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六月十日午後 晴れオンナ

閲覧された方どうもありがとうございます。

ギリギリR-15で書いてます。ご注意を。

「…一応の確認事項みたいにはなりますが…今のあなたの身体は完全な女の子です。遺伝子レベルでなにからなにまでが作り替えられているような…そういった感じです。これが一番わかりやすい言い方でしょう」


「まぁ、なんとなくはわかります」


「それでですね、身体の機能は女性として作用するように脳からの分泌物なども若干変化しているようです。まぁわかりやすいところでいいますといわゆる女性ホルモンが男性の持っている量のそれではあり得ないということです」


「男性にも女性ホルモンってあるんですか?」


「えぇ。むしろ私としてはそれがこの症状の原因の一つではないかと考えてはいるんですが…まぁ、現段階ではなんとも…話の続きになりますが、女性ホルモンといえばどんな働きをすると思います?」


「え?それは…身体つきが女っぽくなるようにするとか?肌がつるつるになるとか…そういうのだと…」


「まぁ普通に考えればそういうのもありますね。ですが、女性にしか起きない働きの代表的なものがあるじゃないですか」


「…えっと、なんですか?」


「…月経ですよ」










「へぇ…ここで着替えてたんだぁ」


少しだけホコリっぽい個室。いろんなものがつまれていて窮屈だけど、人間二人、それに女の子なら十分に着替えをするぐらいのスペースならある。


でも狭いのには変わりなくて、ここに入ってからずっと愛の肩があたっている。


「うん、先生ももうちょい広いとこを探してくれてもよかったのになぁ」


「そういうとこは大概部室とかに使われちゃうから無理なんだろうけどね」


「そっか…」


こっちに顔だけを向けて微笑む愛。近いから表情がよくわかる。きれいな…可愛い顔だ。ドキドキする。


男と女が狭い個室で二人きり。こんな危ないシチュエーションなのにどうして今の俺は女の子なんだろう!もったいない!いや、別に愛になにかしようってわけじゃないけどさ。


「そういや、高杉くんって部活入ってないよね?うちの学校結構部活動は盛んなのに」


「あ、うん。やっぱ病気の所為で決めかねててさ…運動部とかはやっぱり不都合が多そうだから入るなら多分文化系の部活になると思うけど」


それでも払拭しきれない不安は残っちゃうからやっぱり入ろうとは思わないけどな。


「ふーん…ものめずらしさとかで勧誘するような人はいなかったんだね。私が先輩なら絶対に引き抜くけどなぁ」


「確かに愛ならやりそうだね」


「うん。それにこんな可愛い娘を放っておけるわけないしね」


そうやってまた可愛いって言う。もしかして口癖なのかな?回数が増えると照れる気もしなくなるや。


「さて!雑談もここまでにしますか!早く着替えないと授業遅れちゃうからね」


「あ、う、うん…そうだ…ね」


「よいしょっと」


っていきなりセーラー服のファスナーを開けだした!?えっ、まだ目隠ししてないって!


「なんで背中向けようとするの?」


「いや、だって…」


「恥ずかしがってる場合じゃないでしょ?高杉くんは私が着替えるとこを見てちゃんとどう着替えるか研究しなくちゃ!」


えっ!手伝うってそういう意味だったの?でも女の子の着替えを見るなんて…それに下着姿になるとかじゃないし…真っ裸を見るってことだよね?


「…愛は恥ずかしくないの?」


「えー?女の子同士だよ?恥ずかしがるわけないじゃん」


「でも、俺は元は男だよ?」


「…?」


天然…なのかな?


「言いたいことがよくわかんないけど、まぁ高杉くんは可愛いから裸ぐらい見せても大丈夫かなと思うよ。そういうことで…」


と言い放って一気にセーラー服を脱ぎだす!そして愛の白い肌が目の前にさらされる。ブラジャーに隠された谷間さえない控えめな胸ももちろん見えてしまう。それにしても腕細いなぁ…うらやましい。


