おまけ「実験体、学校にて」
おまけです。
プロトタイプ段階のモノです。
設定とかがかなり違うので、まったく別作品ですね。
もったいないのでおまけとして載せておきます。
「なぁ、裸見せてくれよ」
そうくだらない発言をなんのためらいもなくそいつは言ってのけた。犯罪レベルの発言、セクハラ。しかし俺は優しいから軽く受け流してやる。
「そんなのは彼女に言え」
しかし、そんなのも気にせず俺に言う。
「彼女なんて居ねえよ、むしろお前が彼女になってくれよ」
こいつがこう返してくるのはわかってた。なぜならこのやり取りも六月に入ってから3度目になるからだ。
「お前はホモなのか」
改心の一撃を浴びせてやる。
「今のお前は女だろ」
改心の一撃を浴びせられた。
ふう、今日も五分五分か。
こんな冗談の言い合いも慣れて来た六月五日。
俺は今日も慣れないセーラー服に身を包みこのバカと話し込んでいた。
机に座って向かい合っているのにも関わらず感じる身長差。我ながら虚しくなってくるね。前まではまだましだったのにさ。うん、今が150センチぐらいだから30センチは違うよね。
それにしても座高だけでも身長の違いってのはわかるものだね……でも、差があるのはこいつが胴長だからなんだよ、きっと。だから気にしない気にしない。
「何俺の顔を見てんだよ」
「別に……胴長」
「は? なんだよ、ちび」
「ちび言うな! 女の子に対してなんて言い草だ」
「いや、お前はもとから身長低かっただろ。確か百五十――」
「わ、わっ! 悪かった! 悪かったから言うな! 入学して以来隠してきた事実を公にするな!」
すかさず俺は奴の口を両手で塞いだ。
手のひらに吐息がかかる。なま暖かい。しかし、すぐに風の流れは止まった。
ゆっくりと手を離す。奴をよく見てみると顔が赤くなっていた。
「そんなに長く息止めてないだろうに」
「ばかっ、違う! いや、なんでもない」
そう言うと軽く俯いた。
「それにしても夏だね……」
気まずくなったから、話題を振る。この季節はこう振って置けば間違いない。
「なんだ、藪から棒に」
「その返しはなかなか渋いね。いや、今年も夏は遊ばなくちゃってね」
「その姿でか?」
「うっ、ま……まぁね」
そう、これだけはネックだ。変に気を使ってしまうから。別に俺の身体だけど、自分のものじゃない気分だし。
「海なんて絶対に行けないよな……女の子の水着なんて絶対に着たくないし」
「え? 俺は見てみたいけど……」
「変態」
「元男のお前ならわかるだろうに」
「元男の水着が見たい心理はわからないね」
「つまらねえ奴だな……」
「……」
なんだ、こいつは。本当に、意味がわからないよ。ひっかかる発言ばっかして。
俺は男だってわかってるだろうに。もちろん興味本意なんだろうけどさ……。
「……さて、もうじき昼休みも終わるし、さっさと席に着いたら?」
「お前は先生か。まぁ、いい。あ、薬はちゃんと飲んでおけよ」
「わかってる……俺だって痛いのは嫌だからね」
変なこと言うけど、こいつはやっぱり良い奴なんだろう。気遣いは忘れない。俺が男のときもそうだったし。
「女性体安定剤か……こんなものが必要ならなんで、俺を実験台にさせたんだろう」
「お前の親父さんのことは知らないけどさ、お前は親父さんのためを思って実験の手助けをしようと思ったんだろ? なら、文句は言えないだろ……」
「だけど、やっぱ思ってたのとちょっと違ったからさ。やっぱりそういうのはちょっとショックだったし。ま、確かにお金には釣られたんだけど」
人体実験なんて、公になれば大変なことになるけどね。それでも、この技術を確立させた親父はすごい。
だから、あくまで実験はモルモットで済ませた、というしかない。それが親父のためで、俺のためで、皆のためなんだ。
特許を取れば大金持ちになるのは間違いない。だから親父の研究に付き合ってあげるんだ。もちろん、母さんがいなくなってさみしそうにしてるから、ってのもあるけどね。
母さんの若い頃にそっくりだ、なんて冗談を言う分には元気になったみたいでなによりだしね。
「さて、一服するか」
俺は、小さなカプセルを水無しでごくんと飲み込んだ。
設定
主人公は性転換薬の実験台にされる。
本来人間での実験は禁止されているため非合法なのだが、父親のために人肌脱いだ。
しかし薬による弊害は存在する。定期的に安定薬を飲まないとすぐに男に戻ってしまうのだ。
もちろん完全な女になる気持ちはからっきしない主人公なのでそのことについてはありがたく思っていたところもある。
だが、変化による痛みは想像を絶するほどだ。だから女となったいまでは痛みがこないために薬を飲んでいるようになった。
これより先の展開
薬の耐性がだんだん強くなりもっと強力な薬を飲まないと女体化を保てなくなることになる。しかしその薬を飲めば逆に男に戻れなくなってしまう。
女体化実験が成功すればもちろん偉大なる発見になる。だがその代わり捨てなければいけないものも大きい。
父親は無理に勧めはせず、息子にその判断をまかせる。
友人はそれについて男に戻ればいいといってくれるが……すでに主人公の心は結構変わってしまっていた。
判断猶予は六月以内。そのなかで主人公は決意を固める。
といった具合の話です。こちらでもよかったちゃあよかったんですけどね。
こちらに関する感想もあればよろしくお願いします。