1/11
プロローグ
神域は永遠の静寂に包まれていた。
高みから地上を見下ろす玉座に、神は座っていた。
形を持たず、性を持たず、ただ無限の時を生きる存在。
地上の世界は、いつものように回っていた。
人類はアークの内に暮らし、魔族は外で牙を研ぐ。
魔獣たちは残滓のようにうろつき、時折隙間から忍び込んで、人類を狩る。
すべては変わらず、続いていた。
だが、その夜――。
神は玉座から身を乗り出した。
光が舞い降りた。
いや、違う。
それは光ではなく、炎だった。
神の声は、初めて震えた。
あの炎が再び灯れば、
すべてが変わってしまうかもしれない、と。
そして、地上で――。
小さな村に、一人の少年が目を覚ました。
彼はまだ知らない。
忘却の1000年が、ようやく動き出す。
禁断の炎は、再び灯ろうとしていた。




