美術部員のお願い
――6月上旬の朝
太陽の光がサンサンと降りしきる、気持ちのいい季節、私はこれからの季節が大好きなの。
理由は言わずもがな、6月と言えば衣替えの季節ですものね!
暖かい陽射しに誘われて、開放的になる男の子達。
白のYシャツが雨で濡れたとき、カラダに張り付き、浮き上がるボディーラインのエロス。
半袖の腕を上げたときに見えそうになるワキのエロス。
「フフフ、楽しみだわ」
そんな男の子達の若さ溢れる一瞬を、美しく遺すために私は美術部に入ったのですから。
希望に満ち溢れながら、校門から続く校舎入り口までの道を歩いていると、なにやら道を外れて木陰に歩いてゆく男子生徒を発見。
気になって(夏服だったのでに余計に)、後を追い掛けてみましょう。
「アハハ、おまえ結構人懐っこいな」
音を立てないように慎重に近付いてゆくと、そこにはしゃがみ込む男の子の姿が。
体調でも悪いのかと不安に駆られましたが、聞こえてくる声はとても楽しげなもの。
男の子の横にまわり込んでみますと、私はあまりの衝撃に目が離せなくなってしまいました。
「む、やるな! こいつめ、これならどうだ?」
ネコを撫でようと手を伸ばす男の子、その手に反応してネコパンチを繰り出すクロネコ。
左手は上から伸ばし、フェイントを織り交ぜながら注意を引きつつ、右手を死角からクロネコへと迫る!
遂に捕獲されるネコ! 胸元に納められると、今度は顔を狙って必死にネコパンチを繰り出す。
「あ! コラ、そこはダメだって、アハハハ! くすぐったいだろー!」
空いたシャツの胸元に偶然パンチを引っかけたネコは、その広がった空間に潜り込もうとする。
いいわよ! もっとやりなさい!
は! イケナイ、イケナイ、ちょっとアブナイ世界にトリップしていたようだわ。
しかし、これは逸材を見つけたわ、このチャンスは逃せない。
なんとしてでも、私のモデルになってもらわなくっちゃ!
ネコに逃げられ、残念そうな男の子の元へ行き、声をかける。
「おはようございますわ、とても楽しそうでしたけど、ネコがお好きなんですか?」
「あ、お、おはようございます、はい、動物はだいたい好きですよ、えーっと…」
「あら、ゴメンなさい、申し遅れました、私の名は鳳凰院 深佳、以後お見知りおきください」
「あっ、自分は遠山 五久です、どうもよろしく」
「早速なのですけれど、私美術部員をしておりまして、五久さんを私のモデルにさせてもらいたくて、声を掛けさせていただいたのですわ」
「え!? 自分なんかがそんな…」
「謙遜することはありません、ネコと戯れる五久さんを見て、私、どうしてもアナタを画きたくなってしまったのです
一度でいいから部室まで、いらしていただけませんか?」
「うーん、そこまで言うのでしたら、明日の放課後にでも…」
「本当ですか! ありがとうございます! ウフフ、では明日、楽しみにしておりますね♪」
フフ、やりましたわ! 明日の放課後が楽しみで仕方がありません!
他の部員達には、五久さんに失礼がないよう、言い聞かせておかなくては!
◆
――そして当日
「ようこそ、おいで下さいましたわ、五久さん」
「あ、ハイ」
「ふぉおお! 男だわ! 背も高くて、肩幅も広い!」
「結構、筋肉がついてて、細マッチョって感じ! 腹筋を見せろぉおおおお!」
「ち! 力こぶ! 力こぶ作ってー!」
「ア、アハハ…///」
「みなさま、静かになさいませ! 五久さんがお困りでしょう?」
まったく、昨日あれほど言い聞かせたと言うのに、なんという有様かしら。
それにしても、こんな下品な部員達のヤジに、少し照れ笑いしている五久さん、なんて可愛らしいのかしら!
ふうイケナイわ、今日はスカートに中にブルマを穿いていて本当に良かった。
「さあ、皆さん席について! 五久さんはこちらへ」
皆さんが、円をえがいて座っている椅子の、中央に配置された椅子へと五久さんを誘導いたします。
「え! 皆さん、俺を画くんですか?」
「ええ、他の部員達に昨日のことを伝えると、皆が五久さんを画きたいと言って聞かないものですから…ご不快だったでしょうか?」
勢いで誤魔化せないかと画策したのですが、気付かれてしまいました。
致し方ありませんが、五久さんがイヤだと言うのなら私一人で画くしかありません。
その方が、こちらとしても好都ご…ぅゲフンゲフン
「ああ、いや大丈夫ですよ、ちょっとビックリしただけで…今までこんなに注目されるような事なんて無かったから」
「ンフフ、それなら良かったですわ、それじゃあ、ちょっとポーズを取ってみましょうか」
「ちょっと恥ずかしいですね」
二人っきりになれなかったのは残念ですけれど、五久さんの恥ずかし笑顔が、間近で見られたので結果オーライですわ!
◆
ああ、イイなこういうのも、みんなが俺だけに集中して、俺だけを画いていると思うと、ヘンな気分になってしまう。
ひょっとして、アイドルとかこういう気分なのだろうか?
何だか少し、サービスしてあげたい気分になってきた。
暑くなったフリをして、胸元のボタンを開けてみる…
目の前に居た深佳さんが、カッという擬音とともに目を見開くと、胸元を凝視しはじめた。
他の部員も、異変に気が付いたようで、俺の前に椅子とイーゼルを移動させてきた。
調子に乗った俺は、そこからイロイロな行為を行った。
目が合った女子部員に、流し目を送りながら、舌でクチビルをなぞってみたり。
Yシャツのボタンを、真ん中の一個だけ留めて、ヘソをチラチラしながら、反応を伺ってみたり。
しかし、肩が完全に露出した段階で、女子部員、全員の手がイケナイ場所に伸びるのを見て、(あ、これはいけない)と正気に戻り、なんとか事無きをえた。
何でも、やり過ぎはよくないね、調子に乗るとろくな事にならない、みんなも気を付けるんだぜ!(スットボケ




