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隣人。  作者: MONO
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隣のあの人。



これは、私が浪人生だった頃の話です。


今はもう、何もないのですが。


当時は…それはもう信じられないことが起こったのです。








知ってる?



あるメーカーのPCはね、心が宿っているの。



機械にもね心があるんだ。



だからね、お願い。



その子をこっちに渡して。







目の前に広がるのは見慣れた天井。


掌にはしっとりとした汗。


その二つでわかった。


どうやら僕は、目が覚めたようだ。


時間が気になってアイフォンを手にしてホームボタンをおした。


そこに表示されていたのは午前二時過ぎだった。


眠りについてからまだ二時間しか経っていなかったのだ。


あぁ、またか。


いや、二度目か。


変な夢を見るのはこれで二度目だ。


最初が、たしか、二、三日前だったのは確かではないが、そのくらいの時間でしか経っていないだろう。


大きなため息をつく。


あと一時間寝れたはずだった。


一時間がどれだけ大切な時間なのか、どうやら夢の中の子供は理解してはくれない。


そもそも夢というのは、いや、よそう。


またアレコレと言葉を並べて時間が過ぎてしまう。


そうなる前に自分の好きなことをすることにしようとつい最近決めたばかりじゃないか。


一時間早く起きてはしまったものの、自由時間が一時間早まって効率よくなった。


ボヤッとした視界の中、部屋の電気をつける。


まだ外は暗い。


起きて早速目にしたのは大好きなパソコンだ。


四台はある。


そのせいでコードの量も多くなる。


見た目は汚らしいだろう。


資料は散らばってるし、机に留まらずに床にも散乱している。


僕からしたら整理されているとしか言いようがないが、


他人から見たらきっと、だらしのない人と思うだろう。


いい例が母なのだが…。


浪人という単語を良いように使って家事やらなにやら手伝わせようとしている母は、


僕が高校三年生の頃、東大の受験に落ちたのをきっかけに、若干ヒステリックになった。


どうしても東大に行きたい僕は、早稲田や一橋に行くくらいなら浪人した方がマシだと思ったのだった。


そして浪人生活が始まり、約三ヶ月。


もうすぐ梅雨入りする頃と思われる。


時間は十分経ったと思うのだが、どうしても、母は浪人という息子に納得がいかないのか、


僕の顔を見ては不機嫌な表情をする。


大抵、僕は自分の部屋からあまり出ないので母とは顔を合わす時間が極めて少ない。


時間がたっても、見慣れない現状だってことは母の中だけなのかもしれないが、


良い加減浪人していることに認めて欲しいし、家事だの何だのって云う置き手紙もやめてほしいものだ。


浪人は飽く迄もお手伝いさんとしては存在できないのだ。


そのことも良い加減気づいてほしいものだった。

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