クロンボ殺人事件
「ポンポポポンポーン」
チョンは中をポンした。
パーン
「誰だ、ポンをしたのは」
チョンはキムチを食べながら言った。
ざわ…ざわ…
「うぎゃー!ギャース!」
チョンが隣のテーブルを見ると、身障者が銃で撃たれわめいていた。
しかし、それはジョンのモノマネだった。
「え?俺?」
チョンの首が飛んだ。ジョンはチョンの首をナイスキャッチした。場内からは拍手が溢れる。
「一体、誰がこんなことを…」
ジョンは突然の出来事に混乱している演技をしたが、とりあえず汚いのでチョンの首を投げ捨てた。するとチョンの首は一瞬で白いハトになり、会場はおおいに盛り上がったがジョンは心が逆に冷めていくのを感じた。
「天皇陛下万歳!」
ジョンはそう叫ぶと、眠っていた愛国心が目覚め、今度は異様なハイテンションになった。
「マンコ、おマンコ、孫マンコ!」
狂ったように叫び散らすパフォーマンスに、会場は思いっきりひいてしまった。
ジョンは自分の無力さを痛感した。
こいつらは何もわかっちゃいない。
「お前らは人ではない。血肉が詰まった単なる皮袋だよ」
これにはさすがに観客からブーイングが起こった。
とたんにジョンは眠そうな顔になった。
「二ョーン」
ジョンは渾身の一発ギャグを決めたのだが、一度盛り下がったきゃくは見向きもしない。ロスのお笑い好きは厳しいのだ。
「ありがとうございました。ジョン&チョンでした」
司会者はだるそうに仕切り、強制終了した。ジョンは安もののダッチワイフで作ったチョン型ロボットを片付け、会場を後にした。
「オレには芸人の才能がないんだろうか」
ジョンは道端でうなだれていると、明らかに芸能プロデューサーといった風貌の男が近づいて話しかけてきた。
「いやぁ、なかなかだったね」
「失せろ、カスが」
ジョンは取り付くしまもなかった。
「まあ、そんなこと言わず一つ見せてくれないか。俺はあのネタが大好きなんだ。天下一武闘会でいいようにやられるヤムチャのモノマネが。」
ジョンは具体的にネタのことを言われると嬉しくなってついやりたくなった。ジョンの躁鬱が激しいのはクスリのせいでもあるのだが。
「足元がお留守になってますよ」
ジョンはそう言いながら足を蹴った。別に面白くも何ともなかったのだが、プロデューサー風の男は、うざいほど大笑いした。
調子に乗って来たジョンは男の首を飛ばし、それをハトにした。実はこの手のマジックは、ジャケットとの内ポケットにあらかじめハトを入れておき、それを瞬時に取り出す単純なものである。しかし首はそうはいかない。
「やべ、人形じゃなかった」
ジョンはとっさに持っていた聖教新聞を置き、創価学会のしわざに見せかけた。念のために死体の顔面には『次の選挙は公明党へ』とマジックで書いた。
「よし、完璧だな」
ジョンはチョンの首なし死体人形をおぶりながら帰路に着いた。チョンは小柄の割に幅があったので、ジョンは何度それを放置しようとかと思った。しかしチョンが作ってくれたキムチの味を思い出し、ジョンは苦笑した。
・・・・・・その時、東の空が光った。
「UFOだ!」
車に乗っているクロンボが叫んだが、クロンボの大半はキチガイだという妄信が幼少の頃より培われていたジョンは、心の中で死ねと思った。しかし、UFOはジョンの目の前で泊まった。UFOから顔をだした宇宙人は明らかにチョン顔であった。
それもそのはず、よく見るとUFOには韓国旗が貼ってあった。
「復讐や。チョン民族達の復讐やー!」
慌てふためくクロンボ達をみながら、ジョンはまたしても気分がしらけていくのを感じた。いっそその黒い皮を全部ひんむいてやろうかと思ったが、とりあえずは目の前の非現実的な光景と対峙することにした。
「ヘイ、ユー!」
ジョンはチョン星人を指差して威嚇した。
「こんばんは」
次の瞬間、三つ指をついてあいさつをした。寒いとはわかっていたが、チョン相手なので十分笑いを取れるだろうと判断したのだ。しかしチョン星人はノーリアクチョンであった(笑)。
「チョンだと思って下手にでてりゃ調子に乗りやがって」
ジョンはくわえていたタバコを星人の額に押し付けた。
「チョン!チョン!」
チョン星人は目一杯熱がった。
「辞んめて!辞んめて!」
チョン星人は横山弁護士のモノマネをしたが、いかんせん時代が悪かった。しょせんチョンなので時代を読む力に欠けるし、彼は知恵遅れでもある。ここでジョンはUFOから異臭がすることに気づいた。ワキガの人間にそれを指摘するのははばかれるように、ジョンはとても心優しい性格のクロンボなのだが、ここは思い切って言ってしまうことにした。
