赤い髪の秘密
突然謎の男にいちゃもんをつけられたルシアは、クロイツの名前を聞いて幼い頃を思い出していた。
※改行多くて読みにくいかもしれません!すみません!
まだ私が小さかった頃。
カルミナート家の裏庭には、大きな桜の木があって、春になると祖母はいつもその下に椅子を出して、お茶を飲んでいた。
「おばあちゃん見て!また新しいステップできたの!」
そう言って私は祖母の前でくるん、と回ってみせる。スカートがふわっと広がる。
その頃の私は、とにかく踊るのが好きだった。
理由なんてなかった。ただ体が勝手に動くだけ。
「ほっほっほ、ルシアは本当に踊りが好きだねぇ」
白髪の祖母が目を細める。
「だって楽しいもの!なんだか胸がぽかぽかするの!」
「……そうかい。あの子と同じだね」
「あの子?」
祖母は少しだけ懐かしそうに空を見上げた。
春の光が、私の赤い髪を透かしてきらきら光る。
祖母の指が、そっと私の髪に触れた。
「その色さ」
「その色?この赤い色の事?」
「うん。カルミナートのごく稀な“先祖返り”だよ」
「せんぞがえり?」
難しい言葉に首をかしげると、祖母は笑った。
「昔々ね。カルミナート家に、真っ赤な髪の踊り子がいたんだ」
「踊り子!?」
私は目を輝かせる。
「王家の夜会で踊りを披露してね。剣でも魔法でもなく、“踊り”ひとつで、王様も貴族も、みーんな夢中にさせちまった」
「すごい!!」
「それはもうね、“戦よりも強い”って言われたくらいさ」
「踊りが!?」
「そうだよ。あの子が踊ると、争ってた貴族同士が手を取り合った。険悪だった会議が丸く収まった。王様は『この娘がいる限り国は安泰だ』ってね」
祖母はどこか誇らしそうだった。
でも。
ほんの少しだけ、寂しそうでもあった。
「……でもねぇ」
「?」
「そのせいで、恨まれもした」
「え?」
「当時、王家の信頼を一身に受けていたのがクロイツ家だった。代々、政治と軍で王を支えてきた名門さ」
祖母は穏やかに話し続けた。
「けれど王様は、だんだんこう言うようになった。“彼女の意見を聞こう”“彼女が望むならそうしよう”って」
「踊り子なのに?」
「踊り子だからさ」
祖母は笑った。
「武器も権力も持たない。ただ人の心だけを動かす。だから王様は信用したんだろうね」
「心……」
「でもクロイツ家から見れば、面白くないだろう?何代もかけて築いた立場を、ぽっと出の娘に持っていかれたんだから」
「……いじわるされたの?」
「たくさんねぇ」
祖母は遠い目をした。
「悪口も、陰口も、陰謀も。けれどあの子は最後まで言ったそうだよ」
「なんて?」
「『私はただ踊ってるだけです。みんなが笑ってくれたらそれでいい』って」
その言葉が、なぜか胸にすとんと落ちた。
「……かっこいい」
「だろう?」
祖母は私の頭をぽんぽんと撫でた。
「だからねルシア。踊りはね、人を奪うものじゃない。人を幸せにするものだ」
「うん!」
「もしその髪が遺ったものなら、きっとあの子が“また踊りたい”って思ったんだろうね」
春風が吹いた。
花びらが舞って、私はくるんと回る。
「じゃあ私、いっぱい踊る!」
「おやおや」
「みんなが笑ってくれるまで踊るの!」
祖母は目を細めて笑った。
「……ああ。きっと似合うよ。お前は、あの子の生まれ変わりみたいだからね」
赤い髪っていいよね。作者は男女問わず赤い髪が好きです!(いらん情報)
カルミナート家やるなぁ!
最後まで読んで頂きありがとうございました。




