向日葵 乃華の事情
私は市役所で働く公務員、24才、未婚、彼氏無し。
いや、言い訳させて貰えれば、私に魅力が無い訳じゃないの! 高校、大学は公務員試験に受かる為にひたすら勉強に取り組み。
無事に就職後は、必死に仕事に打ち込み、今までは余裕が無くて恋愛に関わろうとしてなかっただけで、これからなの!
誰に対してなのか分からない言い訳をしながら通りを歩く、今日は休みで、今は3月、学生達は卒業式も終わり開放的になって街に繰り出しているかもしれない。
若い男の子達を拝めるかもしれないと、ちょっとした欲望を抱きながら彷徨い歩いていると、遂に男の子を発見!
身長は170位、髪は黒の短髪で襟足を刈り上げていて活発な印象、服装は白のYシャツに黒のズボンとスニーカーというシンプルさで、より若さが溢れ出ている。
そんな男の子が上を見上げ、まなじりは下がり悲しそうな顔をしていた。
その横顔にキュンキュンきてしまい、思わず声を掛けてしまった。
「あっ、あの! 大丈夫ですか?」
話を聞いてみるとどうやら迷子らしい、これは私の出番だ! 市役所に勤めて早三年、こんな事もあろうかと、この市の地理を覚えておいて良かった!
しかし、どうも話が噛み合わない、仕方が無いので市役所に連れて行き調べるも戸籍が無い!
ニュースでは見たことあったけど、平行世界の人って初めて出会っちゃった。
五久くんは凄く落ち込んでて、その顔を見たら私が支えてあげなきゃ! って思ったら咄嗟に「よっ、良かったら私が結婚してあげよっか?」って口走ってた。
言った後、五久くんに引かれたらどうしよう! って思ったけど直ぐに五久くんから「是非お願いします! 俺と結婚して下さい!」って言ってもらえた嬉しさで舞い上がってしまい、何の準備も無く家に連れ込んでしまったのだ。
なので食事の後、その事件は起こってしまった。
「ハナちゃーん! 着替えは何かないかな?」
「あっ! ゴメンね! すっかり忘れ…!!」
その言葉で着替えが無い事に気付き、慌ててお風呂場の方に向かうと、私の目の前に広がっていた光景は楽園であった。
男の風呂上がりでのバスタオル一枚、というシチュエーションは、年頃の女性であれば誰でも一度は抱く夢だ。
そんなものがイキナリ目の前に現れたものだから、脳内アルバムに保存するべく、記憶という名のシャッターを押しまくった。
そして、最後の最後に一番大きな問題が!
布団が一つしか無い!
女の独り暮らしなので当たり前なのだが、唯一の救い? としては、布団の大きさがセミダブルだという事だろうか。
いつの日にか男性と良い仲になって、お家に呼ぶ時の為にと買っておいた物である。
まぁ、十中八九イッくんが布団、自分はソファで寝る事になるだろうなと思いつつも、もしかしたらという思いに賭けて「布団一つしか無いし、一緒に寝る?」と聞いてみると。
なんと、顔を真っ赤にして俯きながら「おっ、おう」と言ってきて、もう可愛い過ぎてどうにかなってしまうレベル!
そこからはもうずっと頭の中で、これは誘っているのだろうか? とか、いやいや出会って一日目で手を出すなんて嫌われないかな? とか、いやでもイッくんもまんざらでもなさそうだったし! とか、でもでも身体目当てと思われたくないし!
などと色々な事を考え過ぎて、乃華も眠れない夜を過ごすのであった。
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