侯爵様はいじわる
「反則だよ、ルシア」
「は、反則って何がですか!?」
動揺する声。潤んだ瞳。
それを間近で見て、私の胸が思わず跳ねる。ゴクリと無意識に喉が鳴る。
ーー可愛い。
(……あ……今侯爵様、私の名前)
気づいた時には、もう遅い。
そっと距離を詰め、触れるか触れないかの一瞬のためらいのあとーー
軽く、ほんの一瞬。
唇が、唇に触れた。
「……っ!?」
離れた瞬間、二人同時に息を呑む。
ルシアは真っ赤になっていた。私もまた少年のように胸が高鳴っていた。
「……すまない」
小さく呟くその声は、いつもよりずっと不器用で甘く、優しかった。
胸の鼓動だけが、やけにうるさく響いていた。
(この気持ちを知ったら君は怒るだろうか?それとも照れるだろうか?)
ルシアの反応があまりに可愛いから、つい意地悪したくなるのだとーー
* * *
「も、もう終わりです!侯爵様意地悪です!//」
私はそう言って侯爵様の胸から降りた。
変なの、さっきから私ずっとドキドキしてる。
それに、
「ははは、すまないルシア。君の反応があまりに可愛いからつい意地悪をしたくなってしまった」
「そんなの……そんな事……」
……おかしいわ。以前の私なら「これはモラハラ?」だとか「早速いじめの始まりね!」とかでワクワクしていたのに……
今の私は変。本に書かれていた事じゃなく、現物の侯爵様がどんな人か知りたい。かくれんぼをしていた時の話。
幼少期どんな風に過ごしてきたのか。
どんなものが好きなのか。
どんなことが楽しいのか。
……っ、変でもいいじゃないのルシア!元々変わった子扱いされていたのだから今更よ!
お。ついに自覚し始めたんですか!?
※ルシア様の恋はこんな風にスローペースで進んでいきます
最後まで読んで頂きありがとうございました。




