表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/22

高校生活初日



 空晴れ渡り、春()ゆる清々(すがすが)しい朝、希望に満ちた一日がやってきた。


 数多くの初々しい学生達が、桜並木を通り学び舎へと入って行く。


 かくいう俺も、期待と不安を胸に秘め、これから一年間お世話になる校舎を見上げていた。



 すると道の脇から、なにやらガサガサと音がする。


 気になって覗いてみると、這いつくばって何かを探している女学生が居た。


 これはチャンス! とばかりに話し掛ける。



「あぅ~、無いよ~、どこいったのー?」


「どうしたんだ、何か捜し物か?」


「あっ! ええと~、ネコちゃんが居たから、携帯で撮ろうと思って構えたのねー、そしたらクワッ! ってなって、私ビックリしちゃって携帯がどっかいっちゃったんだー…」



 ああ、えっと、より詳しく聞いてみると、猫が携帯のストラップに反応して飛び掛かってきた為に、反射で避けようとしたら携帯が手からすっぽ抜けていったらしい。



「そっか、じゃあ携帯番号教えてくれたら、鳴らして探せるが?」


「本当に! ありがとうー!」



 自分の携帯を取り出し、内心ドキドキしながら、さも自然に電話番号を聞いてみると、あっさりと満面の笑みで教えてくれた。


 携帯登録女学生、第一号である!


 彼女の名前は、綿毛 真由(わたげ まゆ)ちゃん18才


 髪はショートで茶色がかった天然パーマ、身長は160㎝強で、大きな瞳と下がった眉尻、そして言葉遣いからゆるふわ感が滲み出ている。


 ミニスカートと、ニーハイソックスの絶対領域が眩しい女の子である。



 その後、無事に携帯を見つけ、真由ちゃんと一緒に体育館へと向かった。


 体育館では男女に別れて座ると、禿げた校長の長い挨拶を聞き流しながら、眠い式をなんとか乗り切った。


 その後は、玄関ホールに貼り出されたクラス分けを確認する、ドキドキしながら自分の名前と、真由ちゃんの名前を探すと、なんと同じクラス!


 小躍りしたい気持ちを抑えながらクラスへと向かう、教室を見回すと真由ちゃんはまだ来ていないようなので、黒板に貼り出された名前を見ながら、指定された席へと座る。


 すると後ろから声が掛かった。



「よっ! 俺は斧 大地(おの だいち)よろしくな!」


「おう、俺は遠山 五久(とうやま いつく)だ、こちらこそよろしく頼む」


「おっ! 良い握力してるな! 見掛けた事は無いが、どっか体育会系の部活に入ってたのか?」


「ああいや、この高校には三年生から転校して来たんだ」


「へぇ! 珍しいな! じゃあなんか分からない事があったら聞いてくれ! 何でも教えるぜ!」



「なに言ってんのよ、あんたじゃ教えられるような事なんて、大して無いじゃん!」



 如何にもスポーツマンといった見た目の大地と喋っていると、横から女の子の声が割り込んできた。


 そちらを向くと目に入ってきたのは、身長は165㎝以上、後ろでチョコンと纏められたポニーテールに、勝ち気そうに上がった眉、マンガのキツネのように釣り上がった糸目、大きな口と白い歯を見せている彼女は「シシシシ!」とこちらを見ながら笑っていた。


 そして、その横で手を振っているのは、今朝あった綿毛 真由ちゃんその人、とてもホンワカする笑顔を向けてくれている。



「遠山くん一緒のクラスだねぇ、嬉しいなー」


「おっ、真由の言ってたのってこの子か! カッコイイじゃん! あたしの名前は種田 狐兎子(たねだ ことこ)、よろしくね!」


「へっ! ウルサイのが来やがったぜ!」


「なんだとー! あんたに言われたくないじゃん!」


「まぁまぁ二人とも…、真由ちゃん、種田さん、こちらこそよろしく頼む、所で3人とも仲が良いが、二年生の時に一緒のクラスだったのか?」


「そうだよー、真由とは親友で、大地とは腐れ縁ってやつね…


っと、それはそれとして、なんか真由とわたしで扱いに差を感じるんだけどぉー?」


「いや、それは…」


「気を(つか)う必要なんか無いぜ五久! コイツのことは、オイとか、お前とか呼んどきゃいいんだ!」


「ははは、それだと逆に夫婦みたいな呼び方だな」


「いっ、いや、俺はそんな、つもりじゃ」



 なんだか一緒になって顔を赤くしている、大地と種田さんを置いて、真由ちゃんに話を振った。



「真由ちゃんは種田さんのこと、なんて呼んでるんだ?」


「私は、たねちゃんって呼んでるよー」


「じゃあ俺も、たねちゃんと呼ぶ事にしよう、それでどうかな?」


「まっ、まぁ! 今回は許してあげるよ! それじゃあ仲良くなった記念に今日はパーっと遊びに行こうじゃん!」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