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サム・グラウンド  作者: 虎徹
2/6

違法植物栽培!リリア・グレー・アーヴァーガイン!

謎の球体に連れ去れたルークは見知らぬ部屋で目を覚ました。

そこでルークが出会った美少女は・・

鼻を押さえてうずくまった。

何が起こったのかはわからない。

ただ、痛みを感じた体が反射的にとった行動がそれだった。

痛みが邪魔をして考えがまとまらなかった。

じき、何か熱いものが顔の中から流れてきて手を赤く濡らした。口の中にも鉄臭い味が広がる。

「大丈夫かい?君」

誰かに肩を叩かれる。何とか顔を上げ、周りを見渡す。鼻血が一気に少年の顔を汚した。

反対の方向に声を上げて喜ぶ、同年代くらいの少年がいた。白の胴着に緑色の帯、地味な色合いの服を着てコーチに誇らしげに抱きしめられている。

観客席からも歓声が上がって、少年は嬉しそうに手を振り返した。

よく見ると自分も同じ服を着ていた。血がかかり無様に汚れている。自分が勝負に負けたことを少年は理解した。

「大丈夫?恐らく鼻の骨が折れているからご家族に病院に連れて行ってもらったほうがいい」

審判に指示され、会場を後にする。鼻を押さえながら歩いて行くと退出ゲートの周りに少年の家族が見えた。

少年は下を向いてなるべく顔を見ないようにして歩いた。

家族もなんの労りの言葉もなく、ただ冷たい視線で敗北した少年を見送った。

退出するとすぐ執事が手当てのために近づいてきたが、それを手で制した。

そして退出ゲートのの扉のすぐ横の壁に耳を引っ付けて座る。

・・もしかしたら家族は何も言わないのは自分にハッパをかけるためかもしれない。

自分に悔しさをバネにして成長して欲しいがためにあのような冷たい態度をとるのかもしれない。少年は無理に自分に言い聞かせながら会話に耳を傾けた。

「(男性の声が聞こえる、父の声だ!)」

「残念ながらご子息全員で優勝とはいきませんでしたな。長兄と次兄の空手の試合は実に見事でこざいました。」

「まあ、しょうがなかろう。ルークの奴には色々な習い事をさせた。

だがどれもこれも全て中途半端。座学は努力すればなんとかなるかもしれんが・・あいつはダメだ。使えん。」

「使えん」

「使えん・・」

「使えん・・・」

聞きなれた父の声で、はっきりとその言葉は聞こえてきた。

「(使えん・・使えない・・

そうだ俺は使えないんだ。家族にとってはなんの価値もない人間なんだ。)」

胸の中で父の言葉が反響して心に深い傷をつけてゆく。少年はその場から動けず、ただうずくまって声を殺して泣いた。



・・・朝日は煩わしく、雀はうるさかった

まだ、周りの世界はぼやけている。乱暴に擦り目にかかるもやを打ち払う。スッキリした目で手を見るとあの頃より幾分も大きくなっている。鼻を手で擦ったが血もつかなかった。

「夢・・・か」

最近よく昔のことを夢に見る。空手の試合でも、バイオリンの発表会でも、たいてい自分は準々決勝くらいで負けていた。

いつも両親に失望されて、なんの自信も持てずさらに強い敗北感に苛まれて・・。

「夢の中くらい勝たしてくれてもいいじゃねえか・・」

気が滅入ってきたので両手で頬をピシャッと叩いて気をとりなおした。今一度周りを見渡す。

・・・なんて窮屈な部屋だ。あの部屋とは大違いだ。

見渡した世界に抱いた印象はまず、それだった。

5歩も歩けば何かにぶつかってしまいそうなほど窮屈な部屋で、壁にはあちらの世界が覗けそうなほど大きなヒビがあちこちに走っている。

自分が寝ている色褪せたシングルベッド以外には古い木製の座椅子3っつとテーブルがワンセット。埃をかぶったやたら大きな暖炉と・・・古ぼけたクローゼット以外は大した家具は見当たらなかった。しかしまだ向こうに部屋があるのか。外に出るためのドアとは別にもう一つドアが付いていた。

