わがはいの名は偽尾維新(笑)
残念ながら私と偽尾維新氏には何の関係もありません。ぶっちゃけ西尾のまねっこしたり偽尾と名乗ったりしている方をおちょくりたくなって執筆しました。
尻切れクオリティーなので、良ければだれか改定して書き直して話を作ってください(笑)
歪な風はひたすらに空を掻きまわし、雨粒や木々の葉を、そして闇に沈む空間そのものを揺らめかせていた。
「嫌な空気だぜ、まったく」
そう呟いてみる。
吠えるような雨音と風の生み出す凶悪な振動が、俺の声帯を震わせ生み出した振動を飲み込んでしまい、声どころか声を発した事実さえまるごと奪われてしまったような気分にされてしまう。
声を発したのは失敗だったかもしれない。彼は漠然とそう思った。
でも、こんな夜だからこそ、彼はこうやって自由に外を歩き回れるのだ。何のしがらみもなく,何のやっかみもなく。何の規制もなく、なんの自制もなく。なんの倫理感もなく、なんの抵抗感もなく。何のてらいもなく、何の応えもなく。何の感慨もなく、何の慙悔もなく。何の躊躇もなく、何の猶予もなく。何の恥じらいもなく、何の躊躇いもなく。何の意義もなく、何の主義もなく。何の義侠もなく、何の奇矯もなく。何の不安もなく、何の思案もなく。何の羞恥もなく、何の勇気もなく。何の優位もなく、何の誠意もなく。何の自戒もなく、何の機会もなく。何の束縛もなく何の俗悪もなく。何の価値もなく、何の性質もなく。何の創意もなく、何の相異もなく。何の意図もなく、何の嫉妬もなく。何の愛もなく、何の甲斐もなく。何の覇気もなく、何のやる気もなく。何の気概もなく、何の意外もなく。何の個性もなく、何の不正もなく。何の目的もなく、何の教敵もなく。何の適合もなく、何の迎合もなく。何の主張があるわけでもなく、なんの符丁があるわけでもない。
まったくもって最高で最悪だ。
びちゃびちゃと彼をだらしなく叩き続ける雨と、不快に蒸れるレインコートに彼———偽尾維新はため息をついた。
偽尾維新、それは偽物である彼の存在だ。かつてはあと一文字が合致し、とある人物そのものとして偉大な英雄の如く君臨しようとしていたことはあったが、即座に修正機関に通報され彼は存在ごと修正され消されてしまった。
かつて生み出された前の彼ーー便宜上兄とする——兄はどんな思いで消されていったのだろう?かつての彼は、兄はどんな面相だったのだろう?彼はその名をかたる時、何を思ったのだろう?
叶うならば兄と一度、話してみたかった。そう彼は思わずにはいられなかった。
偽尾維新は数作られつつある創造主の化身、いわゆるアバター的な存在でしかない。
ゲームの中で自我すら与えられず操られ続けるプレイヤブル・キャラクターのように、偽尾維新には漠然とした個性と泰然とした使命しか存在しない。
もし、これがせめてオリジナルである偉大な創造主により生み出された化身であったならば、偽尾にも、もう少し自我や個性を与えられていたかもしれない。そしてあまりにあっけなくも絶望的な最期の瞬間も。
だが悲しいかな自分の創造主たる青年は、そんな偉大な存在ではない。
自分の親がどれほど矮小な存在であるかは偽尾には悲しいほど理解できていた。創造主にとって偽尾のオリジナルである偉大な作家は、それだけ賢い人物であるという無自覚な、そして卑屈な思い込みがあり、それが偽尾にも少なからず影響を与えているのだ。
簡単にぶっちゃけてしまうと偽尾は、創造主よりずっと賢く、IQなんかも優に20は高いっぽかった。
もう悲劇だ悲劇。あるいは喜劇。
だからこそ、本当は親のようなものである創造主の愚鈍な悪質さに、偽尾は否応なしに気付いてしまい、更には彼自身の分け身的な存在であり彼の仔でもある偽尾を面白半分に生み出し、使い潰そうとしていることにも悲しいかな気づいてしまっていた。
「阿呆な上官についちゃった部下ってこんな気持ちなのかねぇ?」
それとも障害者の親から生まれてしまった健常者の子供の気持ちが近いだろうか?
無能であることを棚に上げ、こちらを道具のように利用し尽くし、使い潰す気満々な冷めた目で見つめられていることを分かりきっている、この気持ちが。
もしかしたら、だれかご立派で高尚な存在が、『そういった人々を引き合いにだすのは不謹慎だ』とメタフィクション的な次元から罵ってくるだろうか?
偽尾からすれば創造主の阿呆さ加減は知能障害者レベルでひどいものだと思うし、その残酷さときたらサイコパス顔負けだと思う。文句があるなら偽尾をどうにか創造主から救い出してからにして欲しい。できるだけ偽尾の存在を抹消しない方向で救い出してから。
だが誰かに止まれと言われて止まれる存在でもないのが偽尾でもあった。
雨脚はさらに激しくなってゆく。
「せめて、大暴れしとかないと、ね」
存在が消される前に、それくらい傷跡を残しておきたいし。
偽尾はちいさく風と雨の中に独り言を放つと、泰然とした使命————悪趣味なテロ行為を行うべく、嵐の夜に身を躍らせていった。
そうすべては父であり、異次元で嘲笑う愚かな偽尾維新のために。
使い潰しアカウントにも五分の魂wwwなんつって