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憎悪の輪舞


「艦首着底!! これ以上は飛べません!!」


「いいや……ここまでよく持たせてくれた。総員、白兵戦用意!! 我らが狙うは、剣皇の首ただ一つ!!」


 剣皇の居城、カシュランモールの巨大な甲板上。

 そこに黒煙を上げて突き刺さった連邦旗艦イデオローデから、連邦の兵士達が次々と躍り出る。

 

天契機(カイディル)隊は城門を狙え! 帝国の天契機を歩兵に近付けさせるな!!」


「「 おおおおおおッ!! 」」 


 乗艦を失って傷を負いながらも、連邦元帥デキムスは剣を抜き先陣を切った。

 まさに決死を見せるデキムスに率いられ、傷ついた連邦艦隊は次々とカシュランモールに突撃。

 見事降下に成功した天契機の援護を受けつつ、爆撃によって混乱するカシュランモール内部になだれ込んでいく。


「――くそっ。あの女……あからさまに手加減してやがった。おいカラム! ちゃんと生きてるか!?」


「しゅ、しゅみませぇん……じ、自分にも、さっぱりわからないであります……っ」


「ははっ! それだけ言えれば立派なもんさ」


 混迷する戦場の一角。


 フィールグランによって一蹴されながらも、ラーディとカラムが乗る二機の守護者(アンガルダ)級は、カシュランモールの甲板に無事降下していた。


『二人とも、大丈夫!?』


「なんとかな。それで、これからどうすればいい?」


 お互いの無事を喜ぶのも束の間。

 二機の頭上を覆うように、傷ついたトーンライディールとアンイラスハートが甲板上に降下する。


『私達の役目は、この敵に囲まれた戦場で退路を確保することよ。帝国軍は、確かに私達が空から来ることを読んでいた。けれどその分陣形は密集して、上方向以外への武装は貧弱になっているわ』


「ってことは、今ならこっちも好き放題できるってわけだ」


『そういうこと。貴方達は上がってくる天契機の相手をお願い。私達は、帝国の包囲に穴を開ける――!』



 ――――――

 ――――

 ――



「――あなたに言われなくたって、初めから許すつもりなんてありませんよ」


「……あ」


 炎の赤と、黒煙に染まる蒼穹。

 激突するルーアトランとフィールグラン。

 そしてその只中目がけ、放たれたイルレアルタの矢。


 三機の交錯は激しい閃光を巻き起こし、周囲に猛烈な突風を巻き起こす。

 しかしその光が収まった時。

 目の前に広がっていた光景に、シータは絶句した。


「君は……!?」


「ナズ、リン……さん……?」


「英雄なんてとんでもない。あいつ(剣皇)はただの人殺し……そんな男に、平和な世界なんて作れるわけないじゃないですか」


 シータの目に飛び込んできたもの。

 それは両手で握る短剣でフィールグランを背面から深々と刺し貫く〝紫色の天契機〟――それまで影も形も見えなかった、ナズリンが乗るレイランナーだった。


「レイランナーには、〝少しの間だけ姿を隠す機能〟があるんです。いくらあなたでも……この状況で私に気付くのは無理だったみたいですね」


「そん、な……っ。そんな――!!」


〝強烈な憎悪と侮蔑〟を込め、淡々と紡がれるナズリンの言葉。

 しかし今のシータにはその言葉も耳に入らず。

 無意識にイルレアルタを跳躍させ、キリエを助けようと必死に手を伸ばした。


「シー……――タ……さ――……」


「キリエさ――!」


 瞬間。

 まるでイルレアルタの手を探し求めるように、フィールグランの腕が弱々しく伸ばされた気がした。


 少なくとも、シータにはそう見えた。


 だが、互いに伸びたその手が繋がれることはなく。

 フィールグランは純銀の光に飲まれ、キリエとともに消えた――。



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