「あー・・んん!ゴホン!」

ワザとらしく咳払いをして背中から白い小さな球体を引っ張り出す。なんか痛えと思ったらこんなとこに入り込んでやがった。

「おい、早速説明してもらおう。ここはどこでお前は誰だ!そして俺の安全を保障することをここで誓え!」

・・返事がない。白く無機質な体に何か違和感を感じた。ゲーム機の電源が入ってない感覚によく似ていた。

「お前、電源は!?」

体に付いているボタンをめちゃくちゃに押した。しかしウンともすんともいわない。慌てたので手が滑っておっとこすと、

ただのおもちゃのように床に転がった。

ふざけるな、張本人に何も聞き出せずどうすればいいんだ。

冷や汗が吹き出す。ヤバイ、これはヤバイ!

壁の隙間から嫌な風がひゅうひゅう入り込んだ。汗が輪郭を伝い、雫となって古ぼけたベッドを濡らした。

とりあえず、助けを呼ぼう。ベッドに寝かされていたという事は誰かが介抱をしてくれたにちがいない!

「誰かたすっk」

「ぴょおおおおおおおおお!」

「ああああああああああああああ!!!」

びっくりして素っ頓狂な声を上げた。

ドアを蹴破って奇声を上げながら入ってきた声の主は腹を抱えて床にうずくまった。

「あっはははははっ!ひーっ・・ひゃひゃっ!はっは!」

「・・・っツ!はあ〜っ・・・」

力も気力も抜けてベッドに横向きに倒れこむ、あの日から心臓がもたない。

「あっはははは・・ごめんごめん!良かった目が覚めて!」

彼女は床から起き上がり、目に涙を浮かべながら快活に笑った。


「お待たせ〜」

彼女はお茶を木製のテーブルに二つおくと、向かい側に座り込む。

お茶は紫色の摩訶不思議な色をしていた。

マロウブルーだろうか?

注意深く口に運ぶ。

美味かったが味も香りもにても似つかない。

「どう、美味しい?」

「ああ、ありがとう。」

改めて彼女を見る。

髪は絵の具で塗ったような見事な茶色のツーサイドアップ。

パッチリとした仔犬ような目も髪と同じ色をしていた。鼻も唇も少し小さめで、悪戯好きな幼い少女のような印象を与えてくる。自分と同い年くらいのとても可愛いらしい女の子。

ルークは思わず背筋を伸ばした。

とりあえず心を落ち着かせ頭を整理する。

「とりあえず・・ここはどこなんだ。俺はなんでここにいるのかわかる?」

「あっはははは、あなた自分でなんでここにいるのかわからないの?おかしな人!」

彼女はいたずらっぽく笑った。

「ん〜記憶喪失の可能性があるから一から説明してあげるね。ここは魔界だよ。悪魔達の国。ここはその国の外れにある僻地ってわけ。あなたが倒れていた理由は知らないなあ。家で紅茶を飲みながら華麗に過ごしていたらすんごい音がして、そこのドアから外に出たらあんたが横たわってたの!」

ルークは床に転がっている球体を睨みつける。

「(この野郎・・・勝手に連れてきてろくな着地もしやがらねえ。

いやそれにしても魔界、魔界だと!?確か学校で習ったところ地下3000kmに位置してたはず・・。どうすればいい!そんな距離翼で羽ばたいて行くなんて無理だ!どうしたら地上へ・・いや別に帰らなくてもいいか。どうせあの腐った現実に戻るだけだ・・いやしかし身の安全を考えればここにいるのは)」

