ルシアの髪が赤い理由
いよいよ二人の婚約発表の時。ルシアは緊張しながらもみんなの前でお辞儀をする。
とそこへ意外な声が聞こえてきて……
「ここここ侯爵様、私緊張しますわ」
「安心して、自信を持って。君は世界一美しい」
「ああああ美しいだなんてそんな……」
そんな事、そんなこと……
今まで言われたことがない!!//
あっという間に広間に着き、先に来ていたお客様が一斉にこちらを振り向いた。
その瞬間、さっきまでざわめきに満ちていた広間が静寂に包まれる。
「みんな、今日は来てくれてありがとう。みんなに紹介しよう。私の婚約者、ルシア・カルミナートだ」
ああああついに!ついにこの時が来てしまったわ!落ち着くのよルシア!
息を整えて……深呼吸をして私が自己紹介をしようとしたその時だった。
「……赤い髪とはなんと不吉な色」
「ほら、見てあの髪の色。まるで血よ」
「カルミナート家の他の方はそうでもないのに、なぜあの方だけ?」
「突然変異かしら」
えっ?!
何これ?私のことを言ってる?赤い髪って……不吉って?血って??
てか、これって悪口??悪口なの?
私は下げた頭を挙げられない。だってこんなあからさまな悪口を叩かれた事ないもの!しかもこんな……婚約発表の場で!
「……おのれ……」
しまった!なぜか侯爵様がお怒りだわ!ここは私が何とかしないと……
顔を挙げて、一歩前に出る。
「私のこの赤い髪が気になりますか?」
視線が一気に私に降り注ぎ、再び静寂がその場を支配する。
「……なんと失礼な奴らだ。ルシア。日を改めよう」
「いいえ、この際ですから説明しますわ」
私は帰ろうとする侯爵様を制し、この赤い髪の理由を説明した。
"かつてカルミナート家の遠い先祖に、王家の夜会で踊りを捧げていた赤髪の女性がいた。その女性は舞踏だけで王侯貴族を魅了した存在だった。その血はごく稀に隔世遺伝として現れる"
「そしてその血を継承したのが、私ルシア・カルミナート。エルド・グレイシアード侯爵様の婚約者です。以後、お見知りおきを」
そう言って、私は再び深々と頭を下げた。
き、決まったァ〜!!
どうなるかと思ったけど悪口のおかげで度胸がついたわ!ありがとう悪口!
「ルシア……君の赤い髪の理由にはそんなことがあったのか。どおりで美しいと思った」
目を丸くした侯爵様が私を見る。
「えへへ、黙っててごめんなさい。もうずっと昔のことだから話さなくてもいいかと思ってたんです」
「いや、話してくれてありがとう。その話を聞くとますますこの赤い髪が魅力的に見える」
「もー侯爵様ったら!」
「は、踊りで王侯貴族を魅了?ずいぶんと下品なことをしていたんだな、お前の先祖は」
えっ……
驚いて振り向くとそこには一人の男が立っていた。
ルシアの髪にはそんな秘密?があったんですね。
なかなか一筋縄ではいかない婚約発表です。
で最後の男は誰やねん。
最後まで読んで頂きありがとうございました。




