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〜黒零〜終わりを告げる戦場  作者: るるちゃん
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8話 囮作戦

 俺らは急いでグラウンドに向かう。

 玄関を出てすぐ右手にグラウンドがある、周りを見渡しても誰もいない。


「だれもいない」


 周りをキョロキョロ見渡していると、太刀野がグラウンドの端に足を進める。


「ちょっと待てよ!」


 俺も後を追う、角に着くと、太刀野は中腰になり、砂を払いはじめた。


「なにしてんだ? 遊びに行くんじゃねえんだぞ?」

「分かってますよ、ここに基地につながる道があるんです」


 そう言いながら砂を払っていると、何やら扉が出てきた。

 太刀野は一度そこからどき、扉を開ける。


「いきますよ」


 そう言って先に扉に入り、梯子で下に降りて行く。


「こんな場所があったなんて」


 下から太刀野の声が聞こえる。


「早くこないと置いて行っちゃいますよ?」


 俺もすぐに梯子に手をかけ、扉を閉める。すると、灯りがついた。


「しっかり整備されてるんだな」

「当たり前ですよ」


 下に降りてみると、周りは何もないが、意外と広い。道が分からなければ迷子になりそうなくらいに。

 そして太刀野は俺がきたのを確認するやすぐに歩き始める。

 俺もその後を追い、一本道を真っ直ぐに進むと、さっきよりも明るい、生活感があるところに着く。


「これはなんだ?」


 俺はボンベみたいな形をしているのを見つけ、触ろうとする。


「触ったらダメですよ!」


 俺はすぐに手を引っ込めた。太刀野は溜息をはき、そのまま歩く。


「ほんと、タクミ君は何にでも興味が湧く、いわば赤ちゃんですね」

「赤ちゃんではないわ! せめて子供と言え子供と」

「へー、タクミ君は子供だったんですか」

「間違ってはないだろ」

「ま、そういうことにしときましょう」

「は? 太刀野、お前は何が言いたい?」

「この話は後でしましょう、あと少しで着きますから、それとお行儀良くしてくださいね?」


 そのまま進んでいくと、門が見え、そこに二人の黒零の警備らしい人が立っていた。

 門の前に着くと、警備の人が近づいてくる。


「お前たち、なぜここにいる?」


 すると太刀野はポケットから何かを取り出し、警備に見せる。


「ふむ、分かった、中に入ってもいいぞ」


 太刀野は行きましょう、と言って中に入って行き、俺も付いて行く。


 真っ直ぐ行くと、エレベーターがある、エレベーターに乗りB1から3階に上がる。


「矢千葉はあそこで待っとけ、って言っていたのに、いいのか? ここまできて」

「そりゃいいと思いますよ? 私も道が分からなければ話しは別ですが、私が道を知っているのですから、案内役も可能です」


 3階に着くと、そこにも警備員が立っていて、そこからは警備員に案内される。

 風景は先ほどよりも随分と違う、建物にいるようだ。

 警備員に連れられ歩いていると、前に頑丈な扉がでてきた。ここにお入りください、と言われ警備員はそのまま戻っていった。


「じゃあ、いきますよ?」


 太刀野はそういって扉に付いている機会に腕を掲げると扉から音がなる。

 扉が開き、太刀野が先頭で部屋に入る。

 部屋には机や椅子、一般家具があり、中でも機械が目立つ。壁にはマップが映し出されていた。それを見ながら指揮官が命令を出しているのだろうか。

 周りを見ていると、太刀野が挨拶をする。


「お待たせしました、矢千葉軍隊長、椰子指揮官、そして甲村隊、菅隊」


 俺も太刀野の後に続き、挨拶をすると、甲村隊の一人が俺を指をさしながら言う。


「軍隊長、あいつ今日入ってきたばかりの人だろ? 今は戦力として加算されないですよ?」


 周りに共感を得る、すると矢千葉が、甲村隊に命令を告げる。


「じゃあ、甲村隊に命令を出す。この二人を死なすな」


 その命令には少し不満があるようで、文句が言いたそうだ。


「な......」


 メンバーに止められ、命令に従う。


「く、わ、わかりました」


 こちらを睨みつける、それを見て菅隊は微笑んでいた。

 静かになったところで指揮官が話を始める。


「今日は集まってくれてありがとう、あの二人はイレギュラーだったけどね? じゃあ今回の内容を話す。ついさっき魔術師の群れを見つけた。その場所は黒零駅から北に進み一キロくらいに、空き地がある、そこを奴らは仮拠点にしているそうだ、しかも人間のふりをしているため、周りからは気づかれない。今回はそこの拠点を潰す」


 菅隊が質問を投げる。


「そこの住民の避難は?」

「君らがそこについてから行う」

「それじゃ遅いと思うが、どうなんだ?」

「いま避難命令を出すと、相手に勘づかれる可能性がある、だから君らがついたときに、合図を送ってもらえれば、命令を出す予定だ。上にはそう伝えている」


 すかさず太刀野が質問する。


「その場で命令を出した場合、周りの人はパニックになるのではないでしょうか?」


 やはり少し心の準備が必要だと俺も思う、いきなりじゃ、パニックになってしまう。


「もちろん、魔術師がでた、と言った内容は住民には伝えない、住民も気付いているだろうが、そちらの方が気が楽だろう?」


 椰子指揮官は質問がないのを確認すると、再び内容に入る。


「作戦を伝える、菅隊は黒零駅から西に回って、敵に勘づかれないよう、近づく、待機場は拠点より高いため、おそらく気づかれないだろう、そして、甲村隊と太刀野は黒零駅で待機、そして高柳君は、一般人のふりをして、敵の拠点の前に行け、詳しい内容は菅隊に伝えている」


 囮作戦という事だ、俺が囮になって、二つのチームで囲んで、潰す、なんともシンプルな作戦だ。

 その作戦を聞いて納得できない太刀野は別の案を勧めた。


「椰子指揮官、無茶です、素人を一人にするのは!」


 俺は太刀野の肩を軽く叩いて耳元で囁く。


「俺はお前を信頼してるから、心配するな」


 俺は少し顔が熱くなった気がしたが、太刀野もそうだった。

 椰子指揮官は周りを見て問題なさそうなことを確認すると、以上解散、健闘を祈る。と言って席に着く。

 今から仕事、魔術師退治だ、俺は胸の鼓動が高まってくると、矢千葉が、剣を俺に差し出した。


「はい、これを使え、普通の剣だが、ここを押すと小さくなるから敵の拠点の時は閉まっておけ」


 剣の持ち手のところにボタンがある、そこを押せばでかくなったり小さくなったりする。

 俺は剣を受け取り、ポケットにしまう。


「おう、ありがとな! それと矢千葉、俺と太刀野が活躍するのをよくその目に焼き付けておけよ!」


 矢千葉は高笑いをし、俺の背中をきつく叩く。


「おう、頑張ってこい」

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