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「それじゃ、今日はこの他は連絡はなしだ。ちなみに、一時間目は特別に自習にしてやった。横山と親睦を深めてくれ。それじゃ、号令」
「起立!気をつけ!礼」
このクラスの学級委員長が号令をしてホームルームが終わった。
ホームルームが終わると、クラスの連中が一斉に俺の隣の席に群がった。
無論、みうさんが目当てだろう。
「ねぇねぇ。みうさんは何処からきたの?」
「綺麗な髪だね。何かケアとかしてるの?」
「彼氏はいるの?」
「是非、スリーサイズを!!」
クラスメートがみうさんを、質問攻めにする。常識的に考えてこれは迷惑すぎるだろ。
あと、自習なんだから勉強させろ。
「私は、カナダからやって来ました。昔は日本に住んでたんですけど、小学校のころにカナダへ引っ越して、また戻ってきたんです」
「へぇ、すごいねぇ」
「髪とかは特にケアはしていません。普通にシャンプーとリンスだけです」
「嘘、マジで。いいなぁ」
「彼氏はいません」
「そうなんだ。でもみうちゃん、絶対モテるって!」
「スリーサイズは、すみません。それは教えることができませんので」
「うぉぉぉぉ。それでも、俺は平気ッスよ」
律儀にみうさんは、一つ一つ丁寧に質問に答えていった。
「おいおい、輝也、結構な美人さんじゃねぇの?」
「俊、お前いつの間に・・・」
「まぁまぁ、細かいことは気にするなよ。それに見たところお前と同じ真面目タイプだぜ。これは気が合うんじゃねぇのか?」
「そ、そうなのか?」
しばらく立つと、皆は質問し尽くしたのか、みうさんから離れていった。
「ふぅ~」
「お疲れさん」
「あ! ありがとうございます。えっと、確か真面目さんでしたっけ?」
「いや、それは先生が勝手に付けたあだ名。俺は、一ノ瀬輝也だ。よろしく」
「はい、こちらこそよろしくお願いします」
みうさんと、挨拶を住ますと俺はすぐに、ノートに目を戻した。
それを横から、みうさんが見ていた。
「予習ですか?」
「ん? まぁ折角の自習だしな。やれるところはやちゃったほうがいいと思ってな」
「なるほど、それで真面目さんですか」
「え? 何か言った?」
「いえ、何も・・・」
その後は、何も会話を交わさずに授業が終わった。