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第2話 謎の能力【スキルガチャダス】

本日は一挙5話投稿します!!


第2話目です!

 第一層はスライムの様な子供でも倒せる雑魚しか出現しない。


 子供の頃は度胸試しによく第一層に潜ったものだ。

 探索許可が下りてない素人のため、探索士に見つかると鬼のように叱られたっけ。


 まとわり付いてくるスライムを蹴り飛ばす。

 一匹辺り倒しても数十円しか得られない。


 わざわざ目くじら立てて倒しても時間の無駄なので、ほっておく。

 俺の目当てはゴブリンだ。


 奴らは一体倒すと、死亡時に出現する魔石が500円で売れる。

 おまけに指輪やアクセサリーの様な装備品なんかを身に付けてる個体もあるのでプラスアルファが期待出来る。


 俺の一日の最低ノルマはゴブリン10体だ。

 最低でも五千円、魔石と装備品を剥ぎ取って、運が良ければ一万円くらいにはなる。




 第二層に降りると、空気がひりつく。

 ダンジョン内は狭い洞窟の様になっていて、多くの個体に襲われる事は少ない。

 不思議な光る苔の影響で、明るさも保たれている。

 

 俺は足音を立てないように、抜き足差し足で歩き、壁に背を付け、周囲を窺った。

 


 いた。

 ゴブリンである。

 棍棒を持った奴が一体。


 俺は小石を拾うと、遠くに放り投げた。

 カツン、と音を立て落下した小石の方を見るゴブリン。


 俺は物陰から飛び出すと、背後からゴブリンの側頭部を金属バットで殴りつけた。


「グギャ!」



 一撃で屠る事が出来た。ステルス・キルを成功させ、ゴブリンは淡い光を残して消えていく。

 俺は残った5センチ角の魔石を拾い上げる。



「チッ。魔石だけかよ。装備品はなしの『裸』か」


 アクセサリーなどを装備していると装備品も残して消えてくれる。

 今回の個体は武器すらも持たない『裸』だった。



「あーあ。俺も『素材化マテリアライズ』のスキルを持っていればなぁ」



 『素材化マテリアライズ』のスキルがあれば、死体から有用な素材が回収出来るらしい。

 もっとも『素材化マテリアライズ』のスキルカードは100万円はする高価な代物。



「結局スキルを手に入れるには金が必要。渡る世間は金ばかりだわ。どいつでもいいからスキルカードをドロップしてくれないかな」



 10年間の探索士生活で得られたスキルカードは8つだけだ。

 スライムが落とした『粘液増加』×2と、ゴブリンが落とした『暗闇耐性(微小)』×6だ。

 自分で使用しないので売っぱらったら『粘液増加』は2千円、『暗闇耐性(微小)』は5千円だった。


「ガキの小遣いかよ。しかもドロップ率は数千分の一だし! もっとまともなスキルカードが得られてたら俺の人生違ってたろうな」




 ぼやきながら俺は黙々とゴブリンを狩り続けた。

 物陰から飛び出して襲う闇討ち、騙し討ちを駆使し無傷で数をこなしていく。


 怪我なんてしたら大変だ。低級ポーションでさえ一本5千円はする。

 命を失うよりはマシだから常にストックは用意してあるが、出来るだけ使いたくない。


 

 目標の10体分のゴブリンを倒し、魔石と装備品を確認する。

7、8千円ってところか。


 安全を確保してから奇襲をかけるので効率が悪い。

 数時間でこの金額か。命を賭けているのに対価はこれだけ。


 

「もうやっぱりこの稼業は潮時かな。転職サイトに登録でもしてみようか。でも職歴がダンジョン探索士しかない俺を雇ってくれる企業なんてあるのかな……」

 

 俺は深い溜息を吐いた。

 あまり長時間潜ると集中力を欠いて、奇襲に遭う可能性がある。

 俺は第一層に上がった。




 ダンジョンの出口まで向かう途中、何やら不思議な色をした軟体の生物がいた。


「スライムのレア個体か? にしては随分カラフルな色してるな。虹色というか玉虫色というか、光が反射して不気味にキラキラしてるな」


 苛立ちや、やるせなさを感じていた俺は、普段は素通りしているところを怒りをぶつけるように、カラフルな軟体生物を踏みつけてやった。


 ブチュッ! と固めのゼリーが潰れるような感触が、靴越しに伝わってくる。

 スライムは目映い光を放つと、大きめの魔石とスキルカードをドロップして消失した。



「おっ!? 結構デカイ魔石じゃないか。おまけにスキルカードまで落としやがった! ラッキー!」



 キラキラとプリズムに輝くスキルカードを拾い上げるとそこには、【UR】アクティブスキル『スキルガチャダス』と書かれていた。




「【UR(ウルトラレア)】だと!!? なにかの冗談だよな? 俺が今まで拾ったスキルカードなんて全部【(ノーマル)】だったのに! なになに『スキルガチャダス』? 俺が子供の頃にはまっていたカードダスに似ているな。ガチャガチャのカード版の筐体だ。……これってまさか超極レアスキルの『ガチャ』に関係してるのか!?」




 この世には『ガチャ』と呼ばれる極めて希少なスキルが存在する。

 『ガチャ』はポイントや金を支払う事によって、スキルや魔法、ステータスUPなど様々な恩恵を得られるのだ。

 現在最上級であるS級探索士たちは、スキル『ガチャ』を所持してる者も多いと聞いた。


「お、落ち着け! まだこのカードを使えば『ガチャ』が覚えられるとは限らない! そ、そもそもこんな低層のスライムもどきみたいな生物を倒して、超希少なスキルを覚えられるわけがない! そんな上手い話なんて存在しないんだ。俺のしみったれた人生にそんな夢みたいな話があるわけ無いんだ!」



 胸の高鳴りを抑えるように興奮気味に一人まくし立てる。

 そうだ。

 今まで良いことなんて何一つ無かったじゃないか。

 

 生まれて28年間彼女なし。

 貯金もカツカツ。

 家賃2万5千円のボロアパートでさもしい生活を送っている。


 こんな俺に良い事なんて起きるはずなんて無いんだ。

 だけど……。



「ええいままよ! 使ってやるぜ! どうせ失うものなんか無え! スキルカード発動。『スキルガチャダス』を習得するっ!!」


 俺はスキルカードを高々と掲げ、スキルを習得した。

 この日を境に、俺の底辺小市民生活が終わりを迎えるとも知らずに――。

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