罰ゲームの履行
どうしたものか。
朝から悩み続けて今はお昼ご飯の時間だ、自分で作った弁当をつつきながら考えていると声が掛けられる。
「五久くん、なに悩んでるの~?」
「ああ、真由ちゃん、二人っきりになるには何処が良いかとおもって」
「二人っきりって、罰ゲームの? 五久くん積極的じゃん!
そだ! 真由の部屋に連れ込んじゃえば?」
「えぇ~! で、でも私の部屋汚いし、お母ーさん居るし…」
「じゃあ、五久くんの部屋は?」
「いや、俺個人の部屋は無いんだ、住まわせてもらっている身だから」
「そういや、遠くから越してきたんだったな、親戚の家にでも厄介になってるのか?」
「あーっと……婚約者の家なんだ」
「「「えっ!!」」」
「す、進んでるんだな…」
婚約者と一緒に住んでいる、と言葉にするのはとても恥ずかしかったが、乃華さんの事を黙っている事や、嘘を付く事などしたくは無かったので、正直に話した。
すると、この空気に耐えかねたのか、たねちゃんが唐突に提案してくる。
「だったら、ネットカフェとかいいんじゃない?」
「あー、なるほど、そこならいいね、
たねちゃんはネカフェはよく行くの?」
「まっ、まぁ、たまにね、家ってパソコン無いからさー、アハハ…」
「へー、じゃあお店の場所とか教えてもえるか?」
「いーよー」
それから、たねちゃんに詳しい場所や、時間毎の料金設定などを教えてもらい放課後を迎えた。
「よし、じゃあ行こうか、真由ちゃん」
「うっ、うん! よろしくお願いしましゅ!」
着いた建物は1階が駐車場、2階の店内に入ると薄暗い雰囲気で、奥に行くほど暗くなっている。
そしてこの暗い個室というのが、背徳的な興奮を一層高めてしまう要因となっている。
何が言いたいのかというと、滅茶苦茶ドキドキするという事だ。
◆
一方その頃。
「おい! 本当に行くのか!?(小声)」
「あんただって気になるっしょ!?(小声)」
五久と真由の後を、少し間をあけて尾行していた大地と狐兎子。
あまりにも気になるので、付いてきてしまった。
五久と真由が奥に消えて行くのを確認すると、店員さんに友達であることを伝え隣の部屋にしてもらう。
急いで部屋に入り、壁に耳を押し付けること数秒後、二人の会話が聞こえてくる。
「なんか緊張するね…」
「おっ、おう…」
「大丈夫? 五久くん、無理してるんだったら…」
「いや、大丈夫だ、むしろ真由ちゃんにだったら、いくらでも触って欲しいくらいだから」
「本当に? 嬉しいな~」
「じゃあ…脱ぐぞ…」
「わぁ…スゴイ…触って良い?」
「ああ、良いよ」
「うわぁ…凄くカタいね」
「うぅん…ソコはくすぐったいだろ」
「ふふっ、ごめんごめん、じゃ~コッチはどうかな~?」
「ソコからはダメだって、あっ、コラッどこ触って…」
壁に耳を押し付けた大地と狐兎子は、顔を真っ赤にして視線を合わせるも、あまりの気恥ずかしさに逸らしてしまう、という行為を何回か繰り返していた。
「なにコレ、ナニが行われてんの?」
「俺が知るかよ…」
その後時間いっぱいまで、中腰で壁に貼り付け続けた二人は、身体中バッキバキになって起き上がることが出来ず、時間延長を余儀無くされた。
「なにしてんの、わたし達…」
「だから、俺が知るかよ…」