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侯爵様の悪役令嬢(自称)  作者: 杉野みそら
第十五章

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ヴァルターとルシア

ヴァルターはルシアを広間へと導き、ついに二人の踊りが始まる。

「さあルシア、こっちへ」


 ヴァルターは従者に命じてルシアを広間へと導く。


「侯爵様!そこで見ててね」


 ルシアはそう言って侯爵に無邪気に手を振る。


 侯爵はそれに答え、少し微笑む。


 途端に黄色い歓声がどこかで上がった。婚約前はさまざまなところで浮き名を流したエルド侯爵。その名はヴァルターの領地でも有名だった。


(侯爵はまだあんなに人気があるのか?婚約したと言うのに……)


 ヴァルターはやれやれと言った感じで肩をすくめた。


『エルド侯爵は美しい女であれば、来るもの拒まず去るもの追わず』だと。


 そんな噂も、ルシアとの婚約でかき消えたと思われたが。まだ僅かな信者が残っているようだ。


 だがあいにく、婚約の相手は夢みがちで踊りが得意なルシア・カルミナート。

 我が道をゆく彼女には、エルドに対する黄色い歓声も全然耳に入っていない様子だ。


 音楽が静かに流れ始め、二人は自然に歩み出た。

 それは優雅なワルツだった。


「くすくす、ヴァルター力を抜いて。そう、肩はそのままよ」


 ルシアは楽しそうに微笑みながら、そっとヴァルターの手を導く。


 本来なら男が導くはずのステップ。

 だがルシアの動きはあまりにも滑らかで、気づけばヴァルターの足は彼女の旋回に合わせて動いていた。


(なっ……このヴァルターがリードされているだと?)


 おかしいおかしいおかしい!クロイツ家はカルミナート家とずっと前から覇権を争ってきたのに……


 目の前の女ーールシアはそんなことは関係ないとでも言うように。楽しそうにくるくると回っている。


 赤い髪がふわりと宙に舞い、その琥珀の瞳が近くで輝いた。


「ほら、ヴァルター……手を出して。そう、その調子」


「……お前、俺を踊らせているつもりか」


「つもりじゃなくて踊ってるのよ」


 悪びれもなく言いながら、ルシアは軽やかに回る。

 その動きに引き寄せられるように、ヴァルターの体も自然とついていく。


 * * *


 ーーくそ。


 ルシアがこんなに近いのに。触れられない。


 背中に添えた手の向こうに、ルシアの体温を感じる。


(ああ、わかっている。本当はーー)


 婚約式でルシアの踊りを見た時から。俺はこの(ルシア)に惚れていたんだ。


ダンスの話はいつ書いても楽しいです!


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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