「ねえあなたどこ出身なの?」

「・・へ?」

心臓がドキッとした。

「あなた、魔界のどこの生まれなの?」

彼女が目をキラキラさせて聞いてくる

「え、・・・あ〜うん、えっえっえ?」

「(どうする?正直に言うのは簡単だが悪魔の彼女に言うのはかなりまずいかもしれない)」

腕を組み、いかにも思い出せないでいるようにジェスチャーした。

「もしかしてここから最寄りの町のペルドラマの子?魔界では最近よく悪魔が行方不明になるからねえ」

「そ、そうなんだよ!俺そこ!そこのしゅっしん!しゅっしん!!」

「そ、そうなの・・・」

彼女が引きつったように笑う。

・・・よし、苦しかったがなんとかごまかせたようだ。

息を整え、お茶を一気に飲み干す。

「さてと・・・」

彼女が会話の区切りを契機に席から立ち上がった。

「どこへ?」

「どこって、・・仕事よん。私ここでしがない農家やってんの。紅茶飲みたかったらキッチンのポットに入れてあるから。ゆっくりしてて。」

「いや、俺も手伝うよ。」

自分も席を引いて立ちあがる。まだ大切なことを言ってないことも思い出した。

「助けてくれてどうもありがとう。」

お礼を言うと彼女はまた笑った。面白いというよりは謙遜だとか、照れ隠しだとかそんな笑いだった。

「そういやまだ自己紹介してなかったね。」

彼女は錆びかけたドアに手をかけたまま振り返った。

「私、リリア。

リリア・グレー・アーヴァーガイン。

リリアでいいよ。16歳、あなたは?」

「ルーク・ストレイシーブ・フェードアルト

ルークって呼んでくれ。同い年だったんだな。」

今までいつも誰かに名前を教える時は気が重くなった。

それは自分の名前にのしかかるプレッシャーだった。フェードアルト家であるという事を教えるという事は、自分が失望させない相手を増やすという事に他ならなかった。

だけどなぜか、リリアにだけは素直に名を教えることができた。

彼女の無垢な笑顔と明るい性格のおかげだと、そう思った。

「じゃあルーク!収穫を手伝ってもらうよん!」

彼女はドアから出て行き自分も後へと続くように歩いてゆく。


ーガッ!ー

不意に足に何かぶつかった。

なんだろうと下を向く。ぶつかったのはあの白い球体だった。

ルークの顔が怒りでひくひくと震えだした。

「これでもくらえ!」

白い球体をサッカーボールのように思いっきり蹴っ飛ばしてやる。

どうだ、本望だろう。

球体は壁にぶつかって鈍い音を立てた後、シングルベッドの下にコロコロ転がっていった。


ドアをあけると眩しい光に目が眩んだ。

まさか太陽でもあるのだろうかと上を見上げたがそうではなかった、ゴツゴツと角立つ岩石の天井になにか植物のような物が無数に生え、その花が猛烈な光を放っているのだった。あんなものは地上では見たことがない、魔界特有の植物だろうか。

家は外から見るとあの窮屈な部屋が信じられないほどに大きかった。家の周りは木々に囲まれていた。どうりで家にいるときも人の声がしないと思っていたが、森の中だったのだ。木々は謎の植物の光に当てられて、さまざまな模様を落ち葉の地面へと映し出していた。

「お〜いこっちこっち!」

土いじりを始めていた彼女が15メートルほど下で手を振っていた。駆け足でその場所へ向かう。

野菜畑は山の中でも比較的平坦な斜面に作られていた。縦横10メートルくらいで、細い枝を組み合わせて作った柵でぐるっと囲んであった。耕されたというより、ただスコップを突き刺して乱暴にほじくったような土壌だった。それが奥の方にも2、3個見えた。

「この植物を引っこ抜いて収穫して欲しいの!今すぐ。」

「・・・これ?」

彼女が白い歯を大げさに見せて笑った。

ルークは思わず彼女の笑顔とその植物の姿を交互に見比べた。

その野菜畑には、長さ3メートルはある細長いなにかが生えていた。植物の体には色は紫と赤と黒が交互に入り、いかにも毒々しいストライプを描いていた。野菜というより巨大な化け物の頭部が地上に埋まり、その触覚が生えてきたような印象を受けた。

ルークは思わず数歩後ずさった。

「ちょっと、早く抜いてよ!」

彼女はいつのまにか背中に周り、後ろからグイグイと押してくる。女の子の力とは言え後ろから急に本気で押されては抵抗しようがない。ズルズルと化け物の方に押し戻されていく。

「だって明らかにやべえやつじゃねえか!

