閑話 欲求不満 下
「ふぃー、今日はちょっと飲み過ぎちゃったかなぁ?」
今日は土曜日、勝負の日である、なのでその準備は抜かりなく行わなくてはならない。
作戦内容は以下の通り
・明日が休みという事を利用して、乃華さんをベロンベロンに酔っ払うまで呑ませる。
・乃華さんをしっかりと寝かしつける。
・布団の中で深夜2時まで寝ずに待機。
・乃華さんを起こさないように布団を抜け出し、トイレへ足音がしないように慎重に移動。
・フィーバータイム。
以上だ、現在は乃華さんを酔わせる事には成功している。
後は寝かしつけるだけだが…
「じゃあハナちゃん、そろそろ寝る?」
「んー、ヤダー! まだ寝たくないよーぅ」
「んー? どうしたの? 何かあるの?」
今日は珍しく駄々っ子モードなのか、寝るのを渋る、何か見たい深夜アニメでもあるのだろうか?
「ちがーう! 今日のイッくんは、わたしの扱いがおざなりー!」
「えっ」
ビックリした、今日は確かに夜の事に意識を集中し過ぎて、乃華さんを早く寝かせる事で頭がいっぱいで、相槌も適当になっていたかもしれない。
さらに乃華さんは、俺に縋るように抱きつき、目元に少し涙を浮かべて訴えてきた。
「今日だけじゃなくて最近はなんか、わたしとの間に距離を置いてる感じがして、さみしいよーぅ
うぅ…ぐすっ」
なんて事だ、俺は自分の事しか考えず、乃華さんの気持ちを、これっぽっちも知ろうとしていなかった。
少し考えれば直ぐに分かったはずだ、ここは平行世界といっても、乃華さんは俺となんら変わる事のないただの人、好きな人と逢えなければ寂しいのは当たり前だ。
俺はやっと自覚した、今まで何やかんや言って考えないようにしていた、年齢が、自立が、などと言って目を背けてきた。
そうだ、俺はこの年上なのに危なっかしく、子どもっぽくて可愛らしい乃華さん…いや、ハナちゃんが大好きなのだ。
乃華さんをぎゅっと抱き締めると、今まで寂しい思いをさせてゴメンと、大好きだよの気持ちを込めて、頭を撫でた。
「今までゴメンね、寂しい思いをさせて…(ヨシヨシ」
「うー、さみしかったよーぅ(すぅはぁ…すぅはぁ…
最近あんまりイッくんと触れ合えなかったしぃ(はむはむ」
ハナちゃんは、俺の胸に顔をうずめて、頬ずりするように頭を動かしていたかと思うと、だんだんと息が荒くなり始めた。
「はあぁ~、久しぶりのイッくんの匂い~(クンクン
イッくんの感触ぅ~(モミモミ」
無意識なのか、お尻に回した左手を仕切りにグニグニと動かしている、最初はさする程度だったのだが、今ではイヤラしく揉みほぐすように手を動かしている。
「ハッ、ハナちゃん? なんだか手の動きがオカシイような…」
「イッく~ん、全身でイッくんを感じるのだぁー(ムニムニ
あふぅ…はうっ…うぅん…今日こそイッくんで…(グリグリ」
ハナちゃんには聞こえておらず、だんだんとその行動はエスカレートして行く。
手で揉むだけでは飽き足らず、股間を俺の膝の上に乗せ、身体を揺すっている。
彼女に寂しい思いをさせてしまった罪悪感などで、今まで思考が逸れていたが、ノーブラパジャマの柔らかい身体に密着され、その身体から香る女性特有の甘い匂いに脳が浸され、目の前には可愛い女性が顔を赤らめ潤んだ瞳でこちらを見つめている。
最早、俺の我慢も限界だった。
ハナちゃんを抱き締めたまま後ろに倒れる、ハナちゃんに押し倒される形になると、彼女の耳元で囁いた。
「ハナちゃんがワルイんだからな、お仕置きだ」
「ふぇぁ?」
俺は、ハナちゃんを乗せた膝を小刻みに震わせる、どうやらソコへの刺激がお気に入りのようだから、満足するまで与えてあげよう。
「ひゃん! あっ、あっふうぅん、んっ、んーっ、んあぁん」
「どう? どんな感じ?」
「わかんにゃいよぅ~、ナニコレ、ナニコレ、にゃにこれぇ!
なんかきちゃう! なんかきちゃう! なんかきちゃ――ッ!!」
◆
ハナちゃんを布団に寝かせると、そのまま俺はトイレにこもった。
そう、まだ俺は捨てられてはいない、何故ならナニかがきてしまったハナちゃんは、そのまま気絶してしまったからだ。
だが俺はこれで良かったと思っている、トイレでスッキリし、ひと仕事終えたかのような顔になった俺は、穏やかな心で布団へ入った。
◆
小鳥さえずりと、眩しい太陽の光が俺の眠りを妨げる。
容赦なく降ってくる太陽光から、逃げるように寝返りを打つと、優しい眼差しと目が合った。
彼女は、寄り添うように俺の横に寝て、頬杖をついてこちらを慈しむように見ている。
俺の言う言葉は決まっている、昨日から起きたら必ず言おうと決めていた。
「おはようハナちゃん、大好きだよ」
俺も上半身だけを起こし、彼女の唇にキスをする。
あまりの恥ずかしさに、逃げるように布団を被って丸まってしまう。
「い! いいいいいい! 今のって! 今のってーっ!
もう一回! お願い! もう一回イッくん!」
そんな俺を、数秒たってやっと再起動したハナちゃんが、激しく揺すり始める。
ニヤける顔を布団で隠し、俺はもう少しこの幸せを噛みしめる事にする。




