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侯爵様の悪役令嬢(自称)  作者: 杉野みそら
第七章 ルシアの過去

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ルシアだから

エルドは散歩に誘いにルシアの部屋の前に来ていた。

 * * *


 ルシアの部屋の前に立ち、私は息を整えた。


 重厚な廊下。磨き上げられた床に、差し込む午後の光。

 その先にある一枚の扉が、なぜか今日に限ってやけに遠く感じられる。 


(……たかが散歩に行くだけだろ。何を緊張している)


 そう自分に言い聞かせながら歩いていると、あっという間にルシアの部屋の前に来ていた。


 書斎ではあれほど平静を装っていたというのに。

 こうしてルシアの部屋の前に来ただけで、胸の奥がざわつく。


 一一散歩に……散歩に誘うだけだ。

 それだけのことだというのに。

 無意識に背筋を伸ばし、襟元を整える。

 こんなこと、普段なら意識もしないのに。


(……私はいつから、こんなにも落ち着かなくなった?)


 今までは心にもない歯の浮くようなセリフもスラスラと言えたのに。こんなたかが、女を誘う事ごときで……


 ーールシア。


 そこでようやく私の中で腑に落ちた。


 ああ、そうか。ルシアだからか……


 こんなにも心臓がうるさいのは。そして同時に、期待で溢れているのは。


 扉の向こうからは、微かな物音が聞こえる。

 本のページをめくる音だろうか。

 それとも、フウカと何か話しているのか。


 ルシアの赤い髪。

 思いがけない距離感。

 思いがけない言動。

 思わず笑ってしまう行動。特にあのマッサージのくだりは何度思い出しても微笑ましい。


(こちらはいろんな意味で大変だったが……)


 無邪気で、無防備で、そして残酷なほど無自覚なあの笑顔。


(……ああ、本当に)


 この屋敷で、これほど俺の心を乱す存在は他にいない。


 こんな気持ちは久しぶりだ。


 このエルド・グレイシアードの氷の心を動かすとは。


 ルシア、本当に君はおもしれー女だぜ!


エルド侯爵様は完全に恋を自覚しましたが、問題はルシアお嬢様です。

過去を見た限りお嬢様が恋を自覚するのはまだまだ先のようです!


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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