きついぜこれ!」

「いいから早く〜!」

すると1メートル目の前の化け物畑から地響きのような低いうめき声が響き始めた。

周りの木々を揺らし、落ち葉がひらひらと地面に落ちてゆく。

化け物がこの窮屈な地面からの解放を求めていた。

「やばいわ!はやく抜いて〜!」

「 なんかヴォーヴォー言ってるんだけど!絶対やだ!」

「バカね、これは天使の歌声!今は醜いけど、きっと狭く苦しい地中から解放された途端、天界の琴のようなソプラノボイスを響かせてくれるのよ!」

「あきらかにバスボイスじゃねえか!」

思いっきりつま先に力を込めると態勢を入れ替えることに成功する。

彼女の方へ向き直り男と女の取っ組み合いになった。

「抜け〜!もう時間がないわ〜!」

「いやだ〜!」

しかし態勢を変えた今力の差は歴然でルークはグイグイとリリアを押し込んでゆく。

リリアの顔から余裕の色が消え、取っくみあっている手にも冷たい汗が滲んできた。

「ふん、諦めろ!」

「い、いや!いやああああ!」

急に彼女は力を入れる方向を横に変えた。

組み合った手はずれ、ルークは勢いあまって前に手を突き出した。

「うおっ!」

・・・手に何か柔らかいものが手の内にあった。それは力を入れると手に吸い付いてきて、いろんな形に変わってゆく。とても心地よい弾力を与えてきた。

「きゃああああああ!」

リリアは胸を押さえてうずくまる。

顔には少女のようなあどけなさは消え、隠れていた大人の女性の片鱗が出てきていた。

赤く火照る頬がなんとも色っぽくて・・。

「うおおおおお!ごめん!ごめん!」

「わざと!絶対わざとでしょ!」

ーがちゃん!

何か妙な音が後ろから聞こえてきた。

恐る恐る後ろを見る。聞こえてきたのは化け物畑の方だった。まさか・・・

触覚たちは伸びる方向を垂直から水平へと変え、全ての触覚の先端がこちらへと向いていた。

3メートルあった長さが縦から押し込まれ、50cmほどの円錐へと変わり、まるで十数個の砲台がこちらを狙っているかのような錯覚を起こした。

ルークとリリアは凍りついたようにその光景を見つめていた。

・・・先端から毒々しい緑色の汁が水鉄砲を越えた速度でこちらへと飛んできた。

「うおおおおおおおおお!」

「きゃああああああああああ!」

ルークは全国天使青少年空手大会(準々決勝敗退)の意地と反射神経で、

リリアは自分だけ嫌な思いはしたくないという低劣な意地で避けた。

・・・二人は一度も被弾することなく、十数秒の一斉放射から耐えきった。

激しく動いたので心臓が痛い。息をするのも辛かった。

「はあ・・はあ・・あれ、当たったらやべえのか?」

「大丈夫よ・・はあ・・3日寝込む程度。」

「やっぱヤバい植物なんじゃねえか!」

ルークは結構な強さでリリアの頭を殴りつけた。

「いったあ〜ひどいわ!DV男!」

「どっちがだ!」

「ふん!なによおっぱい揉んだくせに!」

「なっ・・!」

リリアはルークにあっかんべーをした後、毒液を出し尽くして枯れかけている触覚たちの方へ走っていった。

「(なっ!なっ!なっ・・・!なんだあいつ!)」

ルークは悔しくて歯噛みした。すぐ文句をぶちまけたやりたい気持ちだったが、胸の事を持ち出されては反論ができない。うまくやり込められてしまうだろう。

明らかに相手に非があるのに女性に男が押し込められてしまうのは悪魔と天使の間でも変わらないらしい。

は〜っとため息をついた後、化け物畑の前でなぜかおいおい泣いている彼女の方へと歩いてゆく。

「うわああああああん!相手の抜こうとする気持ちに反応しちゃうから決めたらすぐ抜かないよういけなかったのにいいいいいい!

