侯爵様には見つからない
いつもの癖でエルドを挑発したルシアは自信満々に隠れていたが……
ーー数分後。
隠れている私には自信があった。いかに侯爵様といえど、この場所は知らないだろうと。
(だってこんな場所、侯爵様には似合わない……)
「……見つけた」
と余裕をかましていると、頭上から、落ち着いた声が降ってきた。
「えっ!?」
穴の中で丸くなっていた私は、びくっと肩を跳ねさせた。
そっと顔を上げると、木々の隙間から差し込む光の向こうに、侯爵様の顔があった。かっこいい〜!なんだあの凛々しい佇まい。神さまに祝福されてるみたいに光を浴びてるじゃない?
ーーいや、そんな事は置いといて。侯爵様はなんで……
「なんで?どうしてここがわかったの?」
自信満々だっただけに、思わず声が裏返ってしまった。
「ここは、見覚えがあったから」
「え?」
侯爵様は少しだけ視線を遠くにやり、懐かしそうに微笑んだ。
「……私も昔、よくここに隠れていた。一人で考え事をするのにここがちょうど良くてね」
「ええっ!?」
(まさかまさか!生まれつき貴族でお坊ちゃん育ちの侯爵様が?)
いえ、それは私もそうなんだけど私はなんか違うというか……自分で言うのもなんだけど特殊だから。
貴族のかしこまったお茶会よりも川や森で馬を走らせてる方がいいし……
「こ、侯爵様もかくれんぼしてたんですか?誰と?見つかりました?怒られましたか?」
侯爵様がかくれんぼをしていたと聞いて俄然興味が沸いた私は興奮して一気に捲し立てた。
だってこの隙のない完璧超人の侯爵様が誰かとかくれんぼしていたなんて意外で……
(親近感、すごく親近感が湧く……もっと侯爵様の事を知りたい!)
興奮した私は、勢いよく穴から飛び出したーー
「あれっ!?」
どすん。
柔らかいけれど、しっかりした感触。
視界いっぱいに広がる、侯爵様の顔。
「…………」
「…………」
いつのまにか私は侯爵様の胸の上にまたがってしまっていた。
これはいい感じのハプニングでは?
最後まで読んで頂きありがとうございました。




