侯爵様の居場所
川辺でいい雰囲気の二人。エルドの過去を聞いたルシアは……
「当時の私は、周囲から“次期侯爵”として扱われていた。失敗も、弱音も、許されなかった」
だからこそーー
「何も求められない場所に、少しだけいられるのが、好きだったんだ」
言い終えたあと、空気が重くなりかけた、その時。
「……じゃあ」
ルシアが、くいっと身を乗り出す。
「今はどうなんですか?」
「今?」
「えっと、今侯爵様は隠れなくても安心できる場所はありますか?」
(だって侯爵様、今はもう平気そうだもの。"次期侯爵"から"侯爵"になったからかな?)
その問いに、思わず視線が戻る。
真っ直ぐな金色の瞳が、私を映していた。
「……さあ、どうだろうな」
そう答えながら、私は少しだけ笑った。
「少なくとも、昔よりは……逃げ足は遅くなった」
「えっ、それってどういう意味??」
「捕まる相手が、厄介になったという意味だよ」
「???」
首をかしげるルシアを見て、私は思う。
ーーもう一人で隠れる必要は、ないのかもしれない。
一人で居場所を探す必要もない。
私の居場所はもう見つけたよ。
ルシアはまだ首を傾げて私の方を見つめている。
「ルシア、おいで」
「……」
私がそう言うと、意外にもルシアはぽすんと私の腕の中にすっぽりとおさまった。
(照れてみたり、謝罪してみたり、かと思えば大人しく従ってみたり。忙しいな……)
腕の中のルシアと川辺をぼんやりと眺めた。水面に光が反射してキラキラと輝いていた。まるでルシアの瞳のように。
「綺麗ね、侯爵様!」
「ああ、とても綺麗だ」
私の居場所、それは……
いい雰囲気〜!!このままいい雰囲気のままでいてくれ!!(懇願)
とか言いながら、今回の話、私はかなりお気に入りです。笑
やはり私は甘々が好きなんだなぁ。みつを。
最後まで読んで頂きありがとうございました。