「あの、ちょっとUFOがキムチ臭いんですけど」
チョン星人は顔を真っ赤にさせてカバンから憲法改正反対のプラカードを出した。
「今の発言は憲法第9条に反する発言だシムニダ!謝罪と賠償を要求するニダ!」
周りの群集は一斉に馬鹿チョンカメラのフラッシュを焚いた。ジョンはパニックになり、君が代を斉唱したが間違って清志郎のパンク君が代を歌ってしまった。ジョンは慌てて謝罪した。
「今の発言は国益に反する。改めて遺憾の意を表明する」
戦後の事なかれ主義を象徴するこの発言には非常に大きな意味があったのだが、説明するのは面倒なのでジョンはウンコを漏らしてウンコを拭いた。
その時、ジョンの体に薬による禁断症状が現れた。ジョンは吐き捨てた。
「タクシーとミクシーって似てるよね?ヘイ!ミクシー」
通りすがったタクシー運転手はジョンが麻薬中毒であることを瞬時に見抜いた。なぜならば、タクシー運転手の斉藤は麻薬Gメンの傍ら、副業でタクシー運転手をしている、生粋のワーカホリックなのである。しかも自身も麻薬中毒である。斉藤はジョンをタクシーに乗せた。
「お客さん、どこまで?」
「・・・・・・代々木」
了解。斉藤はそうぶっきらぼうに返答すると、手元の無線機を手にとった。こちら斉藤、本部どうぞ。
無線機から本部のムスカ大佐の声が聞こえてきた。
「3分間待ってやる」
斉藤はお決まりのギャグに辟易していたし、ヤク中なのでうざったくなりムスカをシカトした。
「で、代々木の何処まで?」
「・・・・・・代々木ゼミナール」
「え?」
「代ゼミだよ!馬鹿野郎!!」
斉藤はニッコリ微笑み叫んだ
「微笑三太郎!」
斉藤は頭がおかしいのだ。
ジョンは舌打ちをしつつ、窓の外に目をやった。
今頃チョンはどうしているだろうか。無数のハトとなり飛んでいったチョンの首が脳裏に浮かぶ。あれがハトではなくサバか何かだったらきっととんでもないことになっていただろう。ジョンは思わず苦笑した。
「なに笑ってやがんだこの野郎!」
斉藤はついキレてしまったが、このままでは上司に怒られるのは目に見えているので速攻で謝罪した。
「ごめんちゃいちゃいチャイニーズ!」
ここまで馬鹿にされては普段は温厚なジョンも黙ってはいられなかった。左のポケットに入っていたサリンガスで斉藤を毒殺することにした。
「おい運ちゃん、知ってっか?」
「なんでござんしょ?ウヒヒヒヒヒヒ」
「ウグイスの鳴き声は前半のホーの部分は実は空気を吸い込む時の音なんだ。だから実際の鳴き声はホケキョの部分だけだ」
「ある意味がっかりですね」
「俺がホーって言うから、お前ホケキョって言え」
「ういーす、わかりやしたあ」
実はこの時、斉藤はかすかに漏れるサリンガスの臭いを感じ取り、ジョンの殺意を見抜いていた。一方ジョンは斉藤がホケキョと言った瞬間に毒殺したら面白いかな、と思っていた。
「じゃあ行くぞ。ホー」
その刹那、ジョンはサリンガスを斉藤の口元に持っていった。しかし斉藤はケロリとしておられる。
「俺はこの臭いが大好きでね、チンコがビンビンになるんですよ。教師びんびん物語!」
斉藤は頭がおかしいのだ。
ジョンはなんとか誤魔化そうとした。
「スモークチーズはあるかい?」
ジョンは無類のスモークチーズ好きだった。
「あ、ありますよ!それくらい。あんまり舐めないでくださいよ」
瞬間、ジョンは勝利を確信した。
「いいのかい?俺のスモチの一週間の消費量はハンパじゃないぜ?」
これはまずい、と斉藤は直感し、舌を噛み切り自殺した。
タクシーは時速60キロのまま、住宅の塀に激突した。ジョンは突然の出来事に一瞬驚いたが、とっさに共産党の仕業に見せかけるためにタクシーに赤旗新聞を置き、斉藤の額に赤ペンでマルクスと書いて逃走した。
その時だった。ジョンの体は突然現れたサーチライトのような光に照らされた。
「ファッキン!こいつはなんの冗談だ」
光が注ぐ方向を見上げる。そこには案の定UFOがいたわけだが、ジョンは武器らしい武器をもっていなかったので、とりあえずそこに貼ってあったえびちゃんポスターを丸めて構えた。
その時、耳障りな声が響き渡り、何者かの影が地上に降り立った。
「フォフォフォ:」
うんざりしながらジョンはいった。
「またお前か、バルタン」
しかしバルタン星人はジョンの声色で叫んだ。
「いのちをだいじに!」
あまりにそっくりな声色だったため、ジョンは自分が叫んだと勘違いした。そしてバルタン星人とジョンは合体した。ジョンは体内のバルタン星人のエネルギーを噛み締め、健康になった。
バルタン星人Bがあらわれた!
