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叛火の遺産〈リベルファイア〉  作者: 夏影 識
第1章
10/11

ほのおは灯る

 試験当日、レヴァンは数日ぶりに学園の門をくぐる。


 試験会場は、エリックと決闘を行った闘技場だった。


 闘技場は、レヴァンの魔法により半壊してしまったが、教師たちの魔法によって修復され、元の姿に戻っていた。


 レヴァンが闘技場に着くと、闘技場中央に三人の教師が立っていた。

観客席には数人の野次馬と、体中に包帯を巻いたエリックが座っていた。


 野次馬の中には、一際目立つ銀髪の少女の姿があった。

セレナだった。


 傍らには、ミーシャが控えていた。


 レヴァンが闘技場に姿を現すと、エリックを含めた野次馬たちの目が一斉にレヴァンへ向く。


 レヴァンは居心地の悪さを感じつつ、セレナの方へと目をやる。


 セレナはレヴァンと目が合うと、レヴァンへと手を振る。


 ミーシャはレヴァンへ睨みを利かせる。


 レヴァンが闘技場の中央へと立つと、教師の一人が咳払いを一つし、話を始める。


「これより、レヴァン学生の復学試験を始める。試験内容は、中規模魔法を行使し、暴走することなく制御ができれば、復学を許可する」


 教師の話が終わると、闘技場に魔法をぶつける為の的が運び込まれる。


 的となるのは、古びた金属製の鎧だった。


「この鎧に魔法を撃ち込んでもらう。小規模魔法から順に始めることとする」


 鎧には、土属性魔法の強化がかかっているようで、破壊には中規模程度の魔法を撃ち込む必要があるようだ。


「それでは、始めっ!」


 教師の声で、試験が開始される。


 まずは小規模魔法。


 レヴァンは、手のひらを鎧へ向けて魔力を集中させる。


 小規模程度の魔法であれば、レヴァンは今でも無詠唱で扱える。


 手のひらに集中させた魔力は、火へと変換される。


 レヴァンの掌にはこぶし大の火の玉が生成された。


 こぶし大の火の玉は、レヴァンの手を離れて、高速で鎧へと撃ちだされる。


 火の玉が鎧へ当たると、小規模の爆発が起こり、砂埃が鎧を隠す。


 砂埃が晴れたそこには、無傷の状態の鎧が姿を現す。


「よろしい。では、次は中規模の魔法を放ってもらう。これを制御することができなければ、復学を許可することはできない。いいな?」


 教師のその声に、レヴァンは頷く。


 レヴァンは再び、手のひらを鎧へと向ける。


 先ほどの魔法行使よりも、多くの魔力がレヴァンからあふれ出す。


 瞬間、レヴァンの脳内に、()()()()が浮かぶ。


 レヴァンの体からは、魔力が際限なくあふれ出した。


 それはまさに、先日の暴走の時のように。


 観客席のエリックは、頬をひきつらせた。

今すぐ逃げ出したいと思っていたのであろう。


「やはり、平民には無理か・・・。このままでは危険だ、試験を――」


 教師が試験中止を言い出そうとしたその時、レヴァンの声が闘技場に響く。


「≪リベル・ファイア≫」


 レヴァンの体からあふれ出した魔力が、一斉にレヴァンの手のひらに集まる。


「詠唱魔法?そんな小細工でごまかそうとはな」


「我々も甘く見られたものだ」


 教師たちが嘲笑する。


 しかし、レヴァンの手に生成された炎を見て、教師たちは驚愕した。


「なんだ、あれは!?」


「魔力量的には中規模程度の魔法だ。しかし、あれは・・・」


「魔力制御によってかなりの高効率で魔力を変換している!?あれではまるで・・・」


 レヴァンの魔法が放たれる。


 放たれた魔法の軌跡に沿って溶岩の川が出現する。


 魔法が鎧に直撃する。


 鎧は即座に溶解され、その場には巨大な火柱が出現する。


「しょ、消火をしろ!」


 水属性の魔法が使える教師達が集まり、消火作業を始める。


 しかし、大規模な水魔法を使用しても、消火することはできなかった。


 その火は、それかも消えることなく燃え続けたそうな――


「し、試験はこれにて終了。レヴァン学生は、明日より復学とする」


 教師が、試験終了を宣言し、レヴァンの復学を認めると、それに異議を申し立てるものが現れる。


「ちょっと待っていただきたい。先ほど、この平民は魔力を暴走させていました。試験内容は、中規模魔法の行使のはずが、この平民が使ったのは、どう考えても大規模魔法です。制御が出来ていないから魔力を込めすぎたということではないでしょうか?であれば、復学は認められないはずでは?」


 声を発したのは、エリックだった。


 それに対し、反論の声が上がる。


「いいえ、今のは中規模魔法でした。魔力量は中規模魔法レベル。しかし、彼の卓越した魔力制御技術により、魔力が我々の想像を超える効率で、魔法に変換されたことによって、先ほどのような威力になりました。確かに、詠唱は魔力の制御を補助する効果はありますが、彼が魅せたのは、詠唱による補助を大きく上回る、卓越した魔力制御でした。彼の元の魔力制御技術があったからこそ、あの魔法を行使することができたのです」


 他ならぬセレナだった。


「確かにその通りです。殿下の言う通り、彼の素の魔力制御技術があったからこそ、あそこまでの芸当ができた。エリック君、流石にこれは、認めざるを得んよ」


 セレナの意見に、教師たちが続く。


「我々教師陣にも、彼ほどの芸当で魔力を制御することはできん。その才能の芽をつぶすことは、魔法学を研究する者としてはできんな」


 エリックは、苦虫を噛み潰したかのような表情をし、闘技場から走り去っていった。


「これにて、試験終了!解散!」


 レヴァンは、セレナと目を合わせた後、闘技場をあとにした――




 ――誰も居なくなった闘技場。


 一人の教師が燃え盛る炎の柱を見て、立ち竦んでいた。


 大勢の教師を動員しても消し止めることができなかった炎。


「これ、どうしよう・・・」


 その火がやがて、闘技場のシンボルとなるのは、また別の話。

 明けまして、おめでとうございます。


 新たな物語をどんどん出していこうと思うので、今年もよろしくお願いします。


 楽しんで読んでいただけたらと思います。

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