虹の笑み
しんしんと降る雨、なにが悲しくて泣くのだろう。
天気はまるで幼子のようだ。
ころころと変わって、私達を困らせたり、喜ばせたり。
今、私は困っている。
段々と強くなる雨、私の手の中に傘はない。
真っ黒な雨雲の間を縫って光が差した。
本当に天気とは不思議なものだ。
雨雲は遠くの方へとなにもなかったかのように消えて行き、空は七色の靨を作っていた。
私はふと甥の顔を思い出し、久しく姉に一通のメールを送った。
晴れ渡る空の下、私はスーツが汚れるのも知らずに、水溜りを蹴って走り出した。