この世界の説明
今回は説明回です、ご都合主義!全!開!
チュンチュン、チュチュンチュン…
鳥のさえずりと、窓から射し込む太陽の光によって目を覚ました。
昨夜は悶々とした時間を過ごしたが、身体と精神は結構疲れていたようで、途中で意識を失ったようだ。
昨夜の夜更かしのせいで、身体が二度寝を欲している。
幸い今日も休みであるので、おおいに寝てやろうと寝返りを打つと、目が合った。
そこでやっと意識がハッキリしてくる。
昨夜の眠れなかった原因と、現在の状況を正しく理解すると、言い知れない感情に支配される。
何とも言い表せないむず痒さと言おうか、それでいて一点に集中しだす血液。
あらゆる感情を押し殺し、少し赤い顔で「おはよう……ハナちゃん(小声)」と言うのが精一杯だった。
◆
あれから乃華さんと朝の挨拶を交わし、乃華さんの着崩れたパジャマ姿にドギマギしながら起きだすと、下着や布団など必要な物を揃える為に買い物に出掛けた。
服屋、スーパー、家具屋、携帯ショップ等に行って帰って来る頃には昼を大分過ぎており、遅めの昼食を食べて今に至る。
「さてと、イッくんに大事な話があるわ」
そうして乃華さんから語られたのは、驚愕の事実だった。
まず…
・こちらの世界では、平行世界の存在は認識され確認されていて、研究機関が調べている最中である。
・その関係で、俺が元居た世界から持ち込んだ物(衣類、紙幣、貨幣、スマホ等)を全て高値で買ってくれる。
・元居た世界と、こちらの世界では、価値観が多少変わっている。
・俺が3年生から高校に通えるように手配してくれる。
元から俺が持ち込んだ物は、こちらの世界ではことごとく使えなかったので、願ったり叶ったりだ。
さらに、諦めかけていた高校にも通えるかもしれないとなれば、感謝しかない。
「本当にありがとう、何から何まで、俺…ハナちゃんに会えて良かった」
そう言うと乃華さんは、ニマニマとした口元を手で隠しながら「あっ、いや、私の方こそ…///」と、大分照れながら嬉しそうだった。
「コホン! そう言うわけで高校に行く前に、こちらの常識をある程度教えておかなくちゃだし、要請もあるので、ある場所に行きます!」
◆
そうしてまたもや車に乗って連れて行かれた場所は、白色で統一された如何にも施設といった建物。
受付で待つこと数分、現れたのはボタンを3つほど開けた赤いYシャツに黒のタイトスカート、脚には30デニールほどの薄い黒タイツにハイヒールといった装いで、その上から白衣を着て眼鏡を掛けた美人な女性だった。
「初めまして、私はここの副所長をしている研﨑 恭香だ、よろしく頼む」
ガッシリと握手を交わし(両手で包み込まれた)、小部屋に通されると情報交換が始まった。
そして判明したのは、男女比率はあまり変わらないし(女性よりは男性がちょっと少ない程度)、世界情勢や男女のパワーバランス(男性が働き、女性が家を守るという基本スタンス)は大して違いは無い。
ただし、男女の性に対しての価値観だけは180度ほどの真逆であった。
つまり、女性は男性の上半身裸を見ても興奮するし、下ネタを言ってくるのも女性からだし、エロ本やエロDVDを見るのも女性。
もとの世界でも、女性は男性より性欲が強いという話もあったが、こちらの世界では女性は男性の8倍は性欲がある、と言われているそうだ。
「ん? ひょっとしてその服装は…」
「ああ、前に来た異邦人がこういう格好が興奮すると言っていたものでな、どうやらキミも私の胸の谷間が気になるようだ、どうだ、興奮するかい?」
言いながら恭香さんはシャツの胸元を引っ張り、胸の谷間を見せつけてくる。
正直とてもありがたいが、乃華さんが横に居る手前とても気まずく咄嗟に目を逸らす。
「ふふ、気に入ったんなら私を貰ってくれても良いんだよ?」
「おっ、俺には乃華さんがいますから!」
「ああそうだった、その説明もまだだったね」
「え?」
「こちらの世界では一夫多妻も、法律で認められているのだよ」
「ええー!?」
なんと、一夫多妻と多夫一妻は法律で認められているらしい。
理由としては独占欲があまり強くなく、だが夫婦になると強固な家族関係を創りあげ、夫婦になった後の浮気(双方の合意無く恋人を作る事)はあまり無いからだそうだ。
恭香さんが、その後グイグイ来るので「出会ったばかりだし…」と言ってお茶を濁しそそくさと退散した。
帰り際に「また来てくれよ、研究の為にも、私の為にもね」と、ありがたい言葉を頂き家路についた。
◆
帰り着いて、改めて乃華さんに聞いてみると、目の前で他の女の子とだけイチャイチャされるのは嫌だが、俺が仲の良い友達(男女問わず)を作るのは問題ないらしい。
ただし、新たな彼女を作るつもりなら、必ずその娘と会わせるようにとの事だ。
これは、この世界の学校生活が、今から楽しみで仕方がない!