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第13話 変わり者JKに教えを乞う。謎の少女美波

ローファンタジー日間ランキング1位達成です!! 

感無量です(´;ω;`)

ブクマや評価を付けてくださった皆様に心から御礼申し上げます。


本日も2話投稿です。

1話目どうぞ!

「ぼんやりしてる場合じゃない。正面二時の方角にグレムリン2体」

「うお! グレムリン初めて見たわ!」



 目玉がでかく耳がつり上がった気色悪い人形のようだ。

 大きさはゴブリンより少し小さい、1メートルくらいか?


 確かすばしっこくて『プチフレイム』などの攻撃魔法を使ってくる。

 見た目に騙されて初心者の探索士が重度の火傷を負わされる話をよく聞く。



「くそ! ここは俺の『プチウインド』で相手のバランスを崩してから叩くか……ってアレ!?」


 美波は脱兎の如く駆け出すと、一瞬でグレムリン2匹との距離を詰めた。

 背中に背負っていた竹刀袋から日本刀を抜き取ると、袈裟斬りと切り上げを放つ。


 2体のグレムリンは声も出せないまま、首を垂直に地面に落とした。


「す、すげえ」


 思わず感嘆の声を上げてしまう。

 人間離れしたスピードに、達人のような剣技。

 パッシブスキルで強化されているとは言え、この子は紛れもなく技能も達人だった。


 美波は刀身に付着した血を払って、刀を鞘に納める。

 その仕種は時代劇で見た、殺陣師のようであった。

 


 彼女はグレムリンが消失した後に残された魔石を広い上げた。


「勝手に倒しちゃってまずかった?」

「い、いや。おかげで良いものを見させてもらえた。美波ちゃんって強いんだな」

「全然。お父さんとお母さんに鍛えられたから多少の戦闘は出来る。二人はもっと強かった」


 こんな達人みたいな動きで多少かよ。

 もしかして美波の両親は名のある探索士だったのか?

 毒親に無理やりダンジョンに潜らされていたパターンを想像していたけど、これは子供のために意図して英才教育を施してたパターンかも。 



「魔石もらっちゃうよ」

「ああ。もちろん。俺は何もしてないし」

「スキルを試したいんでしょ? 次の魔物は只野が狩って」

「よ、よし! 任せてくれ」


 ていうか只野って呼び捨てかよ。

 多分一周り俺の方が年上なんですけど。



 今の一瞬で上下関係が決まってしまった感がある。

 とは言え俺も【SR】スキル『魔弾』持ちだ。

 俺のグロック17が火を吹くぜ!



 このダンジョンは隠れる場所が少ないな。

 『豊島町ダンジョン』なんてゲームの『不思議なダンジョン』シリーズの様な狭く入り組んだダンジョンだった。

 

 ところがここは住宅街って感じで見晴らしが良く、数十メートルの開けた空間だらけだ。

 俺の得意な物陰からの奇襲攻撃が使えない。


 ギリシャの古い町並みのようなレンガ作りの第一層を二人で歩いていると、20メートル先に歩く骸骨が4、5体現れた。



「出たなスケルトン。ちょっと遠いがここから『魔弾』をぶっ放してやるぜ」



 骨が擦れる音をガシャガシャ響かせてスケルトンたちがやってくる。

 スピードは遅い。

 それでも剣や槍を持って武装しているから威圧感がある。



 俺はスケルトン集団に向かって『魔弾』を放った。

 通常の弾丸よりスピードは遅いが、肉眼で確認出来るくらいの大きさの魔法のオーラに包まれた弾丸が銃口から発射された。


 ……?

 当たらない。

 何発か立て続けに発射するが全然命中しない。


「なぜだ!?」

「そりゃ骨でスカスカなんだから銃弾なんてそう当たらない」

「そ、そうか。選択ミスしちまった。ここは銃じゃなかったか」

「なんなら手を貸す?」

「待ってくれ。次は覚えたての魔法をぶっ放してくる」


 そう言って俺は骨軍団に接近し、5メートルくらいの距離でとっておきの魔法をお見舞いしてやった。



「食らえ! 【SR】の超レア炎魔法『ハイフレイム』!!」



 俺が放った『ハイフレイム』は地面から巨大な火柱を発生させ、スケルトン5人組を軽々と燃やし尽くした。


 

「見たか! 俺の超絶火炎撃を! ……あ、あれ? なんか頭がクラクラする……」


 『ハイフレイム』を放った途端、俺は立ってられない程の虚脱感に襲われた。

 意識はハッキリしているが、立ちくらみのように、無意識に身体が崩れ落ちる。


 地面に仰向けになった俺の元に、美波が呆れ顔でやってくる。



「いきなり【SR】魔法なんて使ったら「マナ切れ」を起こすに決まってる。ん、魔力ポーション。一本2万円もするから後でキッチリ請求する」

「あ、ありがとう。ちゃんと払うから……」



 どうやら世の中は俺の知らない事で溢れているようだ。

 これからは素直に美波に助言を賜わろう。



「【SR】の魔法を使うなら同じレアリティの『【SR】魔力上昇(中)』を習得してなきゃいけない」

「え? そうなの」

「うん。もしくは『【SR】魔力上昇(中)』に匹敵する装備品で賄うか。アクセサリーとかの魔力上昇効果が付与されているものを身につけないと、「マナ切れ」を起こして動けなくなる」

「知らなかった。美波がいなかったら死んでたかも」

「只野は何も知らないな。もうおじさんなのに」

「俺はまだ20代だ!」



 俺の反応が面白かったのか、美波はここに来て初めて薄く笑った。

 笑うと中々可愛らしい女の子だ。

 いつも笑ってればいいのに。


 

 その後二人で第3層まで潜った。

 動きが鈍く、的が大きいワームなどの敵には『魔弾』は十分通用した。

 ゴースト系の実態を持たない魔物にもダメージを与えられる事を知れたのは大きな収穫だった。


 美波は斬撃を飛ばすスキル「【N】アクティブスキル:『飛影斬』」を敵に試していた。

 刀から、肉眼で見えるほどのエネルギー波を飛ばし敵を切り裂く能力だ。

 

 達人の美波が使うとノーマルの低レアスキルが必殺技みたいに見える。

 どうやらこの世界は、個人での技能を磨く事も大切らしい。


 


 一通りスキルの確認を終えたため、俺たちは2時間ほどの探索を終えて、ひとまず帰還する事にした。

 『素材化マテリアライズ』のおかげで魔物を倒すと素材も必ずドロップされる。

 魔石と合わせてかなりの収入になりそうだ。

 

 美波からは道中色んな事を教わった。

 ネットで調べただけでは分からない、生の経験談を聞けて大いに参考になった。

 仏頂面な女の子だが、意外と親切な性格だった。

 

 正直かなり価値のある情報を頂けた。

 悪どい探索士などは情報商材として、未熟な探索士から数十万円の金を巻き上げたりする。


 

 俺は美波になにか御礼がしたかった。

 なにか欲しい物でもないかと尋ねたら、俺のことを指差して一言、こう言った。


「欲しい物はないけどガチャ引かせて」


 まあそれくらいならお安い御用だな。

 俺は美波と連絡先を交換して自宅に帰った――。

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