表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/100

第1話 うだつの上がらないEランク探索士。

新連載です! 何卒よろしくお願いします。


本日は一挙5話投稿します!!

 世界中に突如ダンジョンが現れた『ダンジョン事変』から30年が経過した――。

 

 大小合わせて数千のダンジョンはそれぞれの国家の管理下に置かれ、各国に莫大な利益をもたらした。


 ダンジョン内で採掘される新たなエネルギーを巡って、各国間の争いは熾烈を極めた。

 アメリカやロシア、中国といった超大国が武力で希少なダンジョンのある地域を制圧し、飛び地の植民地を作る時代が何年も続いた。


 やがて国際社会で様々な取り決めが行われていき、現在では大きな争いは起こっていない。

 主だった有名ダンジョンの探索も一段落が付いたためである。


 当初、日本政府は国内約300のダンジョンの捜索を米軍と自衛隊の共同で行い、あらかた調査が行われると民間の組織に調査を代行させる事になった。


 これらの職業は『ダンジョン探索士』と呼ばれ、現在では当たり前の職業の一つとなっている。






 かくいう俺、只野一人ただのかずひともダンジョン探索士で、高校を出てから約10年間この職業一本で暮らしてきた。


 もっとも俺はうだつの上がらない底辺ダンジョン探索士だ。

 階級は下から二番目のEランク。

 低層しか潜らないので年収は200万を超えた事がない。

 

 俺にはこれしか出来ないし、アルバイトするよりはマシだと思って続けてきたが、30手前にして限界を感じ始めていた。



「結局は資本が無ければ個人での探索士なんて稼げる額はたかが知れてるよな」



 ダンジョン内の魔物は現代兵器が通用するため、銃砲所持許可を持っていれば銃での攻撃も可能だ。

 俺も試験を受け第一種猟銃免許を取得している。


 もっとも対魔物用の特殊な銃弾は値段が高い。

 低層で現れるスライムやゴブリンなんか一匹狩っても得られる素材や魔石などたかが知れている。

 数百円程度の稼ぎのために、高価な銃弾を発砲するのはもったいない。

 


 そのため俺のメインウェポンは金属バットと鉄のバールである。

 右手で短く持った金属バットを駆使し敵の攻撃を防ぎ、左手に持った鉄のバールで一気に敵の脳天を穿つ戦法だ。

 ゴブリンなどの雑魚には非常に有効な戦法だが、俊敏なコボルドや大柄なオークには通用しない。


 そんな緊急事態に備えて背中に猟銃、腰には拳銃も装備している。金がかかるのでなるべく発砲はしたくない。十年の貧乏生活で吝嗇っぷりが身に染み付いていた。




 この世界にはステータスが存在しない。

 そんなもの当たり前だろ。お前は何言ってるんだと思われてしまうが、ダンジョン内に潜伏するイコールRPG的な超常現象が発現されるのではないかと思ってしまうのは俺がフィクションに毒されているからだろうか。


 どれだけ魔物を倒しても経験値なんて手に入らないし、ステータスが向上する事もない。

 精々探索を続けると、足腰が丈夫になるとか、バットを振って上半身の筋肉がつく程度のものだ。



 だがRPG的な超常現象が皆無なのかと言われるとそんな事はない。

 このダンジョン内では特殊な効果をもたらす武器や防具、スキルと魔法が使用可能であり、ポーションや状態異常回復などの回復薬も使用可能だ。

 筋力や俊敏性を向上させるスキルや薬も存在し、スーパーマンの様な超人的な力も発揮出来る。

 ダンジョンの外で使用すると、公序良俗違反として罰金か禁固刑を食らう。


 当たり前だ。

 一般社会でこんなもの使われたらヴィランだらけの犯罪大国になってしまう。



 これだけ話すと夢のような話に聞こえるかもしれないが、俺のような底辺探索士には関係のない事だ。

 素材を加工して作った特殊効果のある武器や防具は数十万円はする。

 実用的な魔法やスキルを覚えるには、最低でも数万円するスキルカードを購入しなければならない。

 

 貯金を叩いて買った『プチヒール』なんて30万円もしたのに、転んだ時に出来た擦り傷を回復させる程度の力しかない。しかもめっちゃ時間がかかる。




「はーあ。俺も『週刊ダンジョン』や『月刊ダンジョン通信』に載れるような探索士になりたかったなぁ」


 ぼやきながらいつものダンジョンへと向かう準備をする。

 俺の住む田舎町にある低層のダンジョンだ。


 とっくに上級の探索士に攻略されてしまっている。

 なんでも全7層からなり、迷宮主ボスはギリメカラのような一つ目の巨象だったらしい。


 迷宮主ボスが倒されても、魔物は発生し続ける。

 原理はもちろん解明されていない。


 俺はリュックに荷物を押し込み、愛車の原付ベスパに乗って『豊島町ダンジョン』へと向かった。





 ダンジョンに到着する。周囲は土が均され、簡易の駐車場が出来ている。

 中規模のダンジョンになると、出店や移動販売車が出店されてたり、取材記者が詰めかけてたりと賑やかだ。


 無論、この『豊島町ダンジョン』にそんな賑わいはない。

 軽トラと、汚い軽自動車が何台か停まっているだけだ。



 俺は野球用のプロテクターとレガース、ヘルメットを身に着け、拳銃と猟銃の動作を確認するとダンジョンに潜行した――。 

もし少しでもご興味頂けましたらブックマークと『☆5』評価で応援をお願い致します!

下にスクロールしていくと、ポイント評価を付ける部分がございます。


執筆の励みになりますので、レビュー等もよろしくお願い致します!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