短い時間
小さな猫は、健人の腕の中でぐっすり眠っていて家に着いたがしばらく一緒に布団に入り眠ってしまった。
小さな猫の寝息が聞こえる。一人じゃないんだと安心していた。
『にゃー。にゃー。』健人の顔を小さな猫が舐めていた。健人は、ご飯をあげていなかった事を思い出し起き上がる。
『ごめん。ご飯だよね。持ってくる!』久しぶりに深い眠りについた健人は、寝癖が酷く寝ぼけていた。
小さな猫は、健人から離れようとはせず健人の足にすりついている。
『にゃ。』可愛い鳴き声に慌てる健人。急いで皿に盛り付けた。
『できたぞー。ごめんな。』床に餌の入った皿を置くと健人から離れ餌に飛びついた。小さな猫なのにあっという間になくなってしまった。
『良かった。食欲あって。』小さな猫は、また健人にくっつき離れようとはしなかった。
健人は、小さな猫に救われた。
『なぁ。助けてくれてありがとう。小さな猫のお前に感謝だな。』
健人は、小さな猫を抱っこしてまだ精神的にも辛かったのか布団に横になり涙を流していた。小さな猫は、ご飯を食べてからぐっすり眠ってしまった。
『よく寝てる。俺も小さい時捨てられたんだよ。母さんは、精神的にも肉体的にも弱くなってさ今は一緒に住んでないんだ。だから、お前と出会えて一人じゃなくなったよ。』小さな猫の頭を撫でながら感謝をした。
寝息を聞きながら、また眠りについた。
喉がカラカラに乾いていて、咳が止まらず起きてしまった。
『あれ…。猫は。』起きた健人の近くに小さな猫の姿がなかった。お腹がすいて何か探しに行ったのかと思った。
『猫。どこだ?』部屋にはいない。キッチンにもいなかった。玄関の方へ行くとそこには小さな猫が倒れていた。
『ね猫…。』猫に近づき、猫を抱き寄せた。健人の少し腫れた目にまた涙がこぼれた。
小さな猫は、動くことはなかった。
涙が溢れて、言葉もでない。
ずっと猫を抱きしめ、健人も動けなくなっていた。
猫といた時間を思い出すと涙が止まらなくなった。健人の心がまた崩れていった。




