恋に落ちた侯爵様
自身の恋を完全に自覚したエルドは、ルシアの部屋の扉を控えめに叩いた。
コン、コン。
控えめに扉を叩く。
しばらくして、バタバタと大袈裟な、およそ淑女とは言いがたい足音が近づいてきた。
「侯爵様??」
扉を開けた瞬間、私を見るルシアの弾けるような笑顔。
そんな、まるで私が来る事を待っていたかのような……
(参った)
その期待以上の出迎えに、自分の胸が熱くなるのがわかった私は思わず……
「わわっ、こ、侯爵様!?//」
「会いたかった。ルシア……」
その熱さも冷めやらぬままに、ルシアを抱き寄せたのだった。
「……ルシア、散歩に行かないか?」
* * *
私たちは、屋敷の裏にある林に来ていた。
「この場所、私のお気に入りです。アオイも」
「そうか」
言いながら私はルシアを抱きしめていた。
うーん、この香り……満たされる〜!!ルシア成分補給……
「こっ、侯爵様//先程からどうされたんですか??」
「いや、ルシアに会うのが久しぶりで……つい嬉しくて」
どうやら私は一度自分の恋心を認めてしまうと、ルシア以上に距離を詰めてしまうらしい。
ーーいや、これではルシアを怯えさせてしまうか?
「……いやか?」
我ながら悪い大人だな、と思う。こんな聞き方するなんて……
「い、いえ!いやではありません。私も……//会いたかったですから」
そういうとルシアは私を抱きしめ返してきた。
ああああああーーーー!!
クソ可愛いーーーー!!なんだこの可愛い生き物!!
ゴホン、少々取り乱してしまった。ルシアは沼だな……
しばらくそうして抱きしめあっていると、サラサラと流れる川と、呆れ顔のフウカが見えた。
いやそんな呆れる事はないじゃないか。私も自分がこんなにルシアにハマるとは思っていなかったのだから。
「ルシア。あの川の方に行って休もう」
川のそばにはちょうど二人が座れるほどのベンチがあった。
「はい、侯爵様!」
弾けるような眩しい笑顔。そういえばあの時もーー
(あの時……?)
瞬間、胸の奥がふと懐かしさに疼いた。
54話目でハムレットが出てきたので、タイトルは「恋に落ちたシェイクスピア」と「恋に落ちた侯爵様」をかけてみました(いきなり何)
基本エルドは紳士ですがこんなに夢中になった子は初めてで混乱しているのもあります。距離感もわかっていませんまるで少年のようにね(倒置法)
最後まで読んで頂きありがとうございました。




