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矢追 妃巫女の事情 上

 矢追 巫女の名前を矢追 妃巫女に改名します、なんだか語感がよくなかったので。


 17話も、名前だけ書き直しております、ご迷惑おかけします。



 町を流れる川、その河川敷を歩く女子高生が一人。


 彼女の名は矢追 妃巫女(やおい ひみこ)、その目的は一つ。


 捨てられしトレジャーの捜索。


 この辺りは、よくトレジャーが見つかるスポットとして有名な場所だ。


 他のトレジャーハンターに遭わないように、周囲を警戒しながら捜索を続けていると、橋の下に人影を発見。


 しかもその人影は、しゃがみ込んで何かをしているようだ、もしやトレジャーをハントしたのだろうか。


 真相を確かめる為に、死角からそっと近づく。


 見えたのは、ダンボール箱の前にしゃがむ男性、服装は自分と同じ高校の制服だった。



(だっ、男子高校生が河川敷でトレジャーハント! ふおおぉぉ! テンション上がるよ~!)



 興奮気味に更に近付くと、男子生徒はダンボール箱から、そっと何かを持ち上げる。


 茶色くて、モコモコしており、しきりに男の子の指を噛もうと、必死に首を動かしていた。



(ああ、うん、犬だわ、何処からどうみても柴の子犬だわ、


…はっ! もしかして、あの子犬をバターが塗られたトコロを丁寧に舐めるよう調教して、新たなトビラを開くつもりでは!?)


「…ハァ…ハァ」



(うーん、後ろの子はなんだろうか? さっきからジッとこちらを見ているが、多少息も荒いようだし…


…はっ! もしかして、今までこの子犬の面倒を見ていた子だろうか? 俺が居るから近寄れず、かといって何か乱暴を働かないかと不安で、近くで監視していたとか)



 そこまで考えた男の子、遠山 五久(とうやま いつく)は、その女の子に声をかける事にした。



「こんにちは、この子犬の知り合いですか?」



 なるべく笑顔を心がけて問いかけてみたのだが、ビックリした顔で、口をパクパクするばかりで返答は無い。


 無いので子犬を近付けてみる、子犬も知り合いならば、なにかしら反応があると思ったからだ。


 指に近付けてみると、フンフンと匂いを嗅いだあと、ペロリと舐めてみて、そして噛みだした。



(ふむ、キライな相手ではない…と)


「わっ、ひゃあっ!」


「俺は3年生の遠山 五久だ、君は?」


「ひゃい! 2年の矢追 妃巫女でしゅ!」


「俺はこの柴とは初めて会ったんだが、妃巫女ちゃんは何か知ってる?」


「いえ、私も初対面です、私はちょっと探し物をしてただけで…(ってか、もしかして、五久さんってこの前保健室で会ったあの!?)」


「探し物? 何を探してたの?」


「あのぉー、ええとぉー、トレジャーをー、探しにきたっていうかぁー」


「トレジャー?」


「ええっと…そう! ネタです! 私実は漫研に入っていまして、新作のネタ探しに…」


「へー! 漫画とか書いているんだ、凄いね、見てみたいな」


「本当ですか! わ、私はいつでも(家に)来ていただいて構いませんよ!」


「ありがとう、じゃあそのうち(部室へ)遊びに行くよ」


「いっ、今すぐでも良いですよ! む、むしろ、今からどうですか!?」


「へ? 今から?」


「そっ、そうですよね…初対面センパイが家に来てくれるなんて、社交辞令に決まってますよね…それなのに私ったら…ブツブツ」


(うわぁ! もの凄い顔で落ち込みはじめた、そうかこの子は家に遊びに来てくれるものと思っていたのか、勘違いとはいえ悪い事をしたな、こんな悲しげな顔を、いつまでもさせておくのも忍びないし)


「そうだな、行こう! 今から妃巫女ちゃんの家に」


「え? 本当に…? 本当の本当ですか!?」


「ああ、もちろんだ!


しかし、しかしその前にこの()どうしようか? 家では飼えないし、ココに置いてゆくのも心苦しい…」


「それなら、一旦私の家で預かりましょう、ちょっと前までイヌを飼ってたので、里親を探すまでの間だったら、大丈夫なハズですよ」


「それは有り難い申し出だな、よろしく頼む、その代わり俺に出来ることなら何でも言ってくれ」


「え! はっ、はい! (何でも! 何でも言っていいの! く、首輪を付けてもらう? いやいや、私の体操服を着てもらうのもアリかも! その格好で色んな角度から写真を…)ハァ…ハァ」





 たどり着いた矢追家は、庭付きの一戸建て、庭はシッカリと柵で囲われていて、ワンちゃんをココで遊ばせていた事がうかがえる。


 両親はまだ帰って来ていないらしい。



「それじゃあ、この部屋でちょっと待ってて下さいね」



 五久は妃巫女の部屋へ通され、妃巫女が柴とお風呂に入ってくるまで待つことになった。



「おお! さすが漫研所属、漫画をたくさん持っているな」



 彼女の部屋の棚という棚には、漫画がギッシリと詰め込まれている。



「ちょっと拝見…」



 その内の一冊を手に取る、五久はこちらの世界に来てから、漫画やゲームなどを買っていなかった、お金も無かったし、乃華さんにも遠慮していたからだ。


 なので、久しぶりに読む漫画に、とてもテンションが上がっていたのである。



「ふむ、恋愛ものかな? んー、あれ? おかしいな、男しか出てこないが…よし、次に行こう」



 今度のは推理ものだ…



「若い男の探偵に、青年執事が付き従っている…食事から入浴、添い寝まで、完璧な執事だな…よし次だ」



 次は、歴史ファンタジーもの



「ほう、陰陽師が、昔悪事を働いていた鬼を使役して、次々と依頼を解決してゆく、うん、基本依頼者は女性なのか…どうも女性の依頼ばかり請ける陰陽師に、鬼が嫉妬しているように見えるな…まぁ、陰陽師も鬼も男なんだけどね」



 五久は漫画あさりを早々に諦め、こちらの世界で、女子高生の部屋に招かれた場合、絶対にやりたかった事を実行する。



「そう、エロ本探しを!」



 この話も、閑話みたいなものなんですが、だいたいの話がムダ話みたいなものなので、自分の中で閑話の定義があいまいになっております。


 一応、時系列があいまいな話を閑話としているんですが…


 まぁ、いっか♪

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