「んしょ」


スカートを脱ぎはじめる愛。普段紺色の布地の下に隠されているそれが今はだいたんにもさらされている。というか下着も結構かわいいの付けてるんだ。


さらにブラジャーを外す愛。とっさにまた視線を外してしまう。

そうだ、別に脱ぐとこは見なくても大丈夫じゃないか。


「…んっ…しょっ」


多分パンツを跨ぐ声だろう。いちいち声を出す辺りが愛らしくてかわいいと思う。ただ今はまったく見れないけど。


「んー!脱いだらすっきりだね!」


「は、恥ずかしいこと言うなよ」


「こらこら目を逸らさない!」


「だ、だって…愛はいいかもしれないけど俺としてはやっぱり…罪悪感みたいのが…」


「なに言ってるの?自分の裸は見たことあるでしょ?別にそんなのたいして変わらないって!もう、男らしくないなぁ…普通男なら見たがるものじゃないの?」


愛は俺を男にしたいのか女にしたいのかはっきりしてほしい。…でも、男らしくないって言われるのは気に食わない!


「あとで後悔しても知らないからな!」


見ちゃった…うっ、ヤバイだめだ!自分が犯罪者になったような気分になる!


でも…うん、綺麗だなぁ…


「…」


「黙らないでよ。ねぇ?どう思う?」


「えっ?」


なんでそんなこと聞くの!?今は理性を保つので所為いっぱいなのに!


「き、綺麗だと思うよ…」


「ホント?ホントにホント?」


「うん…も、もういいだろ!!」


「へへ…高杉くんに綺麗っていってもらえたぁ」


どきっとした。反則!!…あれ?愛の顔がちょっと赤いような…気のせいか。


「と、とにかく…早く着替えなよ」


「…ねぇ?一緒に着替えていく方が早くないかな?私がお手本で高杉くんが見ながら着る。そんな感じでね」


「えっ?つまり、今から脱げと?」


「そうだよ、というかどのみち脱がないといけないんだから」


「う、うん…まぁ、そうだね。…脱ぐときはあっち向いててよ」


「嫌。どうせ見るんだから全部見せておかないとだめじゃん」


「うっ…わかったよ!いいよ!見ればいいじゃないか!」


潔く脱いでやりますよ!もうこうなったらやけだ!勢いで突き進むしかない!


「結局普段そんな下着履いてたんだね…やっぱりかわいいヤツじゃん!」


なんにも聞かない!恥ずかしいけど我慢だ!下着を脱いで最後だ!


「…へぇー」


「な、なにがへぇなの?」


「かわいい体型だよね」


「なっ!」


これは失礼なと言うべき?いや、どうでもいいことだ。…やっぱり赤い気がする。いや、さらに赤くなったような?


「愛…本当は恥ずかしいんじゃない?」


「顔真っ赤な高杉くんに言われてもなぁー」


はぐらかされた。


「ふんっ…私の方がおっきいね」


「見せ付けんなよ!」


きっと照れ隠しなのかも。さすがにないかな?


「悔しい?悔しい?」


「に、似たようなもんだろ!」


「そう思うんなら触って比べればいいじゃん」


「ぶっ!な、ななな何を言いだすんだよ!」


「冗談だよ!別にいいけど。ま、とにかく無駄に時間とっちゃったから早く着替えるよ」


…それは遠回しに俺の所為と言ってるんだよな?愛がややこしい状況にしたくせに。本当になにを考えてるんだか…


ん?ってかお手本になるって言ってたってことは…


「じゃじゃーん!これが私の水着だよ!」


「す、スクール水着だったんだ」


「ね、だからお揃い!」


「まぁ、学校販売のヤツだからそうなるよ」

もっとも俺のはもらったものだけど。一種の保障みたいな?セーラー服もそれ。


「それじゃ見ててよね!」


「う、うん…」


まず…両足を水着にいれてる。そして一気に股の…ところまで引き上げる…見てはいけないとこをちょっと見てしまった。


「はい、ここまで!」


「…」


「どうしたの?」


「いや、なんでもない」


俺も同じように…


やっぱり愛がじろじろと見てくる。変にニヤニヤした表情にはどんな意味があるんだろう。


ってかなんで男の俺の方が恥ずかしがらなくちゃいけないんだ?


「出来た?まぁ、普通にすればできるよね?んじゃ次行くよ…」










「遅れました」


二人で先生に一言。先生はさっさと準備体操をしろと一言だけ言った。どうやら初日だから自由みたいだ。


着替えていて俺は思ったことがある。着替え方がまったくイメージ通りだったということ。つまり一人でも全然着られたんじゃないかってこと!


