のセーラー服に宇宙柄のスカートに身を包んだ少女がいた。


 桃色の髪の毛をツインテールにした派手な少女だった。

 その髪色と、暴力的なまでの乳房の盛り上がりがセーラー服とは猛烈にミスマッチで違和感を生んでいる。

 顔立ちの幼さから10代の学生と分かるが、秋葉原にいそうな成人女性のセーラー服コス姿を想起させる。


 学生は美波だけかと思っていたが、他にもいたらしい。

 少女はツンと張った胸部を際出せるように胸を張って、美波の元に向かって歩き出す。



「あんたが美波か。やっと見つけたじぇ」

「誰だ貴様」

「初対面の同性に対して貴様と来たか……。噂通りの無礼千万な奴だじぇ」

「そのムカつく語尾を今すぐ止めないと歯を折るぞ」

「こ、怖っ! この喋り方は癖なんだからゆるしてくれだじぇ」


 変わった語尾の女の子は美波のペースに巻き込まれ、あっという間にマウントを明け渡した。

 

「とりあえず名を名乗れ。私だけ一方的に名を知られてるのは腹が立つ」

「ふ、ふふん。求められたんじゃ応えるしかないじぇ。ボクは今浪萌仁香いまなみもにか! お前と同じ高校一年生だ! 萌仁香と呼んでくれてもいいんだじぇ」

「桃色の髪の毛。ツインテール。巨乳。ボクっ娘。変な語尾。名前は萌仁香……こってりし過ぎて胸焼けしそう」

「失礼だじぇ! お前があっさりし過ぎなんだじぇ。こけしみたいだじぇ」


 自分は暴言を吐いても、他人に暴言を吐かれるのは許さない美波である。

 こけし扱いされた事に腹を立て、一瞬で萌仁香の背後を取ると、その豊満なお乳をタプタプし始めた。

 ギャラリーからどよめきが起こる。


「タプタプタプタプタプタプタプタプ」

「や、やめれーーー! ボクのお胸をたぷたぷするのやめるんだじぇーーー!」

「タプタプタプタプタプタプタプタプ」

「ノーリアクション!? 頼むからやめれーーー!」

「タプタプタプタプタプタプタプタプ」

「ゆ、ゆるしてー! 後生だからお願いだじぇーーー!」

「タプタプタプタプタプタプタプタプ」

「せ、せめてなにか言ってくれだじぇ! ああ~~~!」


 ぐったりと力尽きた萌仁香は地面にへたり込んでしまった。

 男性陣は恥ずかしいような、申し訳ないような気持ちで彼女を見守る。

 美波は放心状態の少女にえげつない言葉をかける。


「けっ。みっともない感触だぜ。こんなもん有難がって拝める男の気がしれないね」

「いい加減にしろよお前。自分がちっぱいだからって八つ当たりするな」

「やだー。私の雇用主がこんなデリカシーのない人だとは思わなかった。只野サイテー」

「デリカシーのないのはお前だ。衆人環視の状況で見ず知らずの他人を辱めるんじゃない」



 これ以上揉め事を起こされたくないので美波の手を引き、顔を赤らめ昇天する萌仁香を置いて試験会場に入った。

 取り残された萌仁香は羞恥に震えながら、こう叫んだ。


「美波~~~!! こ、この屈辱は絶対晴らしてやるからな~! 覚えてろだじぇ!!」

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