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侯爵様の悪役令嬢(自称)  作者: 杉野みそら
第十二章

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因縁の相手?

婚約発表の場で突如現れた男にインネンをつけられたルシア。ルシア以上に空気の読めない男に対してルシアが取った言動とは!?

「は、踊りで王侯貴族を魅了?ずいぶんと下品なことをしていたんだな、お前の先祖は」


 えっ……


 驚いて振り向くとそこには一人の男が立っていた。


 *


 誰かしらこの人……


「ふん、覚えていないか。当然だろうな。だが俺は覚えてるぞ。ルシア・カルミナート!お前のその赤い髪、カルミナートだけに与えられたその赤い髪のせいで俺の一族はずいぶんと苦しめられたんだからな!」


 えっ……何?この男?

 侯爵様に恨みを持った誰かかと思ったけどまさかの私?!


 しかも髪!?


 チラッと侯爵様を見ると、怒髪天をつかんばかりに怒っている。見える見える!侯爵様の後ろに修羅が見える!


「えっと〜、私あなたに何かしましたか?この髪の毛が夜な夜な夢に出てきてあなたの首を絞めたとか……」


「ブフォッ!」


 侯爵様が私のセリフを聞いて吹き出した。肩をひくつかせて笑っている……

 私また変なことを言ったかしら?いやでも夢で首を絞める描写は最近見た本の割と面白い設定で……


「ふ、ふざけんな!俺は大真面目に言ってるんだ!お前のその赤い髪のせいで俺たちは……」


 男は一歩、強く床を踏みしめた。広間に靴音が嫌に響く。


「お前の先祖ーー赤髪の踊り子のせいで、俺の一族は王の寵愛を失った!本来、王家に仕える栄誉はクロイツ家のものだった!それを……たかが踊りで!」


 周囲がざわめいた気がした。


「たかが踊り?」


 私の言葉に一瞬周囲がざわめいた気がしたけど私は首をかしげた。


「踊りって、そんなに悪いことかしら?」


「なっ……!」


 男ーーヴァルターの顔が、怒りで歪む。


「身一つで男を惑わせ、地位を奪い、家を傾かせる!それが下品でなくて何だ!」


「ええ……?」


 私は少し考えてから、素直に言った。


「それって……踊りが悪いんじゃなくて、心を奪われた方の問題では?」


「またそんな屁理屈を……」


 男が肩を震わせて怒りを滲ませた。その瞬間だった。


「ーー黙れ」


 低く、氷のような声が広間に落ちた。


 私の前に、すっと影が差す。


「侯爵様……」


 先程は笑っていたのに、今はずいぶんお怒りのご様子だわ。


「私の婚約者に、それ以上無礼な言葉を向けるな、ヴァルター・クロイツ伯爵」


 名前を呼ばれ、ヴァルターは一瞬だけ言葉に詰まる。


 クロイツ?聞いたことがあるわ。たしかおばあちゃんが言ってた気がする。


空気の読めない選手権は両者引き分けということで。

突如現れたネチネチ男・ヴァルターの執着は続きそうですが、ルシアは何かを思い出したようです。


この話始まって以来の四文字名前のキャラですが特に意味はありません。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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