強いていうなら最後に肩紐はちゃんと調節したほうがいいよ、とか言われたことぐらいだ!あと、股のとこはちょくちょく気にしてたほうがいいよとか、大事な部分にはサポーターを付けておくんだよとか。全部口伝えで十分だったような…


まぁ過ぎ去ったことは仕方ないから…愛の裸が見れたのをよかった、ということにでもしておこう。実際は自分も見られたからプラマイゼロだけどね。


よく考えたらこの身体の裸を他人に見せたのはじめてだ。思い出せば出すほど恥ずかしい!


「ねえ、もういいんじゃない?準備体操」


「あ、うん」


「んじゃ、一緒に入ろっか!」


「うん…」


全部で7レーンあって、第4レーンが本気で泳ぎたい人用っぽくて、そこからコースロープで男女を左右にわけてるみたいだけど。


愛が手を引くものの…愛、そっちは完全に女子のテリトリーですよ?


「それっ!」


「うわっ!」


ざばーんという効果音が正しいと思う。思いっきり手を引かれ水にダイブ!というかこのプール足つかない!


「あばっぶっ」


「泳げないの?」


「違うっ!勝手が違うだけだ!」


よし、慣れてきた…でも結構深い。プール側面には1.5メートルと書いてある。あ、頭まで浸かるじゃん…ほとんどの女子がこれは危険だよ。


と、思ったけど…あれ?見学の人が多いみたいだ。入ってる人たちは半分くらいかな?その中でスクール水着がさらに三分の一ぐらい。


「どうしたの?」


「あ、うん…なんか女子って見学多いね」


「そりゃ男子に肌を見せたくないからね。日焼けが嫌ってのもあると思うけど。女の子には必殺技があるからね」


「必殺技?」


「中学の時にプールがなかったなら知らないかもね…ほら、女の子の日ってあるでしょ?そう一言言って休むんだよ」


「へぇ…」


でも俺には使えないよな。まだ…まだだから。来て欲しくもないけど。


…そういやあいつはどこ?ロープより向こうの男子区域には元気のいい奴らがわんさかといるけど…見当たらないな。


いや、その中で水にも入らずプールサイドに座っている。男を発見!やつだ!


ってか…こっち見てる?


「あ…うっ」


「ん?あぁ…見てる見てる。じっと見てるね。あれだけ露骨に見てくるとむしろ清々しくないかな?」


「何を言ってんだよ!あれが気味悪くないのかよ!」


「だって見られてるのは高杉くんだけだからねぇー」


「えっ?」


そういや…確かに俺の方しか向いてないような…えぇ、気持ち悪い。ってかセクハラだよな?


「無視!もう無視する!」


「それが一番だよ。せっかくのプールなんだから楽しまないと」


「…かといっても女の子ばかりの空間で泳ぐのも気が引けるんだけど」


「別に誰も高杉くんを見てないって。本当に彼ぐらいだってば」


「そうならいいけど…」


いや、あいつに見られるのが良い訳ではないけど!


「ま、水に使って涼しむだけでも私は十分だと思うけどね」


「…そうだよな。うん、俺もそれでいいや」


ただ、淵に掴まってないと沈みそうになるから注意しなくちゃだけどね。


「…涼しいねー」


「うん…」


「ねぇ?なんだかんだで晴れてよかったでしょ?」


「ん?んーまぁまぁかな」


「私はね、高杉くんと一緒にプール入られて楽しいよ」


…そう言ってくれると苦労の甲斐があるかな。その苦労の大半が愛だけど。


「私たちってさ……いや、やっぱなんでもない」


「え?なに言おうとしたのさ。気になるだろ?」


「…忘れた。うん、忘れちゃった」


「卑怯だ」


「別にいいもん」


気になるのに…いや、聞かない方がよかったのかな?なんとなく…そう思った。


「ねぇ、やっぱちょっと泳ごっか」


「ん?」


「タッチ!」


「えっ?」


「高杉くんの鬼!」


あぁ…そういうこと。仕方ないなぁ。ずっと浮いてるだけもつまんないし、ちょっとぐらい付き合ってあげるか。


「愛!本気で捕まえてやるからな!せいぜい逃げろよ!」


もと男の意地を見せてやる。

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