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綿毛家 訪問 上



「五久く~ん、今日はバイトの日~?」


「いや、今日は休みだが、どうした?」


「それなら家に、遊びに来てくれないかな~って」


「遊びに行くのは良いが、何かあったのか?」



 真由ちゃんからの遊びの誘いだが、どうにも引っ掛かる。


 雰囲気からなにやら必死さが(にじ)んでいるというか…



「ん~ん、なんにも無いよ~?」


「なら良いが、何かあったら言えよ」


「うん~! ありがとう五久くん!」



 ふむ、思い過ごしか、まぁ前の世界で考えれば、男子高生が女子高生を自宅の部屋に呼ぶようなもの、それは緊張して当然だ。


 ならば真由ちゃんが、あのような態度でもなんら問題は無い。



「じゃあ、放課後にね~!」



 眩しい笑顔を見ながら、瞬時に頭を切り替えると、人生初めての女子高生のお部屋訪問、というイベントにココロ踊らせるのであった。





 ――放課後――



「私の家は~、コッチだよ~」


「おう」



 真由ちゃんと二人で並んで歩く、二人っきりだ…たねちゃんと大地は何か用があるみたいで、今日は遊べないとの事だった。


 予想外だ、このままでは真由ちゃんの部屋で二人っきりになってしまう。


 前に家に呼ぶのを恥ずかしがっていたので聞いてみると、部屋も片付けたし、今日は両親ともに出掛けているとの事。


 何だろうか、条件が整い過ぎている、真由ちゃんが二人っきりになる為に画策したかのような。


 いや、こんなに可愛い子と、二人っきりになるのが嫌な訳じゃない、むしろドキドキし過ぎてツラい。



「着いたよ~、五久くん、綿毛家へようこそ~♪」


「ああ、お邪魔します」



 色々考えていたら、もう着いてしまっていたらしい。


 綿毛家は、まさに理想のマイホームといった感じ、洋風の二階建ての建物。


 玄関から入り、キッチンやリビングの横を素通りし、二階にある真由ちゃんの部屋の中へとお邪魔する。


 入って直ぐに(かお)る、女の子特有の甘い匂い、配色は白とピンクで、ベッドの上や棚の上に縫いぐるみが鎮座している、まさにこれぞ女の子の部屋といった感じ。


 ベッドに座るように促されたので、ドキドキしながら座り、感動しながら部屋を見回していると、部屋の隅に行った真由ちゃんから声が掛けられる。



「ゴメ~ン、直ぐ着替えちゃうから、ちょっと待ってて~」


「ああ、だいじょう…ぶ?」



 着替える?


 一瞬、言葉の意味をあまり深く考えず、(うなず)きそうになったが、あれっ? と思い真由ちゃんの居る場所へ視線を向ける。



 そこに見えたのは、真由ちゃんの背中、セーラー服の上は(すで)に肩甲骨の辺りまで、まくり上げられており。


瑞々(みずみず)しくキメ細やかな肌を露出させ、見えてしまっている純白のブラと相まって、十代の若々しいエロスというものを体現していた。



 あまりの光景に、本能という名の悪魔が視線を動かす事を拒否するが、理性という名の天使がギリギリで悪魔を叩きのめす事に成功する。



「へっ、部屋の外で待ってるから!」



 急いで顔を背け、扉を開けて避難する。


 真由と書かれた、プレートの掛かった扉の前で、安堵の息を吐いていると、明らかに子供と分かる高いキーの声が掛けられた。



「おい! お前が遠山 五久か?」


「そうだが…君は真由ちゃんの弟さんかな?」



 声がする方を見ると、髪は短く、半袖、短パンの小学生くらいの子が、大きな瞳を吊り上げこちらを睨んでいた。



「お前! ねーちゃんに近付いて何たくらんでやがる!」


「いや、ただの友達だが…」


「そんな事言っても、オレはだまされないぞ!」



 いきなりの追及に怯んだものの、ははぁこれは大好きなお姉ちゃんが取られると思って、俺を排除しようとしているんだな、と解釈した。


 ならばと俺の出した結論は、この子とも仲良くなってしまえば良いじゃないか、というものだ。


 そこまで考えた所で真由ちゃんの部屋の扉が開いた。



「コラ~、さっちゃん! 五久くんに失礼な事言っちゃダメでしょ~」


「でっ、でも真由ねぇ!」


「でもじゃないの~! も~、さっちゃんが五久くんと会いたいなんて言うから、何でだろうと思ったら~


何であんな事言ったの?」


「そっ、それは…」


「まぁまぁ、先ずは部屋に入らないか?」



 弟くんの繊細な心情と、いつまでも廊下で話す事でも無かったので、一旦部屋で落ち着こうと提案する。


 脚の短い丸テーブルを囲んで座ると、やっと真由ちゃんが紹介してくれた。



「この子は妹の紗渚(さなぎ)、小学六年生だよ~」


「へー…えっ? へー、妹さん…」



 服装や髪型、口調なども完全に男の子だし、膨らみも未だ無いので、盛大に勘違いしていた。



「あっ! そ~だ~、飲み物持ってくるね~」


「えっ? お、おう」



 言うが早いか、真由ちゃんは既に扉を開いて、キッチンに降りて行ってしまった。


 部屋の中には、今だにこちらを睨んでいる紗渚ちゃんと二人っきり、という状況。



 正直、居心地は悪いが、しかし、やり遂げなくてはいけないだろう、紗渚ちゃんと仲良くなるというミッションを!



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