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 序章(プロローグ)

流れる噂に興味を持ち、段々、真相を知りたいという心情が増す女子高生3人。恐怖への好奇心の末に待ち構えるものとは?

                        序章プロローグ

 ある7月後半の放課後。暑い空間の陽炎の中を突き抜けるように私の耳へ聴こえるトランペットの音色。勢いづく喧噪。そういえば、少し前から生徒たちの間では、真偽の分からない噂話が流れている。元々この学校にはそういう噂話が多いことは、既に知っていた。しかし、その真相なんて、誰も突き止めようとはしない。何故なら、恐怖を恐れているから_______


                          *

 私には中学生の頃からの親友がいる。運よく2年、3年と、同じクラスに在籍している。

 ある日、私が図書室に居ると、その私の親友である麻柚子がやって来た。その後ろには、見覚えのある顔が居た。

「麻柚子、そいつはもしかして。」

「そう。覚えてる?」

そう。私は、はっきりと覚えている。このおてんば娘を。こいつは中学校の後輩で同じ部活だった。いいやつなんだけども、明るく活発過ぎてついていけない。そして何より噂話が大好きなのだ。独自のルートで噂話を仕入れては、ぐいぐいと深く情報を集める。とはいえ、ある意味口は堅い。自分の中で必要性が無いと判断されれば絶対に話さない。それが、藍由。


 「で、そいつを連れてきて、どうしたの?」

私が麻柚子に訊く。

「えっと、知ってると思うけど、藍由ちゃん、噂話大好きじゃん。」

麻柚子が話しているところに割り込む奴若干1名。

「麻柚子せんぱ~い。ちょっとそういう言い方ひどくないです?」

「うるさい。」

私がぼやくと黙る奴若干1名。

「・・・、それでね、最近流れてる噂の真相を知りたいらしくて。」

「何?自分でやればいいじゃん?同級生誘えば?」

私は呆れた口調で言い放つ。

「でも~、うちの代でこの学校来たのは私だけですし~。まだあんまり友達居なくて~」

「おいおい、この学校は中高一貫校ですけどー?」

すると、入り口から1年生2人が入ってきてこちらに寄ってくる。

「藍由~、課題一緒にやろ~」

すると、おてんば娘は、

「ごめん。後でね。」

と1年生2人に言い、退散させた。

「あれ~?お友達は居ないんじゃなかった?」

「それは・・・っと・・・。まっ、いいじゃないですか。こんなことを頼めるのは先輩たちくらいしか居ないですし~。」

「いや、まだ何も頼んでないよ。」

麻柚子が久しぶりに口を開く。地味ながら的確なツッコミ。取り敢えず、話を聞くことした。 「で、今回の噂話は何?」

「はいっ。よくぞ聞いて下さいました!亜深先輩。実はですね、この前、石碑の前で写真を撮った同級生が、まさかまさかの心霊写真を撮っちゃったみたいなんです。」

藍由が言った。

「そんなのよくある話だと思わない?現像中によくあるやつだよ。ね?」

麻柚子が言う。

「そうだね。第一そう簡単に写るものなのかって話。」

「実物を見てから言ってくださいよ。」

藍由がスマホをいじってから、自信満々にスマホの画面を私たちに突きつける。

「どうですか。これはまさに、ですよ~。」

そこに映し出されたのは信じられない画像だった。悪戯とは言えない、《恐怖感》が支配していた。画像を見た麻柚子が言った。

「これ、どこ?」

藍由が得意気に言う。

「あそこですよ~。中等部と高等部の校舎の間にある。」

「ああ、何かあったね。でも何の石碑なんだろう。」

麻柚子が言う。

「何か、聞いた話だと、昔ここで戦争中に亡くなった人の為に建てられた慰霊碑らしいですよ。」

成る程。道理で黒混じりの赤い靄が沢山写っている訳だ。そういえば、夏休みの頭ぐらいに中等部から、ちょっとした噂が流れてきた。中等部の吹奏楽部員と保健体育科の教師が、戦争で亡くなった女の子の霊に襲われたという話だ。詳しい話は当人達と中等部校長しか知らない様だが。

「そうか・・・。」

私の呟きに即座に反応する藍由。

「そうだ。夏休み前の終業式で高等部の校長が、今年は戦後70年だからどうとかって言ってましたよね。それに、中等部の校長もどうとかって。」

「確かに言ってたね。」

と麻柚子。しかし藍由もこんなに真剣な表情をするのかと少し驚いた。

そして私は2人に言った。

「つまり、あの噂は本当だったんだ。中等部の生徒が霊に襲われたっていう噂。だったら、その写真も・・・」

私たち3人の中の空気が一瞬停滞したようにも思えた。

「・・・。まさか。でも・・・」

麻柚子がいう。

「あ~、気になってきた。先輩、調べましょ?」

私は、麻柚子と一緒に藍由に付き合うことにした。

                   

 

この作品は、スパイク社及びヒューマン社より発売されたゲーム、「トワイライト・シンドローム」にインスピレーションを受け創作しています。

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