バルタン星人Cがあらわれた!
東幹久があらわれた!
「芸能人は歯が命!」
ジョンはしかたなく
「芸能人はハワイが好き!」
と返してあげたのだが、東幹久はシカトして帰っていった。
あと、バルタン星人の2人はどっちも合体した。
しばらくして、携帯が鳴っていた(ひだまりの詩)ので、ジョンはけだるそうに電話にでた。
「はいもしもし」
「あなたが神か?」
「品川庄司?うざすぎ?何のことです?」
電話の相手の庄司は素直に謝罪した。そして電話を切る瞬間、一言こう言った。
「このチャーハン髪の毛入ってたわよ! しっかりしなさい!」
ジョンは素直に謝罪した。
実際、この電話のくだりはどうでもいいのであった。
さて、突然ジョンは携帯の電話料金が気になった。
携帯の料金体系が気に入らないのは成人男性であれば一般的なことであるが、ヤク中の殺人者でも同様なのではないだろうか。ジョンは一瞬、この世の真理を悟ったような気になった。そう、ジョンは解脱したのである。
ジョンはふところから、伝家の宝刀ウコンの力を取り出した。一本キュッといくと、ジョンのナニはたちまちヒマワリのように開花した。
「今なら・・・・・・今ならきっとあんたを救える」
ジョンは卒倒した。
「大丈夫ですか?」
ジョンが目を覚ますと横にはニキビとソバカスだらけの糞ビッチがいるではないか。
「お前は・・・誰だ」
ジョンはゴルゴ13のマネをしたのだったが糞ビッチはわかっていないようだ。ゴルゴはF1層には滅法弱いのである。
「私の名前はステファニー。みんなはステフって呼ぶわ。この道5年のベテラン立ちんぼよ」
糞ビッチことステフは商売女であった。
待てよ。そういえばこいつ、前見たビデオに出てたな・・・・・・
ジョンは先日買った、ゴキブリを食う女というAVを思い出した。思い出したと同時にやはりゴキブリが食べたくなってきたので、ジョンはゴキブリを揚げているというケンタッキーに向かった。
ステフは無視されてトサカにきたらしく、唐突にジョンの前に立ちふさがり犬神家のポーズをとった。
「今から3の倍数と3のつく数字の時だけアホになります!」
「1!2!すわぁ・・・きゃあ!」
ジョンは左手を腰に当て、隆々と勃起した肉棒を露にした。二週間前に包茎手術をしたばかりなので(医療ミスで亀頭がオレンジになっただけ)見せびらしたかったのだ。
「すわぁん!」
アホになったのではない。頭が狂っているのである。
ジョンはステフの手を握って言った。
「お前はもううちのチームに入ればいいよ」
ジョンのチームは草野球のチームだった。
「どうなの? それってどうなの?」
ジョンのチーム、朝日リストカッターズは実は3人しかいなかった。
「帰れ! 帰れ!」
ジョンのつま先がステフの胸骨をしたたかに打った。ステフは泡を吹いて横になった。気絶する瞬間、ジョンの襟首に手を伸ばしてきた。
「あんた・・・・・・後悔するよ。わたしを誰だと思ってるの」
ステフは戸塚ヨットスクールの生き残りだった。ジョンはステフの額に最高ですか?とマジックで書き、商売女ステフの家を後にした。
「太陽がまぶしいな・・・。太陽がいっぱい」
ジョンは世代ならではのギャグをかますと、腹が減ったので飯を食いに行く事にした。とは言うものの、財布には50セントしかない。1円置くんとちゃいまっせ。ジョンは今ジャパンで話題のビーフライスショップ、MATSUYAへ向かった。X JAPANのTOSHIを洗脳したMASAYAではなく牛丼屋の松屋だ。買えないけど。
「マスター、水」
松屋に入るなり横柄な態度を見せるジョンに、店員は白い目を向けた。ジョンは視線の意味を勘違いして、上着のボタンを外しにかかった。
「おやじ! 寿司だ!」
これ以上無いくらい悩ましげなポーズで怒鳴りつけたジョンだったが、店員はどう見ても自分より年下だった。
「わかってるな。リボルビング・スシ・バーだ」
しかしジョンは全裸になっていた。