常連客 カオリさん
やって来たのはスーツ姿の女性、キャリアウーマンといった感じだが、表情がどこか疲れて見える。
「おっと! カオリンいらっしゃーい! 今日もやつれとるなー」
「うっさいわね、あんたが能天気過ぎるだけよ! マスターいつものー」
「…」
「所で、この子新人さん? どっから連れて来たの? ダメでしょこんな若い子騙しちゃ」
どうやら常連さんのようだ、名前はカオリさん、この近くのビルで働き、帰りによく立ち寄るらしい。
「騙すやなんて人聞きが悪い、コトコンが連れて来てくれたんやで! ついにウチも若い子に慕われるようになった証や!」
「へー、狐兎子ちゃんが、まぁコイツの妄想は置いといて、このアホにセクハラされたら私に言うんだよ」
「アハハッ、大丈夫ですよ、今日だって丁寧に教えていただきましたし、カオリさんやスズミン先輩にされるセクハラだったら大歓迎なくらいですから」
「え! ホンマに!」
「え! ホントに!」
「ええ、本当ですよ」
「ほ、ほなら腕とか触っても、怒らへんか?」
「はい、どうぞ」
「おおー! 若い子の腕…(モミモミ)ええなぁ、腕枕とかして欲しいなー」
「いつまで揉んでんのよ! あんたばっかりズルいでしょ! い、五久くん、良かったら私と握手してくれないかな?」
「もちろん良いですよ」
「ああ…(ニギニギ)男子高校生の手、温かい」
とても喜んでくれている様子なので、握手している手を両手で包み込んでみると、ビックリしつつも嬉しそうだ。
「それにしても、お二人とも本当に仲が良いですよね、息ピッタリ合っていましたし」
「まぁ、中学校からの腐れ縁やからな、それはええんやけど、どうなん? 正直、ウチとカオリン、どっちが好みなん?」
スズミン先輩が、俺とカオリさんの間に割り込み、握手を強制終了させながら聞いてくる。
「なに言ってんのよ! そんな事聞かれても五久くんが困るだけでしょ!」
「まぁ、もちろんウチやろうけど、ウチの方が胸も大きいし、スタイルもええからなー」
「なんですってー! あんたのそんな垂れチチより、私の方がハリがあって綺麗な形してるし、スタイルだってビールっ腹のあんたなんか比べものにならないわよ!」
「よっしゃ! 言うたな! せやったらイツクンに触って判定してもらおうやないか!」
「望むところよ! さあ五久くん、コッチへおいで…この部分をつかむのよ、ホラ…
そっ、そう! 優しく揉んで、感触を確かめるのよ…」
「せ、せやったらウチのも反対の手ぇで…はぅぅ、若い男の子ーに揉まれとるぅ
なんやぁ、これ夢なんかなぁ…」
しばらく揉んだり擦ったりしていると、カオリさんがハッと我に返る。
「それでどうだった!? 私の方がハリがあって引き締まってたでしょ?」
「ウチの方が、柔らかくて触り心地良かったやろ?」
「そんな勝負じゃなかったでしょ!」
「アハハ、俺はどちらのお腹も好きですよ、女性特有の柔らかさで、良い揉み心地でした」
「イツクンはズルいなぁ、こういう子ーを魔性の男っちゅうんやろうな」
「じゃー今度は脚ねー、ホラホラ、私の太ももの触り心地はどうかなぁ?」
「ってコラ! アンタは人の話しを聞きーや!」
「うっさいわね、私と五久くんの時間を邪魔しないでくれる! 二人っきりで愉しんでるんだから!」
「なんやて! ウチだって愉しみたいんや! 独り占めはズルいぞ!」
「アンタは一緒に働いてるんだから、今日ぐらい私に譲ってくれても良いでしょー!」
「それを言われると、弱いけども! 仲間はずれは寂しいやろ!」
その後、わー、わーと別のお客様が来店するまで、大騒ぎを続けた。
カオリさんには気に入られたようで「また五久くんに会いにくるわね♪」と、投げキッスをしながら帰っていった。
初めてのバイトであるが、楽しく続けられそうで良かった。