抜くのには力がいるから男のルークにやってもらいたかったのにいいい!」

「当てこすりやめろ!」

へたれこむ彼女の後ろに立って、畑の方を見る。

触覚は体液を全て垂れ流したのか黒く変色してきいきいと死にかけの虫のような声を上げていた。明らかに地上では見たことがない。というか魔界ではこんな植物が普通なのか?

「一体なんなんだよこれ」

「ひっく・・バフォメットの角って言う植物・・覚醒剤として使うの・・」

・・・冷や汗を垂らしながら彼女の方を見る。

「違法なのか?」

「ヒック・・違法・・」

嫌な汗が全身から吹き出した。おいおいこいつ農家って言ってたけどまさか!

「家の周りに生えている薄ピンク色の花達は!」

「ケシ、地上の天使達の間でも多分有名だよ。」

「あそこにあるもう一つの畑に生えている円錐状の植物は!」

「ベルゼブブの卵。中毒性の高い麻薬の原料として有名なの」

「違法か!?」

「うん、がっつり///」

彼女は可愛らしい顔を赤くして照れたように頭を撫でる。

・・こいつ、やべえ。

体重を後ろに預けていつでも逃げられる準備をする。

彼女はいつのまにか泣き止み、気持ち悪い笑いを浮かべながら立ち上がった。

「あれえもう質問は終わり?ビビっちゃったのお?るーくー?そうとも!」

彼女は野菜畑のある平坦な斜面を駆け上って抜け出し、雑草生い茂る地面からルークを見下ろした。

ルークはただただ動けず口をあんぐり開けたまま彼女を見上げていた。

「一つ!違法植物私に任せろ!」

彼女は大きく右手を振り上げて仰々しくポーズを取った

あんまり大げさに動くので脆い山の斜面が削れて、落ちた小石がこちらにまで転がってきた。

「二つ!それを盗賊に横流し!」

左手も右手と同じように天高く上げた!

「3っつ!そうとも!

私の名は・・・

リリア!グレー!アーヴァーガイン!」

彼女は最後に両手を胸の前で組み、主に祈った。森の木の枝が何故か折れ、彼女のいる地面だけを光が照らし出した。主の祝福の光が彼女を照らし出した。彼女は恍惚の表情で涙を流し叫んだ。

「おお、どっかの主よ!ありがとうございます!」

よし、心は決まった。ズボンの裾を膝小僧まで上げる。

「おい、リリア!」

「何〜?」

彼女はすぐに返事をしてくれた。

お祈りはどうした。

「世話んなったな!あばよ!」

残った力を振り絞り斜面を下る。

息が切れて、足がもつれて転びそうになったがそれでも走った。

ルークは心の中で毒づく。

なんなんだ一体!よくわからん球体が来たと思ったら魔界へ飛ばされて出会った美少女は違法植物を栽培!めんどうなことになる前に帰る!帰りたくはないけど!

追ってないか確かめるために後ろを振り向く。

リリアは目の前にいた。ルークは恐怖のあまり叫んだ。

「うおああああああああああ!」

腰に彼女が抱きついてきて勢いそのまま派手にすっ転ぶ。ちょうど柔らかい干し草の上にこけたのでダメージはなかったが、彼女は腰に絡みついて離れなかった。

「逃がさないよ!今降りたらとんでもないことになるわよ〜!」

「離せ!離せええ!母さん〜!とうさああああん!俺もう帰るううううう!

違法植物の畑がある、可笑しな山に少年の痛切な叫びが響いた。

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