悪役令嬢への憧れ
一度婚約破棄とか、悪役令嬢ものが書きたくて書き始めた物語ですが、それっぽいだけで物語自体はとある伯爵家のご令嬢がひたすら暴走、勘違いするだけのお話です。笑
よろしくお願いします!
悪役令嬢と噂のルシアは、今日も熱心に本を読み漁っていた。
この度侯爵家エルド・グレイシアードとの婚約が決定したルシア・カルミナートは何を思ったか、瞳を輝かせたかと思うと図書室に引きこもり、これでもかと予習していた。
『悪役令嬢になるために!!』
幼い頃から本が好きで、中でも特にルシアは悪役令嬢が暗躍する物語が大好きだったが、その悪役令嬢はどれも皆最後は絶対に悲劇的な末路を辿っていた。
(この人(悪役令嬢)がいなかったらこの女性はこの男性から愛されなかったのに!)
と憤慨しながらも、ルシアは周りが敵だらけの中それでも気高く振る舞う悪役令嬢にいつしか憧れるようになっていた。
「腰に手を当てて……扇子を口元に当てて……不敵な笑みを浮かべて……」
こうかしら?とルシアは一人姿見の前で悪役令嬢の真似事をする。
「オッホッホ!!わたくしグロリアはこの時を待っていたのよ!あなたが孤独になるこの時をね!さあ覚悟しなさいナタリア!」
「ああっ!そんな!王子!イグニス王子〜!!」
「なっなんですってぇ!?イグニス王子!死んだはずでは……!?」
ああ……!ここで哀れなグロリアは罠に嵌められたとは知らずに断罪されてしまうの!!
それでも最後まで誇り高く振る舞うのよ!
「オッホッホ!このグロリアの首を斬れるものなら斬ってご覧なさい!!」
ってね!!
グロリアの最後のセリフを姿見の前でドヤ顔で夢中になって言っていたルシアは気付かなかった。
その姿見の後ろで呆れ顔をしている侍女・フウカが立っていることに!!
「ぎゃー!!フウカ!いいいいいつからそこにいたのよ!!//ノックしてよ!!」
「何回もノックしましたよ。お嬢様が一人芝居に夢中になって気付かなかっただけです」
(はぁ〜……これで何回目ですか?)
どうやらルシアの侍女フウカはこのルシアの風変わりな遊びに慣れているようだ。何回か相手役の役もやらされたこともあった。
「いいじゃないの好きなんだから!悪役令嬢ごっこ。それにこの遊びは私とフウカだけの秘密なんだから!おかげでうまく私が悪女みたいな噂が立ってるでしょう??」
フウカは困惑して首を振った。
「そんなことして何になるんですか??私はお嬢様の幸せだけを願っているというのに。このままでは幸せにはなれませんよ!今回の婚約のお話も、とても良い条件でお嬢様には何の不都合もないはずですのに」
「まあ聞いてよ!この度私婚約することになったじゃない!?エルド侯爵と!エルド侯爵って言えば潔癖で、氷のように冷たくて、女を見下して、女を道具のようにしか見てないって噂よ!私よりも酷いじゃない」
(まあ確かに、そんな噂は聞きますけど……噂は噂では?お嬢様も悪役令嬢って噂とは全然違うし)
「……はぁ、それで?」
「そこで私が悪役令嬢のように振る舞って、侯爵様にこんな女は願い下げだと思ってもらって、実際に言ってもらいたいのよあのセリフを!!」
フウカは嫌な予感がしていた。この破天荒なお嬢様が次に言い出す言葉が容易に想像できたからだ。
「『お前とは婚約破棄だ!!』って言ってもらいたい!!それが聞けたら名実共に私ルシアは悪役令嬢だわ!!」
フウカはルシアの戯言を聞きながら頭を抱えた。
(このお嬢様は……)
ルシアは変わったところを特に矯正もされずにずいぶんとのびのびと育てられたようで、おかしなことを平気で言ってのける。
(それにしてもお嬢様はなぜこんなに悪役令嬢になりたがるのかしら?なれるわけがないのに……)
フウカの心配をよそに、ルシアと同じくのんびりとした両親の手によって、着々とルシアとエルド侯爵様の婚約が決まっていったのだ。
悪役令嬢ものと婚約破棄ものが書きたかったんですけどそれっぽいだけのラブコメです。
今作もルシアと楽しい仲間たちと手探りで書いていきますのでよろしくお願いします。
ところでこのご令嬢はずいぶん変わった夢をお持ちですよね。汗
最後まで読んで頂きありがとうございました。




