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第19話 美波が探索士試験合格。『ベリファイ』でスキルの確認

 5月下旬の昼下がり。


 俺と美波は探索士協会に足を運んでいた。

 今日は美波の探索士試験合格を受け、協会に手続きに来たのだ。

 実技は問題なかったが、学科がちょっと怪しかったので無事に合格出来て美波もほっとしている。


 探索士試験は基本運動能力や一般常識に加え、スキルや魔法の知識、使用する際の心構えなどが問われる。

 ダンジョン内外であろうと他者を傷つけてはならない、傷病者がいたら積極的に介護する、人型の魔物に発砲する際は誤射に気を付けるなどの、座学と実技の簡単な講習を終え、先日試験を受け見事一発合格出来た。



「ストレートで合格出来て良かったな」

「あの程度余裕だし」

「試験の前日「緊張して眠れないんだけど」って電話かけてきたのはどこのどいつだっけ」

「私でないのは確か」

「お前記憶を改竄されるスキルでも使われたのか?」

「記憶にございません」



 軽口を叩きながら探索士協会X県支部の玄関をくぐる。


 探索士協会は各都道府県に支部が存在し、本部は東京にある。

 俺たちが住むX県には県庁所在地のある市に協会が存在した。


 13階建てのビルで、どことなく役所感がある。

 受付で案内を聞き、各窓口でデータベース登録料で10万円、探索士資格認定書の発行で10万円を払った。


 

 こうして1時間足らずで美波のF級探索士ライセンスが発行された。

 運転免許証や健康保険証みたいに財布に入るカードサイズだ。

 発行されたライセンスの写真写りの悪さに美波が毒づく。



「顔写真が全然可愛くない」

「我慢しろ。皆なぜか犯罪者みたいな写真になるんだ」

「確かに。刑務所に入る時の顔写真みたい」

「不謹慎だがその例えは言い得て妙だ」



 美波の手続きが終わると、俺たちはエスカレーターで6階に登った。

 今日はこれまで取得したスキルの確認を行いにきたのだ。


 この世界ではスキルを確認する方法が、特殊なスキル確認装置『ベリファイ』を使用するしかない。


 早速『ベリファイ』を利用する。

 プリクラの様な筐体が並んでいた。利用中の台も多い。沢山の探索士たちがスキルの確認を行っていた。

 美波を外で待たせ、カーテンを開け中に入ると、カメラとモニターが同梱した装置がお出迎えしてくれた。

 

 硬貨700円を入れ、ガイダンスに沿って進めていく。

 カメラが俺の全身をスキャンすると、モニターにこれまで習得したスキルが表示された。




『只野一人 27歳 男   C級探索士 スキル総数 32/40』


【UR】 アクティブスキル:『スキルガチャダス』

【SR】 アクティブスキル:『魔弾』

【N】  アクティブスキル:『疾駆』 

【N】  アクティブスキル:『頑健』 

【N】  アクティブスキル:『二連撃』 

【N】  アクティブスキル:『シールドバッシュ』 

【N】  アクティブスキル:『肉のカーテン』

【R】  アクティブスキル:『緊急回避』

【R】  アクティブスキル:『溜め攻撃』

【SR】 炎魔法:『ハイフレイム』

【N】  風魔法:『プチウインド』

【N】  雷魔法:『プチサンダー』

【R】  治癒魔法:『ジェネヒール』

【N】  治癒魔法:『プチポイズンケア』

【N】  治癒魔法:『プチパラライズケア』

【R】  治癒魔法:『ジェネスリープケア』

【R】  パッシブスキル:『炎魔法上昇(5%)』

【N】  パッシブスキル:『水魔法上昇(1%)』

【N】  パッシブスキル:『土魔法上昇(1%)』

【R】  パッシブスキル:『筋力上昇(小)』

【R】  パッシブスキル:『魔力上昇(小)』

【N】  パッシブスキル:『敏捷上昇(微小)』 

【N】  パッシブスキル:『衝撃耐性(微小)』

【N】  パッシブスキル:『昇天耐性(微小)』

【N】  パッシブスキル:『睡眠耐性(微小)』

【N】  パッシブスキル:『呪殺耐性(微小)』

【N】  パッシブスキル:『光魔法耐性(微小)』

【N】  パッシブスキル:『体力自然回復(微小)』

【N】  パッシブスキル:『アイテムドロップ率アップ(微小)』 

【R】  パッシブスキル:『恐怖耐性(小)』

【R】  パッシブスキル:『食いしばり(小)』

【R】  パッシブスキル:『素材化マテリアライズ



 こうして見ると使用してないアクティブスキル、発動されていないパッシブスキルが沢山ある。

 全然使用してない『シールドバッシュ』『二連撃』『頑健』は消去してもいいかと思っている。

 『水魔法上昇(1%)』と『土魔法上昇(1%)』なんてそもそも水と土魔法を覚えていないからなんの役にも立たない。


 今の俺のスキルストックは40までなので不要なスキルは消去して、他の有用なスキルを習得した方が効果的だ。


 俺は『ベリファイ』での確認を終了すると、スキルが印字されたレシートをちぎり取った。

 レシートにはQRコードが記載されていて、スマホで読み取ると簡単にスキルの確認を行える。




 次に俺たちは7階にあるスキル忘却装置『オブリビオン』があるフロアに向かった。


 担当の職員に事情を説明し、案内してもらう。

 『オブリビオン【N】』の装置を使用すれば【(ノーマル)】までのスキルを消去する事が出来る。


 ちなみに【N】のスキルを一つ消去するのに一万円取られる。 

 今の俺には大した額じゃない。

 『シールドバッシュ』『二連撃』『頑健』『水魔法上昇(1%)』『土魔法上昇(1%)』の合計5つを消去した。


 現在の27個のスキルが印字されたレシートを受け取って、本日の要件は終わった。





 探索士協会X県支部の玄関を出る。

 美波が今後の予定を尋ねてきた。


「んで、私に探索士の資格を取らせて今後はどうしたいわけ」

「まずは『豊島町ダンジョン』でゴブリン討伐300体以上或いはコボルト討伐150体以上を達成してEランク昇格を目指してもらう」

「数多い。めんどくさ」

「我慢しろ。飛び級は認められてないんだ。Dランク昇格はホブゴブリン30体以上討伐か、オーク10体以上討伐が必要だ」

「オークなんてたしか8歳か9歳の時に倒したよ」 

「改めてお前の育った家庭環境が気になるな……。その後は『南新橋ダンジョン』でオウルベアを20体以上、キマイラを10体以上討伐でCランク入りを目指す。スキルストックも枠が40まで増えるはずだ」

「りょ」



 助手席で気だるさそうに欠伸を噛み殺す美波を連れて、懐かしの『豊島町ダンジョン』に向かう。

 もっとも、美波の実力ならEランク昇格なんて一日で達成出来てしまうだろうな――。

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