初めての嫉妬
※このお話から急にシリアスでルシアちゃんがちょっと可哀想かもしれないです。
その日の夜ーー
ルシアはエルドの部屋を訪ねていた。
「侯爵様!今日フウカと街に行ってきたの!それでね……」
「……」
あれ?侯爵様……どうしたのかしら。いつもはアキラに命じて私を椅子に座らせてくれるのに。
今日は窓の外を眺めて、私に背中を見せるばかり。アキラもいない。
夕食も自室で食べてしまったみたいだし……
なんか寂しいな。
「あ、あのね!それで街に出かけた時に偶然……」
「ヴァルターと会った?」
え……?
侯爵様はゆっくりと振り向いた。私を見つめる銀色の双眸が、あまりにも冷たくて。
普段から冷たい侯爵様の部屋が、一層冷たく感じるほどだった。
やはり今日の侯爵様は何か変だわ。
「ルシア、君が今日ヴァルターと一緒にいるところを見たと聞いた」
「ええ、ヴァルターは私に……」
「……本当か?」
侯爵様は私の言葉を最後まで聞かずに聞いてきた。
何でそんなに。
侯爵様らしくない。
焦っているみたい……
「あまり心配させないで欲しいな」
「で、でもフウカもいたし、それにヴァルタ……」
「君は何か勘違いをしているようだが、私だって嫉妬くらいする」
「えっ……?!」
「君の口からヴァルターの名前を聞きたくないんだ」
……嫉妬?あの侯爵様が?いつも余裕で。泰然としていて。私が何をしても許してくれた侯爵様が?
「それに私の好みをよりによってヴァルターに聞いたとか?」
「……侯爵様、何か怒ってるの?……」
心臓がドキドキしてきた。どうしよう……私、侯爵様を怒らせちゃった?どのタイミングで?何故?どうして?
侯爵様が胸の前で組んでいた腕をゆっくりと外した。
「ヴァルターに聞かなくても、私に直接聞けばいいだろ」
「ッ……!」
強い言葉……こんな侯爵様今まで見たことない。どうして?ヴァルターと話したのがそんなにいけないことだった?
でもヴァルターとは侯爵様も何度も会ってきたのに。
「こ、侯爵様……」
変だよ。こんなの。
侯爵様は怒らない。私が今までどんなめちゃくちゃな事をしても怒らなかったもの。
「…………ッ!!」
次の瞬間、侯爵様が私の腕を引いた。
ガタガタと音を立てて侯爵様の机に私の体を押し付ける。
「ぃっ……」
別に痛くはなかったけど、私は驚いて小さな声をあげた。
何?何が起きたの?
自分の身に一体何が起こったのかしばらく理解できなかった。
耳がキーンとなる。こんなこと……こんな乱暴なこと……普段の侯爵様なら絶対しないのに。
しばらくして、侯爵様が低い声を落とした。
まさか110話すぎて今頃こんなすれ違いをするとはね……汗
じわじわと育むのが好きなんですすみません。
(スピード感は私には無理でした(懺悔))
最後まで読んで頂きありがとうございました。




