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第20話 溜まった素材で装備を強化へ! 鍛冶屋へGO!

 3日後。

 ダンジョン管理協会X県支部内にて美波は手続きを済ませた。

 美波の探索士ライセンスには『C級』の文字が記載されていた。



「思った通り。C級ライセンス取得てのも案外ちょろいもんだね」

「ぐぬぬ」

「ところで只野はC級取得まで何年かかったんだっけ?」

「……10年」

「長い間本当ご苦労さまです」

「ぐぬぬぬ」

「この調子ならB級ライセンスも只野より早く取れそうだなぁ」

「ぐぬぬぬぬ」



 美波のナチュラルな煽りに俺は顔を紅潮させる。

 天才は凡才が苦労して乗り越えた壁をあっさりと飛び越えてしまうものらしい。

 やはりどんな分野でも幼少期から英才教育を施されて育つと一流になりやすいらしい。

 

 とは言え、言われっぱなしも腹が立つ。

 美波が調子に乗らないように釘を刺す。



「C級までは簡単に上がれるがな、B級からは『プロライセンス』が必要になるんだ。今後はそう簡単に昇格出来ると思うなよ。あと調子に乗るな」

「知っているよ。うちの両親もプロだったから」

「えっ? そうだったのか。それなら二つ名持ち(ネームド)か。そう言えば美波の名字って聞いた事ないな。両親の二つ名はなんだったんだ?」

「……あ、UFO」

「何っ! どこだっ!?」



 もちろんUFOなんてどこにもいない。知ってる。乗っかってやっただけだ。

 なんて強引な話題の逸らし方だ。

 こんな嘘でごまかせると思ってるこいつの神経を疑う。


 なんとなく察していたが、両親の話題は本当にされたくないらしい。

 大分親しくなったつもりだが、まだまだデリケートな部分には触れて欲しくないようだ。


 仕方ないから話題を変えてやる事にする。


 

「まあそれでだな。B級探索士昇格を目指すには今より装備を強化する必要があるんだ。俺はこんな草野球のキャッチャーみたいな格好だし、美波に関しては防具一つ身に付けていない」

「素人丸出しの格好だよね」

「ああ。そこで鍛冶屋に行こうと思う。今まで集めた魔物の素材を活かして防具を作ってもらおうと思う」

「グレムリンの爪とかダイアウルフの牙とかでまともな防具作ってもらえる? なんかショボい装備しか作れなさそう」

「まあ素材が足りないなら探索して集めるなり、購入するなりすればいいさ。それじゃ今日はちょっと遠出して隣のY県に行くぞ。まともな鍛冶屋がこのX県にはないからな」

「わーい。遠出楽しみ」



 真顔で喜んだふりをする美波を席に押し込んで、カーナビをY県の鍛冶屋に設定する。


 一時間半の楽しいドライブだ。

 助手席に乗ってるのが仏頂面のこまっしゃくれた少女なのがあまり嬉しくないがな。



 国道2☓8号線を南下する。道路が混み始めたので高速も利用しながら一時間ちょっとで目的の鍛冶屋に到着した。

 市街地から少しずれた工場が並ぶ地帯に、『ワイルド鍛冶屋本舗』の看板を見つける。

 郊外のリサイクルショップを思わせる店内に入ると、カウンターに見慣れた男が立っていた。


 思わず美波が声を上げる。



「モヒカン。こんな場所で何やってるの?」

「おいおい。嬢ちゃん話は聞かされてないのかい? ここは俺の店さ。『ワイルド鍛冶屋本舗』にようこそ!」


 そう言ってモヒカンは、肩口から先がないノースリーブのGジャンから逞しい二の腕を出し、力こぶを作った。上腕二頭筋が盛り上がる。


「缶コーヒーの営業マンじゃなかったんだ」

「試供品を配ってたわけじゃねえよ! 俺の本職は鍛冶屋さ。こう見えてもこの近隣じゃ名うての鍛冶師って評判だぜ?」

「あれ? 家業が傾いたとか言ってなかった?」

「株にはまって、やべえ損失出しちまってな。あやうく店の権利を持ってかれるところを、あんちゃんのガチャに救われたのさ。ありがとうよ」

「そう思ってるならサービスして。誠意は言葉ではなく金額」


 美波が畜生銭闘員のような発言をする。

 そもそも金を払うのは俺であるのだが。


 

 俺はモヒカンからカートを借りて、これまでに採取した素材を運び出した。

 重さにして50キロくらいになるかもしれない。


「この素材でなにか防具を作って欲しい。足りない物があればいってくれ」

「結構な量だな。どれどれ……『小鬼の歯』『骨人の頭骨』『小悪魔の爪』『恐狼の牙』か。これはいまいちだな。素材として買い取らせてもらうぜ。おっ! 『梟熊の毛皮』『合成獣の皮膚』もあるじゃねえか。これなら一端の防具が作れるぜ」

「そうか。それじゃ俺のは動きやすいボディアーマー型にしてくれ。美波はどうする?」

「軽くて可愛い感じので」

「ざっくりした注文だな。よしきた! まあ俺のセンスに任せな」

「すこぶる不安」

「なんでだよ!」

「モヒカンみたいなノースリーブ系はNGで」

「分かってるって。安心しな。うちの製品は女の子にも人気なんだぜ」




 モヒカンに二人分の防具作成を依頼し、完成まで店内で待たせてもらう事にした。

 なんでも1、2時間もあれば出来上がるとの事。

 

 俺たちは店内に飾ってある様々な、武器や防具に目を奪われた。

 中でも美波は日本刀コーナーで熱心に壁に展示された刀を見ていた。


 やはり自分のメインウェポンである刀には興味があるらしい。

 値段を見たら、最低価格が30万円からだった。

 

『鎧武者の刀 ¥750000』

『龍牙の日本刀 ¥1000000』

『断霊刀 ¥1500000』


 

 高い! 俺のグロッグ17は500ドルで買ったものだぞ。


 美波は物欲しそうな目で刀を見ている。


 

「欲しいのでもあるのか?」

「ううん。中々良い刀が置いてあるなって思ってた」

「お前の刀は結構な業物なのか?」

「真剣だから結構すると思う。両親曰くヤホオクで3万円くらいだったって」

「それ……結構安くないか」

「ここの刀を見ていかに自分が安物を使ってたか判明した」

「そ、そうか」


 

 弘法筆を選ばず。安物の刀でも使いこなせているのであれば問題ない。

 まあ刀が折れるような事があれば、新しいのを見繕ってやろう。


 一時間半ほど店内を見て周り、そろそろ見るものも無くなって手持ち無沙汰になりかけた時、モヒカンの鍛冶が終わった。 



「おーい。あんちゃんたち。防具が完成したぜ! こいつは自信作だ。こっちに来て見てくれよ」

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