迷い込んだ非日常
男女比に差が無いあべこべも、増えたら良いなと思っています。
「あれっ? 見たことない所に出たぞ」
それは何でもない日常の一コマ、特に何があったという訳でもなく、ただふらっと、いつもとは違う道を歩いてみたかっただけだった。
「おかしいな、ここら辺にスーパーがあるハズなんだが…」
少し脇道に逸れただけ、だと言うのに、細い裏路地を抜けた先に見えたのは見慣れない風景。
在るべき建物は無く、あるハズの無い建物が建っている、言い知れぬ違和感。
「ひとまず元の道に戻ろう」
迷った、こう言う時は一度知ってる道まで戻る方が手っ取り早いと、元来た道を戻って行く。
「そんなバカな…」
迷った。
今度は、完膚無きまでに迷った。
戻れど戻れど見知った道は見えて来ず、行けども行けども深みにはまるばかり。
迷ったと感じた時点で、スマホの地図アプリを起動しているが、エラーばかりで現在位置の取得は疎か、周辺の地図すら表示出来ていない。
「ああ…まさかちょっとした冒険がこんな惨事になるなんて…」
「あっ、あの! 大丈夫ですか?」
1時間近くさまよい歩き、精神的、肉体的にもダレてきた俺が、愚痴を吐きながら上を向き佇んでいると、耳に心地の良い声が聞こえてきた。
声の可愛さと、やっと人に会えたという嬉しさから、素早く顔を向けると、そこには天使が居た。
顔は、絶世の美女という訳では無く、声に似合っている素朴で可愛い系。
服装は若奥さんと言った風情、色はピンクと白でとても良く似合っている。
身長は155㎝有るか無いかで、体型は中肉中背だが一部自己主張が激しい、DいやE位はあるんじゃないだろうか、ニットのセーターが良い仕事をしている。
「あっ、その、迷っちゃったみたいで、道教えて貰ってもいいですか?」
「はいっ、良いですよ♪」
本当に道が知りたい半分、下心半分で聞いてみると、とても良い笑顔で応えてくれる、それだけで今日という一日が報われた気になる。
「実は私、市役所に勤めているので、この辺りの地理には詳しいんですよ!」
笑顔で腰に手を当て「だから、任せて下さい!」と彼女は胸を張って宣言してくれた。
…とても有り難い事です。
「それは凄い! 頼もしいですね! 住所は〇〇町〇丁目〇番地です!」
「も~冗談ばっかり! ここら辺に〇〇町なんてありませんよ♪」
「え?」
「え?」
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